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今後に強く期待していきたい!! 「NTTドコモ Picwalk P711m」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。



■配信されていきたい!!

P711m
ドコモの音楽配信サービスに対応したPHS端末「Picwalk P711m」。お値段はちょい高く、実売で4万円台後半といったところ。松下製で、AAC圧縮方式を採用。Compact HTML(=iモード用ウェブページ)のブラウザ機能も持つ

 ぬおぉぉぉーッ!! ドコモのポケットベル改めクイックキャスト用の受信機およびそのメッセージボードが欲しいぜーッ!! 欲しくてたまらん!! 買うしか!! でもこんなモン買ってどーする>俺。もちろん仕事場に設置して連日連夜、情報をキャストされていきたいんだよ!! そうなんだよアニキ!! タクシー車内とかに付いてる電光掲示板でニュースヘッドラインを読むような、あのコトを、ぜひ部屋の中でやっていきたいんだよ!!

 とかって、毎回ドコモショップへ行くたびに思う俺だが、結局のところ例のメッセージボードを買うには至っていないと同時に、今回はクイックキャストの話じゃありませんでした。のっけから暴走してすみませんでした。

 今回は、始まったばかりのドコモの音楽配信サービスことM-stage musicの話。前回紹介したeggyは動画配信(M-stage visual)だったが、今回のは音楽(曲)配信。ちなみに、M-stage musicとM-stage visualをひっくるめてM-stageというコトになっていて、ドコモのよーな企業がこーゆーサービスを始めると、なるほど21世紀はいよいよ携帯端末でマルチメディアコンテンツを楽しめる時代になるのだなぁと実感する。なお、M-stage musicの詳細に関してはココをご覧いただきたい。

 ともあれ、専用端末まで発売して始める音楽配信のM-stage music。電波で端末に曲をダウンロードするという、新しいソリッドオーディオのスタイル。俺としては何となく前述のクイックキャストとメッセージボードのような、俺の電波的好奇心をかなりソソられるサービス・端末なので、とにかく発売日に購入して試しまくってみた。今回はその印象などをレポートしてみたい。



■M-stage musicとPicwalk


(データがあれば)ジャケット写真も閲覧できる
 M-stage musicは、PHSでのデータ通信ネットワークを利用して、携帯端末に音楽を配信するというサービスだ。配信される曲は、試聴(ストリーム配信)するだけでもいいし、曲を(データとして)丸ごと買う(ダウンロードする)こともできる。最近ではウェブサイトで曲を流したり売ったりする商売があるが、アレの携帯端末版だと言えよう。

 で、M-stage musicはどーやって使うのかと言うと、まず音楽配信を受けるための専用端末が必要になる。現在のところ発売されている端末はPicwalk P711m(松下製)だけ。Picwalkに関する詳細は製品紹介ページをご覧いただきたい。

 Picwalkは、一応はPHS端末なのだが、基本的にはM-stage music専用というスタンス。外見的にはPHSのカタチ・サイズのPHS端末だが、PHS電話機として通話はでない。できるのは、M-stage musicの利用(曲のストリーム配信の受信や曲のダウンロード・保存・再生)と、簡易的なウェブページ閲覧、それから別売のケーブルを利用してのデータ通信(PIAFS,64Kと32K)。いつでもPicwalk単体で曲の配信を受けられ、ソリッドオーディオプレーヤーとして使えて、一応はウェブページ閲覧やデータ通信もできますヨって感じの端末だ。機能的には単純で、今時のPHS端末からすれば、使い始めてから30分もすれば全機能をひととおり試せる程度。複雑さは特にナシ。なので、操作感も非常に良いっていうか機能が少ないぶん簡単に使いこなせてしまう。M-stage musicへの接続やダウンロードした曲の再生もほぼワンタッチ。

 実際にM-stage musicを使う手順は、まずM-stage musicサービスとmopera情報サービスHot’sへ加入する。その翌朝9:00以降にM-stage music(へ接続するためのモペラ)が使えるようになるので、簡単な初期設定を済ませる。その後はM-stage musicにアクセスし、音楽を聴いたり買ったりする。Picwalkを買ったその場でM-stage musicとmoperaに申し込むことになるので、つまりは端末買った翌日にPicwalkに4桁の暗証番号入れれば即、M-stage musicを使い始められるのであった。簡単とか難しいとか言う以前のあっけなさでM-stage musicを使い始められる。



■俺の理想の音楽ライフ


 よっしゃPicwalk買ったゼやったゼこれから俺は非常に快適かつ理想的な音楽ライフをエンジョイなんだゼーッ!! ということで、さっそく使用開始。ちなみに、俺の“快適かつ理想的な音楽ライフ”というのは、好みの曲を聴きたい時に非常に手軽に聴けるということ。

 外で音楽を聴くための機器を考えると、例えばソリッドオーディオとかポータブルCD・MDとかがある。が、これらに共通するのは、スタンドアロンの装置である残念感。当たり前だがネットワークに接続できない。もちろん移動通信もできない。だから、これらの装置で再生するためのソース(曲ですな)は、あらかじめ本体や何らかのメディアに入れておく必要がある。そして「今日はこの曲を聴いていきたい!!」とか思ったら、それらのメディアを携帯しなければならない。外で音楽を聴くためには、多少面倒な準備が必要なのだ。

 しかし、人間というのはまったく信用ならない動物で、出がけに「この曲を聴くゼーッ!!」とか思っていても数時間すると「やっぱあの曲が聴きたいなぁ」というふうに心変わりする。そして案の定、聴きたい曲が入ったメディアなんざぁ部屋の棚の中だったりカッフン。類い希なる残念感に襲われる。この残念感を排除しようとすると、バッグの中にいっぱいMDとかCDとか、あるいはメモリカードとかを詰め込む必要がある。そして、多量のメディア入りの巨大バッグを持ち歩く覚悟ができたとしても、自分がデータ等として持ってない曲は、結局聴けないのである。

 だが、Picwalkのような端末なら、その時の気分次第。聴きたいと思った曲を、その場でダウンロード(買うんですけどネ)して聴けばいい。「うっあの曲を聴きたい!! 猛烈に聴きたい!! 聴きた過ぎて死ぬッ!! 俺の命はあの曲次第!!」と思った瞬間、即ダウンロードして聴ける。ドコモのM-stage musicサーバの中にある曲全部が、俺の変わりやすい気分のために用意されていると言っても過言ではない!! やったァ!! これからは「本日聴きたい曲はナニかな~」とか「本日聴きたかったのはコレじゃなかったァ~」とか考えなくても、常に好きな音楽が俺のトコロへやってきてくれるんだ!!

 多量のMDとかCDとかを持ち歩くことも不要!! 何の準備をしなくても、何も考えておかなくても、好きな音楽がいつでも手に入る環境!! りりり、理想的!! 万歳M-stage music万歳Picwalk!! M-stage musicとPicwalkが理想のミュージックスタイルとなるに違ぇねえ!! と期待して、いざPicwalkを使い始めた俺であった。



■理想と現実


配信曲の視聴はストリーム配信でレートは32kbps。ダウンロード曲は128kbps。基地局のチャネルが2つ空いていれば64kbps、2つ空いていなければ32kbps(チャネル1つ)の通信になる。はじめに掴んだチャネルが1つだけだと、5分の曲のダウンロードに単純計算で20分と、ちょっときついことになる
 巨大な期待を胸に抱き、さっそく64Kデータ通信可能域へ行き(←この部分期せずして駄洒落……じゃなくてウチの近くは32Kでしか通信できないのであった??M-stage musicは32Kでも利用できるが試聴時の音質が悪かったりダウンロードが遅かったりする)、M-stage music利用開始!!

 さぁ何の曲を聴こうかな~、と考えて思いついたのは、まず『電気グルーヴ』だったが、アーティスト名や曲名を検索してもナシ。なるほどまだM-stage musicサービスが始まったばっかりなので、もっとメジャーとか定番とかじゃないと曲が用意されてないのか。

 じゃあってんで、次はジャズのスタンダード系を検索してみたが、これもナシ。あーそー言えばジャズって日本で地味に流行ってる意外は、世界的にわりと下火なんだっけか。

 ならば細野春臣とか矢野顕子とか坂本龍一とかは……まあ定番ってわけでもないから、これもナイのかなーと思ったらやっぱりナシ。

 もしかしたらM-stage musicには俺が聴きたいと思う曲があんまりナイのかもーとか徐々に感じ始めると同時に、まだ1曲もダウンロードしてねぇよなぁそう言えばさぁ~と思い、絶対にありそーな曲を探してみることに。えーと……えーと、あー俺って流行りの曲とかにあんまり興味ないのかもなぁ……とか感じつつも思いついたのが、宇多田ヒカル。これならあるでしょと思って探したら、ナシ。最近はあんまり流行ってないんですかぁ宇多田は。じゃあアレか、安室奈美恵(字あってますか!? ていうか曲目的にはやや古いですか!?)を探してみたら、ナシ。あーだんだん検索するの面倒になってきた。


 PicwalkでのM-stage musicコンテンツ(曲)検索は、端末の操作性上、そんなに面倒じゃない。ジャンル分けもキッチリされていて、例えば洋楽と邦楽の大きなカテゴリに分かれていて、その中からさらにポップやロックなどの音楽ジャンルを検索し、さらに曲名を細かく絞り込んだりできる。また、いきなりアーティスト名や曲名を入力して探すこともできる。のだが、M-stage musicのコンテンツ数が少ないのか、俺の嗜好が世間様とズレているのか、聴きたい曲が全然見つからない(ていうかナイ)のであり、この肩すかし感を食らって、面倒になっている俺なのであった。

 でもがんばって検索。そしたら偶然にも渥美清の『男はつらいよ』という曲っていうか寅さんのテーマ曲を発見。ていうかコレを聴きたいわけじゃなかったのだが、画面に“渥美清 男はつらいよ”と表示されてみると、なーんか聴きたいよーな気がしてきた。長年の擦り込み効果とは恐ろしい。なんか猛然と寅さんのテーマが聴きたくなったゼ!! てなわけで、まずは試聴。

 Picwalkでの試聴や曲のダウンロード購入は、PHSの32Kデータ通信エリアでも64Kデータ通信エリアでもできる。ただ、どちらのエリアでも、接続が32Kだと試聴(ストリーム配信)時の音質がやや劣化するようだ。賑やかな曲を試聴したりすると、なんが音がゴチャゴチャかつ荒くなってどんな曲なのかイマイチわかんない場合もある。ただ、通信速度による試聴時の音質の良し悪しがある代わりに、どちらの速度で試聴しても(バッファにストリームデータがたまるまでの待ち時間が最強に長まってストレスを感じるなどの)不快はなく、スムーズにストリーム配信を受けられる。

 試聴自体も簡単で、聴きたい曲を選んで画面上の[試聴]ボタンを押すだけ。数秒後、自動的に曲のストリーム配信が始まる。で、その曲が気に入ったら[購入]ボタンを押し、曲をダウンロード購入すればいい。なお、試聴できるのは曲の冒頭部分などのみで、曲を全部聴くことはできない。また、ダウンロード購入した曲は、PicwalkのSDカードスロットに挿したSDカード(Picwalkパッケージには64MBのもの付属する)に保存される。

 64K接続してPicwalkを使った俺は、渥美清の『男はつらいよ』をまあまあの音質で聴き、何となく試しに買ってみるかってコトでダウンロード購入することにした。ていうかなんかホントは好きな音楽をたっくさんダウンロードして理想の音楽ライフを堪能しようと思っていた俺なのに、どーして寅さんのテーマをダウンロードしてるんでしょーか!? やっぱ理想と現実は……。



■遊べるソリッドオーディオプレーヤーとして……


 結局、寅さんのテーマ以外にもいろーんな曲を試聴してみたのだが、買いたくなる曲はほとんどなかった。なので、寅さんのテーマに加えてその他の曲をポチポチ買い、真冬の寒空の下、心の中も寒くなった俺だった。

 ところで、M-stage musicでは、曲をAACで配信している。で、その音質だが、ザッと聴いた感じでは、カセットテープよりはイイ音で、CDよりは悪い音という印象。“音楽鑑賞”として聴けるレベルだと思う。でも“イイ音”にこだわる人だと文句が出ちゃうかもしれない程度の“音のザラつきや違和感”もうっすら聞こえたりする。

 それから、M-stage musicを使ってみて、試聴は快適に行なえるが、ダウンロードの遅さは気になるところ。曲の長さによってダウンロード時間は違うが、1曲だいたい7~8分程度はかかると考えていいだろう。で、1曲あたりの値段は300円前後する。大雑把かつフツーのユーザーの立場で考えると「1曲300円も払ってしかも10分近くダウンロード待ちすんのかよ!!」という心情だと言えよう。加えて、PHSの通信料金もかかる。1分15円。だから、例えば1曲ダウンロードするのに曲の値段が300円でダウンロード時間が10分かかるとすれば、1曲をPicwalk内のSDカードに収めるのに、450円かかるわけですな。実際、俺が寅さんのテーマをSDメモリーカード内に収めた時にも500円程度かかったわけで、それを考えると俺のメモリカード内の渥美清音声(500円相当)がなーんか非常に価値の高いデータに思えるっていうか……。

 結局、率直には、コンテンツが少なくてダウンロードに時間がかかって全体的に高価というのが、M-stage musicに対する俺の印象であった。ん~。んん~。んんんんんん~。みたいな。


 まあ、現在のところはM-stage musicが始まったばかり。用意されている曲も500曲程度で、実際にまだまだ少ないのだ。でも夏頃までには3000曲程度に増える予定だという。でも500曲でこの感じ(たぶん多くの人が「なーんにもない感じだネ!!」という感想を抱くような気がしてならない)だから、3000曲程度になってもまだまだ……。でも、俺の理想の音楽ライフの実現に最も近い夢のある端末として、その現在はともかく、近い将来に期待していきたい!!

 ってイキナリ結論が出てしまった感じだが、別の側面からPicwalkを見ると、ソリッドオーディオプレーヤーとして考えると、まあまあイイかもしれない。

 Picwalkでは、M-stage musicでダウンロード購入した曲をSDメモリーカードに保存するわけだが、M-stage musicだけでしか使えないわけではない。別途専用キットや専用アプリケーションを使えば、SDメモリーカード内の曲をパソコンに移動・再生したり、パソコン上の(音楽CDから取り込んだりした)曲をSDメモリーカードに入れPicwalkで再生することもできる。わりとフツーのソリッドオーディオプレーヤーとしても使えるのだ。

 とか考えれば、今後進化していくであろうM-stage musicも使えるし、SDカード使ったソリッドオーディオプレーヤーとしても使えるし、パソコンで64K/32Kでデータ通信できる通信端末(別途データ通信カード等が必要)としても使えるし、イザという時のウェブブラウザとしても使えるので……いや強引に考えるのはよして、やっぱり“買う・買わない”に関して素直に結論を出せば、今すぐ買うのはちょっとアレかもしれません。

 やはり、躊躇してしまう部分は、コンテンツ数ですな。もっともっと曲があって欲しい。現状だと(俺の場合ですけど)、聴きたい曲がなさ過ぎという印象。でも、曲がもっと増えて、聴きたい曲がいっぱいあるって状況ならば、俺なら、曲、買います。ダウンロード時間が長くても、そんなコトを些細に思えるほど好きな曲ってあるわけで、そうなれば買う。もちろん、通信速度がもっと速くて、1分で1曲買えるとなればより快適だが、ともあれ、いよいよ始まった本格的なモバイル音楽配信サービス、今後に大いに期待し、Picwalkをしばらく使い続けたい俺であった。





URL
  M-stage musicとPicwalkのニュースリリース
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0105.html
  Picwalk P711m製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/products/phs/lineup/picwalk_p711m/index.html

2001/01/29 00:00

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