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続・アナログ写真を救えっ!! 「ニコン SUPER COOLSCAN 5000 ED」
(前編)
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


ニコン SUPER COOLSCAN 5000 ED

エプソンマルチフォトスキャナF-3200。解像度は主走査3200dpi/副走査6400dpi。プリント写真や各種のフィルムを高解像度でデジタル化するには十分な性能を持つが、俺的用途──フィルムが持つ情報量を徹底的に抽出・デジタル化するには若干力不足に思えてきた。ただ、フィルムの情報量を最大限に引き出すとかではなく、フィルム等をデジタル化してウェブページ掲載や印刷などに利用するという目的には十分な性能を持つと思う
 前回の本連載『アナログ写真を救えッ!! エプソン カラリオスキャナ F-3200』で書いたとおり、最近の拙者はアナログ写真救出大作戦を敢行中である。いや~何だかんだ言ってもスキャンって時間かかって大変ですな。でもヤルしか!! このまま放っといたらどんどん画像が劣化するし!!

 てなわけで気合と根性でスキャンに次ぐスキャンを続け、さぁ紙焼き写真のほーはどうにかキリがついたかナ、と。次は本題のフィルムスキャン!! フィルムをビシビシとスキャンし始めた。

 そしてフィルムを何本かスキャンし終えたところ、なんかこースッキリしない感覚でいた俺に対し、第三者的な見地に立った俺が指摘した。すなわち、エプソンのカラリオスキャナF-3200のフィルムスキャン能力……って、これどーなのよ? と。

 いや、悪くないのである。まずまずキレイにスキャンできている。のだが、過去のフィルムスキャナ使用経験に関する記憶を辿ってみると、……あれ? フィルムスキャナって、なんつーかスキャンした時に、もっと感動しなかったっけ? みたいな。


 その感覚をより鮮明に思い起こすべく、4年くらい前に仕事で借りたニコンのSUPER COOLSCAN 4000 EDでスキャンした画像を、HDDの奥底から引っ張り出してきた。んで、ソレを見ると、4年前の製品でスキャンしたとはプチ思えない程度の解像度の高さがあった。また、同じフィルムを前述のF-3200でスキャンしてみたら、そこに明らかなる画質の差を見た。

 ……正直、頭の芯が微妙に熱くなる程度悩んだ俺である。

 てのは、俺がヤッてるのは“アナログ写真を劣化から救う”という、俺的に非常に重要な行為なのだ。F-3200による紙焼き写真のスキャンは、比較的にフツーレベルのフラットベッドスキャナよりもかなり高品位だと感じられるし、また紙焼き写真になっている時点で(フィルムより)解像感等が落ちているから、「まあこのくらいキレイにスキャンできればいい」と納得できた。

 のだが、フィルムからのスキャンとなると話が変わってくる。フィルムはアナログ写真の原点となる情報だ。ココから得られる情報こそ、アナログ写真そのもののと言える。この情報がソースとなり、アナログ写真はさまざまにカタチを変え得るし表現の幅も広がるのであって、このソースを十分にデジタル化できないとなるとダメだダメだダメなんだよアニキ!!

 フィルムからできる限り詳細な情報を取り出せなければ、ソレは決して“救出”などとは呼べない!! 4年くらい前のフィルムスキャナと比べてもプチ残念感の残るF-3200のフィルムスキャン能力では、俺の神聖なる情報救出行動は完結しねえんだよ>俺!!

 と真夜中に孤独な盛り上がりを見せていたら、俺内部から新たな俺が発生し、勝手に俺の財布と相談して勝手に通販サイトにアクセスして勝手に俺のID・パスワードを入力して勝手にニコンのSUPER COOLSCAN 5000 EDを購入していた。数日後の朝、俺の机上に非常にカッコよくSUPER COOLSCAN 5000 EDが設置されていたのは言うまでもない。


比べちゃイケナイけど比べていきたい!!

ニコンSUPER COOLSCAN 5000 ED。35ミリフィルムおよびAPSフィルム専用のフィルムスキャナで、最大解像度は4000dpi。スキャン速度は35ミリフィルム(1コマ)を約20秒という速さ。また、照明光源として一般のスキャナに使われている冷陰極蛍光管等ではなく、4色のLEDを採用したことでウォームアップ時間が不要となり、半永久的な照明光源寿命を実現している
 ニコンのSUPER COOLSCAN 5000 ED(以下5000ED)の詳細に関しては、ニコンの製品紹介ページをご覧いただきたいが、結論から言えば、当然っちゃぁ当然なんスけど、こと35mmフィルムのスキャンにおいては、前述のF-3200と5000EDではモロでアカラサマな性能差がある。すなわち5000EDの方が遙かに性能が高いし、すげぇ満足できる結果が得られた。

 5000EDの性能は、文章で云々するよりもそのスキャン画像をご覧いただくのがイチバンだと思うので、そーしていきたいが、今回は5000EDの比較対象として前述のF-3200を選んでみた。その性能差から、スキャナっつーモンのスタンス・方向性の違いをご覧いただきたいナ~とか思ったからだ。

 でまあ、以降はオモムロに5000EDとF-3200のスキャン画像を並べていくが、その前に両機の立ち位置の違いを少々。

 両機は、価格も違えばターゲットユーザーも違う。実勢価格的には5000EDが11万円前後で、F-3200が5万5000円前後だ。5000EDは35mmフィルム(およびAPSフィルム)専用スキャナであるのに対し、F-3200は多彩な種類のフィルムおよびプリントをスキャンできる。さらに5000EDはパソコンとの接続しての使用を前提としているが、F-3200は単体でもプリンタと接続してもパソコンと接続しても使えるようになっている。もちろん、細かなスペックも違う。

 要は、5000EDは銀塩写真野郎でありかつコダワリの画像処理野郎に向けた本格的なフィルムスキャナであり、F-3200は手持ちのフィルムやプリントを容易に加工・印刷したりパソコン上のデータとして扱いたいという人に向けた汎用性の高い多目的フォトスキャナだ。もっと言えば、5000EDはマニアな人向けで、F-3200は比較的にフツーっぽい人向け。

 てなわけで、向いてる方向も持ってる性能も全然違う2機種ということで、5000EDとF-3200は、ホントは比較しちゃイケナイ機種だと思う。のだが!! しかし!! 比較するとオモシロい!! 何となく同じ系統っぽい製品なのに、こーもまた性能が違うのかッ!! てなことがわかったりするので、さて早速性能を比較していこう。

 ──なお、以降に掲載する画像は、35mmフィルムのネガもしくはポジを両機でスキャンしたもので、解像度は3200dpiとした。また、ドライバ等の設定は断り書きがない限り、スキャナやドライバ上で画質調整等の処理を施していない。画像形式については、本サイトへの掲載の都合上JPEGとした(5000EDはTIFF形式でスキャン後にJPEG変換)。ていうかホントは非圧縮で保存可能な形式のほーが鮮明ってコトで、そのあたりをご了承いただきたい。

 ついでに、両機とも細かな画質調整・色調整系の機能を使えば、掲載した画像よりも好ましいスキャン結果となる(けど設定項目が多いのでなるたけデフォルトって感じでスキャンしとります)。それと各スキャン結果の元画像はどれも5~10MB程度あってピクセル数的にもヒジョーにデカいので、元画像を表示する場合はご注意願いたい。


同じ写真をスキャンし比べると……

 まずは同じポジフィルム(リバーサルフィルム)をスキャンして比べてみた。

5000EDのスキャン結果F-3200のスキャン結果
拡大画像10.9MB 拡大画像4.62MB
拡大画像11.7MB 拡大画像5.03MB
拡大画像16.8MB 拡大画像6.57MB


 表の左側が5000EDによるスキャン結果で、右側がF-3200によるスキャン結果となる。

 まず上2段だが、ていうか見た瞬間もー画像のキレが全然違うわけですよ!! その差歴然なんですよ!! ビットデプスとか初期値でのカラーバランスの差はありますけどね、そのあたりを調整すれば例えばF-3200もより好結果になったりするわけですけどね、発色とか好ましさって以前に、根本的なスキャン能力が全然違うのであって拙者ビックリ!! 解像度に関してのみ言えば、5000EDは4000dpiゆえ、上の写真(3200dpiで統一)よりさらに高解像のスキャン結果が得られたりする。

 最下段は、カビ生えまくりで褪色しまくりの、約40年前のネガフィルムをスキャンした結果だ。褪色補正系機能やホコリ除去系機能は一切適用していない(適用したのはこの後出しますネ)。この時点の結果としてはF-3200のほうが好ましい感じだが、カビまで完璧にスキャン&再現している5000ED、なるほど35mmフィルム(とAPS)専用機の実力である。


ホコリ除去方面の機能を比べると……

 5000EDにもF-3200にも、スキャン時にフィルムに付着したホコリやゴミを自動的に除去する機能がある(F-3200はフィルムスキャン時のみ使える)。のだが、F-3200でフィルムをスキャンし始めた時、F-3200のホコリ除去機能には疑問を抱いた。

 本連載での前回でも少々触れたが、F-3200のホコリ除去機能はスキャンするフィルムによって好ましい結果が出たりそうでなかったりする。フィルムをデジタル化して永久保存する、という目的からすると、F-3200のホコリ除去機能は少々怖くて使えないと感じた。

【F-3200のホコリ除去機能の効果】
ホコリ除去OFF ホコリ除去弱 ホコリ除去中 ホコリ除去強
拡大画像4.62MB 拡大画像4.61MB 拡大画像4.62MB 拡大画像4.63MB


 上は、もともとホコリの少ないポジフィルムをスキャンしたものなので、F-3200にとっては若干イジワルな結果が出ているかもしれない。が、F-3200のホコリ除去機能の特徴がよく見えるので敢えて掲載してみた。

 左の元画像から、徐々にホコリ除去機能の適用強度を上げているが、細部を見るとホコリ等でない部分を除去したり違った画像に変換してしまっている──画面上部の黒い影(小枝と葉っぱですな)やタワーを構成する細い鉄柱を比べるとよくわかる。汚れたフィルムをキレイに印刷するとか、縮小してウェブで使うなどの目的には合うが、元の画像がかなり書き換わってしまう“フィルムをデジタル化しての永久保存”には向かない。

 一方、5000EDのホコリ除去系機能ことDigital ICE(デジタルアイス)は、期待通りの働きをしてくれた。つーかコレってどーやってんの? と妙に感動してしまうほど見事にホコリ等を除去してくれる。

【5000EDのホコリ除去機能であるDigital ICEの効果】
ICE OFF ICE標準 ICE強
拡大画像10.9MB 拡大画像10.6MB 拡大画像9.82MB


 上は、5000EDのホコリ除去機能であるDigital ICEを適用しつつのスキャン結果だ。左から、OFF、標準、強の順となる。

 5000EDのDigital ICEは、二段階の強度で適用できる。[標準]と[強]だが、多くのケースで[強]つまり思いっきりホコリを除去する設定にしちゃってもOKだと感じる。てのは、強くかけてもフィルム上の画質をあまり損なわず、ホコリ等のみを強力に除去してくれるからだ。上の写真のとおり、画像細部に違和感のある“書き換わり”が起きにくい非常に実用的なホコリ除去機能だと言えよう。

(明日の後編に続く)



URL
  ニコン「SUPER COOLSCAN 5000 ED」製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/scanner/scoolscan_5000_ed/
  エプソン「カラリオスキャナF-3200」製品情報
  http://www.i-love-epson.co.jp/products/scanner/f3200/f32001.htm

2004/11/29 17:45

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