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TransPodで一石二鳥!?
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


TransPodで一石二鳥!?

TransPodの箱。1万6800円っぽい風格ではある
 相変わらずアップルのiPod(今となっては旧型の第2世代iPod)を活用している俺だが、これをクルマの中で使おうとすると些細な問題が出がちだったりする。

 ひとつは、iPodが滑るということ。クルマのシートやダッシュボードの凹みにiPodを置いて使っていると、急発進や急加速をしたときにツルリっ!! とiPodがスライディング。落とすほどの状況にはならないものの、何だかちょいと心配なのである。

 それと、充電問題。ご存じのようにiPodはHDD式のMP3プレーヤーだ。音楽CDを何十枚も何百枚も入れられる感覚。なので、使い始めの頃にいったんMP3データを(多量に)転送してしまえば、その後はけっこーパソコンと接続しなくなったりする。iPodをパソコンと接続すると、IEEE1394ケーブル経由で充電できるのだが、その充電を忘れがち……というかいちいちACアダプタとIEEE1394ケーブルで充電するのが面倒になったりする。実際はけっこー電池の持ちがいいiPodだが、クルマや徒歩でiPodを使いまくると、充電の手間が面倒&充電するのを忘れたりしちゃう拙者。

 そんなところへ非常に便利そうな“iPod専用グッズ”が発売された。DLO社(Focal Point Computer扱い)のTransPodである。

 TransPodはiPodをクルマで使うためのFMトランスミッタ兼充電器だ。クルマのシガーライターソケットにTransPodを差し込み、そこにiPodを装着すると、iPodに充電しながらカーオーディオでiPodサウンドを楽しめるという製品だ。クルマでiPodを使いがちな拙者にとって、一石二鳥感が実に高いと思われるので、発売と同時に購入して使ってみた。


使い方簡単!! 電波も強力!?

TransPodパッケージの中身。各種パーツにA4 1枚の説明書が付いている
 TransPodのパッケージにはいろーんなパーツが入っていて、なんかこう、マニアックな合体変形魂を揺さぶられがちだがさておき、使い方は至って簡単だ。

 まずはTransPodのベースドックに、シガーライターソケットから給電するためのパーツことライターマウントアームを装着する。続いて、ベースドックにiPodを装着。ベースドックの上部には、iPod上部のIEEE1394コネクタおよびヘッドホンコネクタとマッチするように各ジャックが出ている。その位置に合わせてiPodを押し込めば、スコッと装着完了。なお、ベースドック下部にはiPodが抜け落ちを防止する留め具(iPod固定ラチェット)がある。

 TransPodにiPodを装着したら、これをクルマのシガーライターソケットに挿す。この時点でTransPodからiPodへの充電が始まり、同時にTransPodからFM電波が飛ぶ。TransPodには電源オンオフっちゅー概念はないのであった。なお、使えるシガーライターソケットは12ボルトのもの───日本製のフツーの乗用車はみんな12ボルトだが、トラックなどはその限りでないから要注意と言えよう。

 次いで、iPodを再生状態にし、クルマのFMラジオにiPodサウンドが入るように(クルマのFMラジオ側)をチューニングする。最もよく聞こえるチューニングができたら、さらにTransPodの周波数微調整ダイヤルを回して完璧なチューニングへと追い込む。後はひたすらリッスニ~ング!! と。

 ちなみに、TransPodから出るFM波の周波数は3種類あり、ベースドック上部の[L M H]スイッチで切り替えられる。具体的な周波数は、Lが76~81MHz、Mが81~88MHz、Hが88~90MHzとなる。周波数に幅があるのは、前述どおり、周波数微調整ダイヤルで飛ばす電波の周波数を小刻みに変えられるからだ。

 ともあれ、そんな感じでサクッと使い始められるTransPodだが、実際に使っていて気持ちイイのは、シンプルなのに機能的に物足りなくないということ。まず、クルマのシガーライターソケットにTransPodとiPodの合体物をガコッと固定されるので、iPodやFMトランスミッタの置き場所を作る必要がないのだ。加えて、充電もやってくれる。そして、肝心要のFMトランスミッタとしてもけっこー高品位だったりする。


 本連載のバックナンバー『MP3プレーヤー+FMトランスミッタで音楽を聴く!』で、いろいろとFMトランスミッタを試したが、それらと比べてもTransPodはハイレベルだと思う。感度的には、TransPodから出る電波が強力なのか安定しているのか、ノイズや混信などが少ない。また、前述の周波数微調整ダイヤルが使いやすく、簡単な操作で最良の受信状態がすぐに得られる。イイ音だし使いやすいヨ、と。

 具体的には、他のトランスミッタでは時々聞こえてきた高音や低音の歪みが聞こえて来ず、また走行中にFM電波が不安定になって受信状況が著しく悪化するようなことも、まだない。あくまでも俺の場合ですけどネ。

 誤解を招かないように付け加えると、TransPodおよび他のFMトランスミッタ製品は、どれも多かれ少なかれノイズが混入するし、他の電波の影響を受けて混信などもする。ノイズや混信の度合いは、FMトランスミッタを使う場所、クルマの電装系などから出るノイズ、カーオーディオ(FMラジオ)の受信感度やアンテナの状態などによって大きく異なる。

 例えば拙者の場合、いつも通る高速道路のある地点では、どんなFMトランスミッタを使おうと絶対に音がガサガサいい出す。また、違法トラック無線が混信しまくることも少なくない。最近ではクルマの電装系がどうにかなったか、非常に小さい音で「チリチリチリチリ」というノイズが乗る。そういう現実があるなかで、TransPodは“比較的にノイズに強いし混信も少ない”と感じるわけだ。

 まあこういう電波モノはユーザーの使用状況によって「思ったほど良くない」とか「意外なほどイイ」ってのが変わってきたりするわけですな。なので、より無難に再生時の安定性を求めるならば、FMトランスミッタ製品よりもカセットテープアダプタのほうがいいかも……FMトランスミッタにありがちな混信はほとんどないし、ノイズや歪みもFMトランスミッタとあ~んまり変わらないレベルだと思う(製品や使用状況にもよるが)。音質を追求するならカーオーディオ(AUX端子等へ)直結での使用がベストだろう。音質劣化も電波系ノイズの影響もほとんどないからだ。

 ……でもやはり手軽さと配線の少なさでFMトランスミッタが便利であり、クルマにユニットを増設する感覚で超シンプルに使えるうえに充電までできちゃうTransPodは高機能・高利便FMトランスミッタ製品だと言えよう。


どんなクルマでも使える!?

 TransPodは「もしかしたらマニアが開発した製品?」と思えるような“凝った部分”が多々ある。

 例えばベースドックのコネクタ部。iPodを接続する時にIEEE1394コネクタが接続しやすいように、ベースドック上部にあるスイッチを左右に動かすとIEEE1394コネクタ自体が若干左右に動くようになっている。また、iPodのIEEE1394カバーがキレイに収まる隙間もしっかり作られている。もちろん、厚みの違う各iPodにマッチするように、厚みの違うiPod保護パッド(iPod裏面がTransPodと擦れても傷がついたりしないパッドだヨ!!)も付属している。

 さらに、非常に多くのクルマに取り付けられる点も秀逸。付属のパーツを使い分けて、クルマのシガーライターソケット位置や向き、あるいはベースドック設置場所を自由に設定できるのだ。


TransPodの中核部分、ベースドック。10GB版iPod(第2世代)の倍以上の厚みがあったりして。質感的にはまずまず良い作りで、安っぽさはあまりない

TransPod使用中。無結線で音楽を聴けて、充電もできて、iPod専用の置き台になる(当然ですけど)ということで、一台三役!?
 例えば拙者のクルマの場合、シガーライターソケットは、シフトレバー近く、斜め上向きについている。この場合なら、前述のベースドックとライターマウントアームだけで設置が済む。が、ダッシュボード部から真横にシガーライターソケットが着き出している場合は? シガーライターソケットの周囲に出っ張りがある場合は? あるいはシガーライターソケットが膝の近くにある場合は? 全部ダイジョーブなのである。そーゆークルマにもTransPodを取り付けられる。

 TransPodにはシガーライターソケットからのアーム長やベースドック(iPod)の向きを幅広く調整できるパーツが付属する。低い位置にシガーライターソケットがあるならライターマウントアームに延長アームを接続し、高い位置へベースドッグを設置できる。ダッシュボードの奥まった位置でしかも真横を向いたシガーライターソケットの場合なら、各アームの途中にある関節部分を曲げるなどして調整し、ベースドックを上向きなどにできる。

 また、シガーライターソケットとは離れた位置にベースドックを設置したい場合なら、ダッシュボード上にベースドックを置くためのダッシュマウントというパーツを使えばよい。クルマ内のスペース、レイアウト、ダッシュボード付近の形状に合わせ、さまざまなスタイルと位置で取り付けできるというわけだ。

 いや~、よーくできてますな。多種多様なクルマにマッチするのと同時に、パーツが余っちゃうケースもあるわけだが、ここまで自由度の高い“iPod設置用グッズ”は他にない。しかも充電器であり高性能なFMトランスミッタでもあるのだ、TransPodは。恐らく現在最強レベルの“iPod用カーインターフェイス”だと感じる。


ベースドック背面にライターマウントアームを接続する。ネジや工具等は不要で簡単につなげられる ベースドックにiPodを装着したところ。iPod下部に見える出っ張りがiPod固定ラチェットと呼ばれる“抜け落ち防止機構”だ。単純ながら安心感のあるギミック

TransPodに含まれるパーツ類。
1 : ダッシュマウント(とネジ)。ダッシュボード上の好きな位置にベースドックを取り付けるパーツ
2 : iPod保護パッド。第二世代以前の全てのiPodにマッチするパッドが3枚入っている
3 : シガーライターソケットから電源を取るコネクタとコードの、ライターアダプタ。5のパーツと組み合わせて使う
4 : iPodを装着するベースドック
5 : ダッシュマウントアーム。1のダッシュマウントに、4のベースドックを取り付けるためのパーツ。黒い穴に3のライターアダプタを接続する。 6 : ライターマウントスリーブ。クルマのシガーライターソケット部とアーム部の隙間をなくす
7 : 延長アーム。8のライターマウントアームや、5のダッシュマウントアームと組み合わせて使う
8 : ライターマウントアーム。シガーライターソケットにベースドックを取り付けるためのパーツ


難点もありますけど

 ただ、実際に使っているとまだまだ改良の余地があるようにも感じた。

 まずそのサイズ。アーム類もベースドックもけっこーデカい。iPodのスリムさコンパクトさはちょいと台無し気味になる。頑丈なところは安心感があって良いのだが、さらに小さくシンプルなほーがやっぱりイイと思う。

 ややガタガタした道を走りつつ使っても問題はないが、アーム部を長さやベースドックの向きによっては、iPod装着部がけっこーグラグラ揺れますな。アームもドックも頑丈だし、ドック部にはiPodが絶対抜けないようなギミック(iPod固定ラチェット)があるので、まあ問題はない。しかしそのグラグラ感は気持ちのいいモンではない。

 それから、ベースドック右横にある周波数微調整ダイヤルだが、使い方によってはこの部分に触れてしまってたびたび周波数調整をするハメにもなる。ダイヤル自体がやや出っ張りめなので、例えばベースドックからiPodを抜き差しする場合、つい触っちゃう=周波数が微妙に変わっちゃうのだ。まあ、周波数の微調整は数秒で済むような感覚なので、時々ウザいだけで、実使用上問題はないのだが。

 それから、前述、ベースドック上部のコネクタ部にIEEE1394コネクタ部が使いやすいと書いたが、頻繁に抜き差しする場合はその限りではない。てのは、iPod装着時、iPodのIEEE1394コネクタカバーを、ベースドックの隙間に収めるのにすこーし手間がかかる。まあiPodの機構上しょーがないコトであり、工夫のしようもないことであり、TransPodの難点でもないわけだが、やや使いにくいところではある。

 非常に残念なのは、アームの関節部分。アームを最も長い状態にすると、180度自由に動かせる関節を3つ利用できる。ダッシュボードの膝部分にやや下向きについているシガーライターソケットでも、手元あたりでコチラ向きにiPodを設置するよーなコトができる便利な関節ちゃんなのだ。だがアームの機構上、この関節を三次元的に動かすことができない。二次元的にしか関節が動かないので、シガーライターソケットとの差し込み部を回さない限り、アームはいくら調整してもiPodの向きは一定方向になってしまうのだ。ここも一工夫して、特にベースドック(iPod)の向きや傾きなどを自由に変えられるようにして欲しかったところだ。


アームはこのように延長可能だ。アームの各関節は180度曲がるが、同じ方向にしか曲がらない。ベースドックを前後方向に動かすことしかできない。構造上、ベースドックの左右位置の調整はできない 左はライターマウントアームだけを使って設置したところ。右は炎上アームも使って設置したところ。シガーライターソケットの位置やその周囲の障害物により、ベースドックの位置を変えられるというわけだ。(注)写真はライターマウントスリーブを未装着の状態

シガーライターソケットとは遠い位置などにiPodを置きたい場合は、このようにライターアダプタとダッシュマウントアーム、それからダッシュマウントを組み合わせて、ベースドックをダッシュボード上などに取り付けられるようにできる

 価格面は……ちょっと疑問かも。ココでは1万6800円(2003年5月現在)という値段だが、んー、んー、んー、正直申しましょう!! 高い!! 割高ッ!! そーとー「クルマで快適かつ理想的なスタイルでiPodを活用するのダ!!」と思っていないと、フツーは手を出さない価格なのでは、と。また、要はカー電源アダプタ+FMトランスミッタ+アーム類でしょ!? それで1万6800円とか取るのって……さすがオンリーワンな周辺機器てな感じですな。
 しかし、実際に使うと「これ買って良かった~」とか思うことが多かったりして、俺ったら。クルマに設置済のTransPodに対し、iPodを差し込むだけなんですよ。チョー楽勝。すると、クルマのFMラジオに巨大ジュークボックスが接続されて、もー音楽聴き倒しまくり尽くし!! わりと自由な位置にiPodを置けて、例えばシートにiPod置いとくよりもずっと操作しやすくなるし画面も見やすくなるってのも大きな魅力ですな。しかも充電してくれて、FMトランスミッタとは言え音もかなりハイレベルってことで、満足しちゃったりもする。そーゆー人にとっては、「まあいいか」的コストパフォーマンスだとも言えよう。



URL
  TransPod製品情報
  http://www.focal.co.jp/product/dlo/transpod/transpod.html

2003/05/12 17:20

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