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沖縄「ラグナガーデンホテル」に泊って家具を探す!?
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


ラグナガーデンホテルの室内
 筆者を乗せて那覇に近づいたJAS559便は、いつものように、低空飛行に切り替え、相当長い間、低くたれ込めた雲が多く、気流の悪い低空を飛行して、ほぼ定刻の14時過ぎに那覇空港に着陸した。国内外を含め、今までに飛行機には既に何百回と乗ったが、筆者は離陸は未だに慣れなくて楽しくはないが、降下から着陸までのプロセスは大好きだ。昔の啓徳(かいたく)空港に海風を受けながら山の斜面に沿って着陸するキャセイ航空や、タコマ富士を見ながらシータック空港に着陸するアメリカン航空など、好きな着陸路線は多いが、沖縄・那覇空港への低空での長い着陸アプローチも好きなコースだ。

 初めて那覇に来た頃は、南の美しい島である「沖縄」を低空から見せて上げよう、という航空会社のサービス心からだと思っていた着陸前の異常に長い低空飛行が、米軍管轄の規制であると聞いた時は特別の感覚が湧き起こったものだった。

 前回は台風シーズンの沖縄で酷い目に遭った一泊出張だったが、今回はなんと本土は冬の真っ盛り、2月中旬の寒風吹きすさぶ中の南国沖縄出張となった。出発前から現地はそこそこ暖かいと聞いてはいたが、実際に那覇空港に到着して空港ロビーから一歩外に出て驚いた。到着日当日は、なんと午後からは23度もあり、寒い本土から突然行くと、ほとんど初夏という感覚だった。


一大リゾートホテル「ラグナガーデンホテル」

 今回の沖縄での宿泊ホテルは、沖縄コンベンションセンターのすぐ隣にある「ラグナガーデンホテル」という全日空系のビジネス&リゾートホテルだ。那覇空港からは、タクシーで30~40分の宜野湾(ぎのわん)市にあり、すぐ側には「普天間基地」や比較的近所には、脇を走る国道58号線沿いに、本土でも人気のミッドセンチュリー系の家具を扱う家具屋さんがいくつか点在している。


リゾートホテルっぽくない「ラグナガーデンホテル」 エントランスのロゴもシンプルだ

 ラグナガーデンホテルは外観はバカンス色を余り感じないビジネス系ホテルのデザインではあるが、一歩ホテルの中に入ると、ロビーの前には眼下に大きな空間が開け、海に面した広大なカフェレストランや一年中泳げる広い温水プールやショッピングアーケード等を抱える一大リゾートホテルなのだ。


ロビーに入るとアトリウムのようなカフェラウンジが眼下に広がる 年中泳げる室内プールも用意されている

 約束されたような、観光地によくある独特の外の見えるエレベーターで本日1泊する客室に上がる。客室は、ハワイやグアム島でもよく見かけるある程度奥行きのあるラナイのあるツインルームだ。都市圏にあるビジネスホテルではないので、エキストラベッドにもなる大きなソファもあり、バスルームも大きく、それでもトータルな居住空間は狭いとは感じさせない広さだ。


ハワイやグアムを思い出すシーサイドリゾート系の室内 ツインルームのシングル・ユースはこの手のホテルでは当たり前!?

 早速ラナイに出てみたところ、なま暖かい海風が結構強い。ちょうど目の目の前に「東シナ海」が広々と見えるが、その海とホテルの間になんと観客スタンド付きの本格的な「野球場」がある。そういえば、ホテルにタクシーで到着する前に、「歓迎 横浜ベイスターズ」という大きな看板が、沖縄独特の綺麗な煉瓦葺きの大きな門の雰囲気を壊していたのを思い出した。

 いったいどのくらいの人が、この沖縄まで来て、野球のキャンプ見物を目的にこのホテルを利用するのか知らないが、目的が「ベイスターズのキャンプ見物」ならベストロケーション・ホテルなのだろう。阪神タイガースの大昔の優勝時以来、野球には全く興味をなくした筆者には、テラスから見える「野球場」とその向こう側の海を走る「作業船」は明らかにホテルのイメージダウンだと思ったが、人の感じ方は、時と場合によっていろいろだろう。


ラナイに出たら真っ正面はなんと野球場。ラッキーと思う人と興醒めの人に分かれそう 「歓迎 ベイスターズ」の看板は美しい歓海門とはミスマッチ

客室のイーサポートもビジネスセンターもなし

 到着早々、東京のオフィスにメールを出そうとしたが、客室の中をくまなく見て驚いた。客室電話が取り付けられたモジュラージャックしかない。イーサネットのポートがどこにも見当たらないのだ。必死になって探したが、やはり見つからない。やむなくフロントに電話をして確認をしたところ、客室からネットワークに接続するには、客室電話機の側面にあるモジュラージャックしかないだという。加えて、ラグナガーデンホテル内には、インターネットやコピー等ができる「ビジネスセンター」もないということだった。

 久しぶりにモバイルPCの内蔵モデムで契約しているプロバイダーの那覇アクセスポイントに電話をして、メールを出そうかとも考えたが、大量の文字を送るわけではないので、この日はiモード携帯電話で用を足してしまった。しかし、明日のオフ時間に散策しようとしていた国道58号線沿いの家具屋さんの情報をWebで下調べしようと考えていたのが、インターネットにブロードバンド接続できないのでは極めて面倒になってしまった。

 今や、ビジネスはもちろんのこと、ブロードバンド・インターネット接続は、観光目的のリゾートホテルでもごく当たり前の機能と言える。客室で高速インターネット接続ができないとは予想もしていなかった。まして、ラグナガーデンホテルのすぐ隣は「沖縄コンベンションセンター」なのだ。


唯一のインターネットの海へのゲートウェイ!? 本当に久しぶりのモデム接続……もう2度と体験したくなかった

朝食はホテル1階「雲海」の和食バイキングで

 ネットサーフィンをすることもなく久々に早く眠ったので、朝はいつもより相当早く目が覚めてしまった。ホテルの中には朝食を食べられるいくつかのレストランがあるが、国内の出張先では和食と決めている筆者は、1階にある日本料理店「雲海」の開店を待って朝食をとった。メニューの豊富なブッフェスタイルの和食バイキングは、プライス・パフォーマンスは最高だ。

 いつもなら絶対に飲む食後のコーヒーも諦め、ロビーに居た最寄りのベルボーイさんさんに国道58号線への徒歩での出方を尋ねた。なにぶんにも、Webで事前情報を調べることができなかったので、他に方法がない。午前中に家具屋さんを巡って午後からは仕事のためにホテルに戻ってこなければならない。

 親切に対応してくれたベルボーイさんは、少し自信なさげにホテルの周囲の飲食店や銀行、コンビニなどが書き込まれた「ラグナ周辺ガイド」と書かれた1枚のコピーをくれた。58号線の家具屋さんの件を聞いたが、あまり反応はなく、「歩いて行けますか?」との筆者の問いかけに関してもやや自信なさそうに「歩いても行けるとは思いますが……」という答だった。

 やはり沖縄は米国と同じく、鉄道路線がないために、基本的に住民の移動手段はクルマなのだ。市街地の外では、幹線道路以外はバス便もそれほどくまなく走っているわけではない。「ラグナ周辺ガイド」にも、ホテルから国道58号線までの道は沿線のショップも含めて細かく記載されているが、その先はまったく何も書かれていない。Web上や沖縄の観光ガイド等にはページを割いて紹介されている国道58号線沿いの家具屋さんではあるが、意外と、地元ではそれほど注目のエリアではないのかもしれない。


朝食のお薦めは一階の和食レストラン「雲海」 和食バイキングで満腹。活動的で意義のある午後はしっかりした朝食から!

徒歩で国道58号線の家具屋巡り

 とにかく、自分の足しか頼れない状態で、午前中にどこまで行けるかわからないが、9時過ぎにホテルを出発して、13時までの4時間、ちょうど折り返し時間の11時には、どこに居ようが即刻Uターンしてホテルに戻るという計画を立ててホテルを後にした。「歓迎 横浜ベイスターズ」の看板のある「歓海門」を背にして、緩い上り坂をホテルからどんどん離れて昇ること約1km、目的の国道58号線に到着した。ここで、道路を横切らず、そなまま左折して国道58号線を真っ直ぐ「第一大山」バス停方面に向かう。

 しばらく歩くと「アンクルサム」というお店の玄関には星条旗がはためいている米軍の払い下げ家具等を展示・販売している家具屋さんが目に入ってくる。お店の内部をひと通り見るが、本土にある都心の兎小屋マンションで使えそうなモノはほとんどない。いずれ大きな家に住めるようになった時のために余裕の心とモノを見る目を養っておこう。

 場所によっては何軒か家具屋さんが集中している地域もあるが、最初の1軒を見つけたからといって、そこからズーッと家具屋さん街が始まるわけではないのが意外と広い沖縄の感覚だ。焦る心を抑えて、4時間かけてせいぜい数軒くらいの家具屋さん巡りをするという心の余裕が必要だ。


宜野湾市を横切る大きな幹線道路「国道58号線」 最初に遭遇する米国家具の販売店「アンクルサム」

 アンクルサムからまだまだ歩くと、いずれ何軒かの家具屋さんがあり、「伊佐」というバス停まであたり2km弱歩けば、そろそろ今歩いてきた国道58号線を反対側に横切って、もと来た方向に戻れば、また何軒かの家具屋さんを見つけることができる。折り返してしばらく歩くと、「RETRO」という地元でも有名な家具屋さんがある。

 東京の目黒通りにもミッドセンチュリー系の家具を販売しているお店がたくさんあるが、「RETRO」はさすが沖縄だけあってお店のスペースは本土の同系のお店に比較してかなり大きい。そのためか、展示されている商品がまばらな印象を受け、大量のミッドセンチュリー系商品が所狭しと並んでいる様子を予想してやってくる本土の旅行者にとってはちょっとがっかりな印象もあるだろう。


アンクルサムと同じサイドにあるフラミンゴ、古着やアンティークが豊富 「伊佐」バス停近くに位置する「RETRO」。この地域の代表的ショップだ

 本土のお店に比較して、珍しく希少な商品も少なからずあるが、展示されている商品のクオリティが高いかどうかは一概に言えないだろう。本土の目黒通りのように、ローカルに超大きな東京という消費社会を抱えているところには、やはり大きな市場があり、良いか悪いかは別にして、世界中から売れ筋の商品が自然と集まってくるが、ご当地、沖縄では、地元にそれに匹敵するほどの大きなローカル市場が現在あるとは思えない。

 ひょっとするとホテルのベルボーイさんさんがあまり58号線沿いの家具屋さんの話を知らなかったのは、この地域のショッピングエリアとしてのピークは、本土にミッドセンチュリーの家具ブームがやってくる2~3年前に、既に終わったのではないかと思えてきた。情報発信の仕方によっては、「目黒家具屋ストリート」よりはるかに「フェイマス」で「ラグジュアリー」なブールバードになれる要素は揃っているのに残念だ。


RETROの店内。目黒では見かけない「掘り出し物」も多い ファイヤーキングやQuad社のオールディーズなオーディオも扱う

 高速大量輸送の飛行機の発達と共に、インターネットの普及は、世界中、どこにいても、極めて有効な情報を収集し、離れた場所にある2つのモノを極めて客観的に比較して、個人がその優劣を判断して、購入できる世界を作り上げてしまった。沖縄県は、今回のラグナガーデンホテルに限らず、ほんの少し那覇市内を眺めてみても、本土ではごく普通になってきているADSL回線や光ブロードバンドの普及が一般的に遅れているような気がしてならない。年間を通じて恵まれた温暖な気候と、風光明媚な地形、伝統的で長い歴史を誇る沖縄こそ、情報活用による情報発信がこれからの発展を支える重要なキーワードだろう。

 はぶふぁん!



URL
  ラグナガーデンホテル(沖縄)
  http://www.laguna.co.jp/lgh/


(ゼロ・ハリ)
2003/06/06 15:27

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