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890万個の煉瓦で作り上げられた伝統あるホテル
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890万個の煉瓦で作り上げられた伝統あるホテル
「東京ステーションホテル」
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


膨大な数のれんがを使用してできあがった東京駅と東京ステーションホテルの全景。風格と伝統が感じられる
 国内外を問わず人気のあるホテルには、必ずゲストを強く惹きつけるなにかがある。今回ご紹介する「東京ステーションホテル」は、いくつかの恵まれた特徴を併せ持つ、JRグループが運営するターミナルホテルだ。中でも最大の特長は、東京駅の南口から「徒歩0分」でホテルに到着可能という、きわめて便利な立地にある。

 ホテル自体が東京駅丸の内側のレンガ造り駅舎の中にあるため、新幹線で夜遅く東京駅に到着したとしても、そこから在来線に乗り換えたり、長い距離を歩いたりする必要は全くない。これは長距離の移動だけで、気力の半分近くを使い果たしてしまう出張サラリーマンにはありがたいことだ。

 また、昨年秋にリニューアル完成し、今や東京の名所の1つになった「丸ビル」も目と鼻の先で、雨の日も、風の日も、雪の日も、天候をまったく気にとめることなく地下街を2~3分歩くだけで丸ビルに到着してしまう。おかげで、丸ビル人気の影響か、東京近郊に東海道新幹線で日帰り出張に出かけるときには、筆者の昼飯食堂だったホテル2階の「レストラン 椿」も最近は混み合うことが多くなった。それだけではなく、軽くお茶を飲める「赤れんが」までもが丸ビル詣で(?)のお客さんで溢れており、2002年の秋頃からは平日よりもウィークエンドの休日の方が混み合うという、ビジネス街に近い丸の内側ではあり得なかった珍現象も頻繁に起こっている。


丸ビルの真ん前、いや丸ビルが東京ステーションホテルの真ん前にリニューアルしてできたのだ 丸ビルの最上階。まだまだ満員で食事もろくにできない週末が続くのだろうか?

筆者のお勧めは「南口ホールサイド」の部屋

 ホテルでは客室の窓やテラスの向きによって、「オーシャンサイド」や「マウンテンサイド」、「タウンサイド」や「リバーサイド」というような区分けをしている例が多い。レンガ造り3階建ての東京ステーションホテルもそれは同様だ。ただ面白いことに、メイン・エントランスが丸の内側に面し、ホテル自体が東京駅の敷地の一部にある関係から、部屋は3つのロケーションに分けられている。

 丸の内側に面して南向きの窓がある「丸の内サイド」、そして北側のJR線ホーム側に面した「プラットフォームサイド」、そして東京ステーションホテルの最も特徴的な部屋が、前述の2種類の客室の中間にあり、ちょうどJR東京駅の大きなドーム状の南口改札口ホールに面した「南口ホールサイド」だ。

 東京ステーションホテルも一般的なホテルと同様に、シングルルームからツインルーム、トリプルルームまでのラインナップが用意され、2階と3階を占める客室は、全59室。コンパクトで風格のあるホテルを形成している。ご想像の通り、1泊の費用は丸の内サイドが一番高く、意外と特徴的で筆者としては一押しの「南口ホールサイド」の客室は相対的には安い。駅舎内にあるホテルを実感したい方には「南口ホールサイド」の客室がお勧めだ。


有名な東京駅丸の内口の大ホール 夜になるとホテルの正面入り口はライトアップされ、ビルディングではないホテルの暖かみが感じられる

90年の歴史を感じさせるホテル内部

それほど広くはないロビー。チェックインカウンターは左側。正面の階段を上るとレストランや客室へ行ける
 1階のホテルロビーに到着し、チェックインを済ませると、正面右側の目の前に深紅の絨毯を敷き詰めた階段が見える。もちろんエレベーターもあるが、最上階の部屋でも3階だ。ここは階段を上がって行くのが楽しみなホテルだ。階段を上がってすぐの「レストラン 椿」の前を通り過ぎて、南口ホールの所まで来ると、廊下の壁には多くの絵画が展示されていることに気が付くだろう。

 また、2階の廊下のところどころにソファのある談話コーナーもある。すぐそばには、今度は3階に上がる階段が見える。3階は全てが客室のフロアだ。客室は近代的な都市型ホテルと比較するとさほど広くはないが、もちろんビジネスホテルの比ではない。古いものを大事に清潔に保ち、整備されたベッド周りや、洗面には、高級感とはまた違う好感が持てる。丸の内側の窓は大きな重い鉄の窓枠に正方形のガラスをパテで固定したようなとても懐かしい雰囲気で、良い意味で、東京ステーションホテルが90年の歴史を生きてきたと感じさせるものだ。


ホテルの廊下のところどころに用意された談話コーナー 2階の宴会場への連絡通路から南口ホールがすべて見える

 筆者はこの日、「丸の内サイド」の「ダブルルーム」に宿泊したが、ホテル3階の客室に宿泊したのはマンハッタンのプチホテル以来だったので、窓から見える景色や、目の前を走りすぎる黄色い「はとバス」等がやけに新鮮で、しばらく窓の外をボーっと眺めてしまった。

 運悪く宿泊客がいっぱいで、「南口ホールサイド」の客室に宿泊できなくても落胆することはない。レストランと一部の客室が同居する同ホテルの2階は、ちょうど南口ホールに当たる部分が宴会場への連絡通路となっているので、南口ホールの大きなドームアトリウムに面した連絡通路から1階の改札口や、思い思いの方向に行き交う人をゆっくりと眺めることができる。この南口ホールは、時によってはオーケストラのフリーコンサートが行なわれたり、郷土のイベントがされたりするのでも有名な所だ。これと同様の景観をもう1階上から眺めることができるのが、3階にあるの「南口ホールサイド」の客室だ。


ほとんどだれも気づかないが、改札周囲の人たちが手に取るように見える 逆に、今度は1階から先ほどの2階の連絡通路の窓を見上げる

ゲストルームは広くはないが、ビジネスホテルのように狭くもなく日本人にはちょうど安心できるスペースなのかもしれない すぐ窓の外は中央郵便局、その向こうに丸ビルかオフィス街が見える

昼間とはうってかわって静寂な丸の内サイドの客室。確実に安眠できる 1人で寝るには十分なサイズのダブルベッドだが、カップルならキツイかも

イーサポートのある伝統的ホテル

 当然、こんな伝統的なクラシックホテルだから「客室でインターネット」なんかは端から期待しておらず、遠距離の出張にはいつも携帯している「イーサネットケーブル」も「USBイーサネットアダプター」も持っていなかった。

 しかし、客室に入ってデスクの上を見て驚いた。そこにはなんとイーサネットのポートが用意され、ブロードバンドインターネットがLAN経由でできると書かれてある。ホテルのフロントでイーサネットPCカードやLANケーブルを借用することも可能だが、ドライバの導入や面倒なことを避けるために、普段使っているUSBイーサネット・アダプタとLANケーブルを買い出しに歩いてすぐに行ける同じ東京駅構内にある「さくらや」に向かった。

 やっぱり東京駅構内にあるホテルは便利さが違う。IT製品だけではなく、実はこの同じ日に、突然、筆者の靴の踵が吹っ飛んでしまった。その修理もホテルのフロントから歩いてほんの2~3分のところでほんの十数分で新品同様に交換できた。ターミナルにあるホテルの便利さをますます痛感した1日だった。


まさかのブロードバンドインターネット完備。今やホテルのパンフレットに特別に記載するほどのことでもなくなったようだ 町内会、いや構内会のさくらやで購入したLANケーブルとUSBアダプタ。これでこの日の夜も快適なネットワーク環境を実現できた

ランチは「レストラン 椿」がお勧め

ブレックファーストはホテル2階の「レストラン 椿」がグッドだ
 こんなに何でも徒歩圏で揃う超便利な東京ステーションホテルだから、もちろん、朝から晩まで食事に困ることは皆無だ。しかし、冒頭にも書いたがホテルの階段を上ってすぐの「レストラン 椿」のランチはなかなかだ。豪華なディナーなら丸ビルまで少し足をのばしても良いが、たくさんの人混みを見るのが嫌なら、ホテル内のフランス料理のレストラン「ばら」がお薦めだ。仲の良いカップルでの夕食なら、1つのお皿に盛られて登場する料理を全て2人で分けて食べる「ラブポーション」が最適だ。リーズナブルな価格でバラエティに富んだディナーをゆっくりと楽しむことができる。

 久しぶりに東京、それも鉄道ターミナルの中心に位置する伝統的な「東京ステーションホテル」に1泊したが、「東京ステーションホテル」は地方からの出張ビジネスマン・ビジネスウーマンの宿泊以外にも、残業で遠方まで帰るのが億劫になったときや、遊び疲れた週末などに泊まって、翌日の朝一番から活動的に行動する気させるベスト・ロケーション・ホテルだろう!

 はぶふぁん!


・ 東京ステーションホテル
  http://www.tshl.co.jp/


(ゼロ・ハリ)
2003/01/24 11:23

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