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ドコモ株主総会、iPhone発売の可能性を引き続き検討へ

ドコモの中村氏
 NTTドコモは、6月20日午前10時から、東京・紀尾井町のホテルニューオータニにおいて、第17回定時株主総会を開催した。今回の株主総会を最後に社長退任が決定している中村維夫社長が議長を務め、会場には1978人(12時時点)の株主が出席(昨年の出席数は2047人)。インターネットなどによる議決権行使を含めて、議決権個数は3786万6119個(12時時点)に達した。

 ビデオで紹介された2007年度の事業概況については、料金サービスの拡充、新販売モデルの導入、ネットワーク品質の向上、端末ラインアップの強化、サービスの充実などに取り組んだことを説明。新たな料金割引サービスの影響によって、営業収益が減少したものの、新販売モデルの導入による代理店手数料の減少などによって営業利益は増益となったことを示した。


CSRについて

 続いて、平田正之副社長が、CSRなどに関する説明を行ない、防災への取り組みとして、行政機関や地方自治体との合同防災演習・訓練に参加していること、災害時におけるサービスエリアの確保、充電サービス、端末の無料貸し出しなどを行なっていることを紹介した。中村社長によると、「利用停止中のお客様にも、災害が起こった際にはすぐに利用できるようにしている」という。

 さらに、「お客様との関係を、深さと長さを重視した事業展開をしていく考え」として、今年4月に発表した新ドコモ宣言を紹介。「コアビジネスの基盤強化による競争力の強化」、「新たな価値創造による収益の拡大」、「コスト削減・効率化への取り組み」の3点を重点的に取り組む姿勢を示した。また、今年7月から全国1社の事業運営体制へと移行することについても説明された。


iPhoneやBlackBerryについて

 質疑応答では、ドコモのiPhoneの取り扱いについて、「契約条件があわない、端末が重たいのが理由」と発言したことについて質問があり、辻村清行取締役常務執行役員が回答。「iPhoneは、ユーザーインターフェイス方式にタッチパネルを採用しており、それが魅力であり、一定のアップルファンには訴求力がある。NTTドコモとしても、検討し、取り組んできたが、iPhoneの一番の特徴である全面タッチパネル方式の端末は、すでにLGのプラダフォン、シャープのSH906iという形で投入しており、十分に対抗していけると考えている。また、タッチパネル端末を増やしていきたいとも考えている。アップルとの交渉内容については、アップルと秘密保持契約を結んでいるため、回答を控える。今後もiPhoneの動向を注視するとともに、ドコモからのiPhone発売の可能性を追求していきたい」とした。

 また、iPhoneの重量に関する発言について、当事者である中村維夫社長が直接回答。「取材の際には旧機種だったので、重たいと発言した。新しい製品は、130gと重量としては魅力的になっている。今後、新しい電話機に関して話すことになるので、発言は障害にはならない」とした。

 一方、BlackBerryに関する取り組みについては、山田隆持副社長が回答。「法人に特化した事業として、BES(BlackBerry Enterprise Service)を展開しており、予定表の利用をはじめ、まさにパソコンを外に持ち出したのと同じ状況で使えるようになっている。企業が独自にサーバーを立てるという使い方であり、日本ではこれが進み、すでに2万台を超える台数が使われている。一方で、一般個人ユーザーが使う環境としては、RIM社のサーバーを利用する必要があるが、これに関しては、検討しているところである。全世界で1400万台が使われている、使いやすい端末と認識しており、鋭意進めていきたい」と語った。


WiMAXにはSuper 3Gで対抗

 WiMAXの事業免許を取得できなかった点については、辻村取締役常務執行役員が回答。「事業免許は、残念ながらいただくことはできなかった。今後は、他社が構築したネットワークを当社がMVNO方式によって、サービスを提供していく方法などが考えられる。だが、第3世代を超えるSuper 3G方式、いわゆるLTE方式があり、これでWiMAXに匹敵できるものと考えている。私どもの技術の延長線上で実現できるのものであり、サービス、設備の準備を進めていく」とした。


携帯マナーや犯罪への対応について

 携帯電話を歩行しながら、あるいは自転車に乗りながら使用しているユーザーが増加し、マナーの悪さが目立つとの指摘については、平田副社長が回答。「ドコモとしては、カタログ、説明書でマナーについても訴えている。広告でも、時期を選んで、テレビ、新聞、雑誌、交通広告を掲載し、子供向けにもドコモケータイ安全教室を実施している。引き続き、マナーについてアピールしていく」とし、中村社長は、「自転車での使用などについては、法令化も働きかけてていきたい」などと述べた。

 また、平田副社長は、「携帯電話が犯罪に利用されていることに対し、抑止力を出すことはできないのか」との質問に対して、「事業者だけで全面的に抑止することは難しい。犯罪利用の機会を減らすという点で、不適正な利用の防止強化、受付時の適正な名義確認を行なっている。振り込め詐欺の利用防止では、過去に利用停止があった名義リストを事業者間同士で共有し、不正利用できないようにしている。関係機関と連携して一歩一歩進めていきたい」と回答。続けて、中村社長が、「固定電話は住所が明確だが、携帯電話は匿名になりやすいため問題になっている。本人確認を徹底的にやる。匿名性が最も高いプリペイドの通話の受付は終了している」と、ドコモの取り組みについて説明した。

 携帯電話を紛失した際の対応については、「電波が届くところでは、携帯電話がどこにあるかを検索したり、携帯電話を無くした場合にも困らないように、電話帳を預かるサービスを提供している」(辻村取締役常務執行役員)、「携帯電話端末には一時金がかかるものの、紛失時の保証サービスを用意している」(熊谷取締役常務執行役員)とし、「端末までの保証をしているが、その先についての保証は現時点では考えていない」(中村社長)とした。


料金施策、ポイントサービス

 料金施策に関する質問では、中村社長は、「5300万人のドコモのユーザーに長く使ってもらいたい。そのための料金施策である。料金値下げの競争のヤマ場はすぎた。先が見えてきたのではないかと考えている。携帯電話の価格を下げることにも取り組んでいる」と語ったほか、パケットの定額制については、「上限額は月3900円(税込4095円)で提供しており、auや、ソフトバンクよりは安い。だが、他社の定額制度は2段階となっており、そこは検討していく必要がある。現在の設備投資のほとんどが、トラフィック対策となっている。これについては、ハイスピード化、大容量化で対応していくことになる」とした。

 また、平田社長は、「ドコモは一人負けと言われているが、いまでもナンバーワンシェアであり、販売されているのは半分以上が当社のもの。シェアが高いだけ厳しい環境にあるが、魅力ある端末、料金、サービスを強化することで、価値を向上したい」とした。

 「プレミアクラブのポイントを通話料金に充当できないか」という質問に対しては、熊谷文也取締役常務執行役員が、「ポイントは、端末の買い換えに使っていただくために利用してもらうのが主旨。末永く端末に利用してもらうためのもの。実際に、約95%が端末の買い換えに利用されている」とし、これを補足するように中村社長は、「ポイントは、購入月によって異なるが、最長3年の利用ができる。通話料金への充当についてのご要望はいただいているが、料金に関しては、競争環境も厳しく、割引制度主体でやっていきたい。ポイントの端末への利用は、お願いであり、しばらくご了承いただきたい」と回答した。

 長期利用者に対する優遇措置については、熊谷取締役執行役員常務が回答。「10年以上の長期利用者への優遇措置として、ポイントプログラムを4月から見直し、利用金額でのポイント付与とともに、契約年数の条件も加味した。10年以上使用しているユーザーに対しては、最大料金利用者と同じ5%の還元率としている。また、10年以上の契約者で、同じ端末を1年以上使っている人に対しては、無料で電池パックを提供するといったことを、今年10月から始める予定である」とした。


低迷する株価、海外展開について

 株価の低迷については中村社長が回答。「申し訳ないと考えている。1億台の携帯電話が出ており、将来の国内における発展性に対する危惧が抱かれていること、番号ポーデヒリティ以降の料金値下げがあり、財務体質への危惧があることが大きく影響している。また経済環境の不透明感も影響している。いかに成長路線を取れるかが、次の大きな課題である。ブランド戦略を含めて徹底的に見直している」とした。

 また、平田副社長は、「国内では新たなサービスを考えていきたい。クレジットカードビジネスや、グーグルとの検索サービス、音楽、映像への展開に務めるなど、通信をコアに、その周辺ビジネスへの展開を考える。海外では、ローミングサービスの強化、海外に進出する日本の企業に対するソリューション提供、そして海外のオペレーターにどう出資するかということも考えている。オペレーターへの出資は、アジアを中心にやってきており、事業協力ができるところに出資していく。中国とインドにはまだ出資していないが、これらの国では、通信方式が定まっておらず、外資規制という状況。チャンスがあれば出資したいと思っているので、人的交流などを進めている段階。また、欧米もチャンスがあれば考えたい。海外オペレーターへの出資は、慎重に、確実に進めていきたい」とした。

 中村社長は、「海外比率を増やしたいと思っている。リスクが伴うこと、売り物が出てこないということもあるが、2年前には400億円だった海外からの配当が、いまは1000億円程度になっている」と、着実に海外での成果があがっていることを示した。


ドコモの新社長に山田隆持氏

新社長に就任予定の山田氏
 なお、新社長に就任予定の山田隆持氏をはじめとする取締役13名の選任や定款の一部変更、自己株式取得などのの第1号議案から第5号議案までの決議事項は、満場一致で決議され、12時8分に終了した。

 最後に中村社長は、「4年間の任期中には、ナンバーポータビリティなどにより、競争が激化した。そのなかで、全身全霊を込めて取り組み、一定の道筋をつけたと思う」と自身の社長としての取り組みを総括した。また、山田新社長は、「携帯電話事業は、これから一層厳しくなると考えている。お客様ひとりひとりに満足してもらえるサービスを提供していくことが、最も重要。お客様の声や、現場の社員の声を大切にして、事業運営に反映していきたい。ドコモの企業価値の向上に全力を尽くす」と抱負を述べた。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  株主総会について
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/event/meeting/index.html


(大河原克行)
2008/06/20 13:59


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