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「iPhone 3G」で変化した3つのポイント

 6月9日のWWDC 2008で発表されたiPhone 3Gだが、そのスペックを見比べると、従来のiPhoneから大きく変わった部分は3カ所であることが分かる。1番目は価格、2番目は3Gサポート、3番目がGPS機能の追加だ。

 昨年6月の発売時点で、iPhoneの価格は499ドル(4GBモデル)と599ドル(8GBモデル)に設定されていた。4GBモデルは2カ月余りで姿を消し、8GBモデルの価格は2007年9月、399ドルに改定された。さらに2008年2月に16GBモデルが499ドルで追加され、今に至っている。

 今回発表されたiPhone 3Gは、最初から8GBモデルが199ドル、16GBモデルが299ドルと、従来よりも200ドル安価に設定されている。iPhone 3Gは年内に70カ国での販売を予定するなど、これまでより販売規模が拡大することが見込まれている。“Sr. Director of iPhone Product marketing”の肩書きを持つAppleのBob Borchers氏も、「世界中のキャリアと協力した結果、この価格が実現した」ということを述べていたが、量産効果だけで一気に半額(8GBモデルの場合)というのは、アグレッシブに過ぎる。

iPhoneiPhone 3G
発売日2007年6月29日2008年7月11日
容量4GB/8GB8GB/16GB
米国価格499ドル/599ドル(399ドル)※注199ドル/299ドル
高さ115mm115.5mm
61mm62.1mm
厚み11.6mm12.3mm
重さ135g133g
ディスプレイサイズ3.5インチ3.5インチ
解像度480×320ドット480×320ドット
内蔵カメラ200万画素(ビデオ不可)200万画素(ビデオ不可)
GPSなしあり
GSM850/900/1800/1900MHz850/900/1800/1900MHz
3Gなし850/1900/2100MHz
無線LAN802.11b/g802.11b/g
Bluetooth2.0+EDR2.0+EDR
連続待ち受け時間250時間300時間
通話時間(GSM)8時間10時間
通話時間(3G)なし5時間
ビデオ再生7時間7時間
音楽再生24時間24時間
インターネット6時間5時間(3G)/6時間(WiFi)
※注2007年9月価格改定、2008年2月に16GBモデル(499ドル)を追加


 同日、AT&Tが出したプレスリリースによると、iPhone 3Gの導入に際し、AT&TとAppleはiPhoneビジネスで新たな合意に達したとしている。それによると、iPhone 3Gに関しては従来の利益共有モデル(月々の利用料金の一部をAppleに支払うモデル)を止め、電話機事業で一般的な報奨金モデルに切り替わる。つまりユーザーが支払う199ドルや299ドルという価格は、2年契約を前提に、AT&T(キャリア)が割り引いた価格ということになる。


会場となったMoscone Westコンベンションセンター

会場となったMoscone Westコンベンションセンター
 言い換えると、仮にiPhoneとiPhone 3Gの端末価格が同じだとして、割り引いた200ドル分はAT&Tが負担するかわりに、毎月の使用料はすべてAT&Tが受け取る、ということになったわけだ。これは「インセンティブ方式(販売奨励金方式)」とも呼ばれる手法だが、携帯電話の世界では、このインセンティブ方式がずっと一般的であり、全世界に販路を広げるには、こうした方法を採らざるを得なかったのだと思われる。米国におけるiPhone 3Gの月額利用料金は、39.99ドルからスタートする音声プラン(無料通話分を含み、それを超えると従量課金)に、30ドルのデータ定額料金(個人契約の場合)が加わるということになる。電話料金については、3Gネットワークの普及度合い等の違いもあり、国ごとにさまざま。日本での利用料金がどのようになるのか、現時点では不明だ。が、このAT&Tの料金プランが1つの目安になることは間違いないだろう。

 さて、iPhone 3Gが大幅に安くなった結果、微妙になってくるのがiPod touchだ。従来は電話機能のあるiPhoneより、電話機能のないiPod touchは100ドル安かったが、iPhone 3Gでは価格が逆転してしまう。現時点で、すでに旧iPhoneはオンラインストア(AppleおよびAT&T)からも、サンフランシスコ市内のApple Storeからも姿を消しているが、iPod touchは同じ価格で販売が継続されている。

 もちろんこれは上記のインセンティブ方式の仕組みを考えれば不思議ではない。が、正直iPod touchの商品としての魅力は大幅に低下することが避けられない。かといってiPod touchの値下げの原資となる奨励金を負担する会社や、その根拠となるサービスはないし、もしiPod touchの値段を下げると、他のiPodとの価格バランスをどうとるか、という問題も生じる。iPhone 3Gの登場で、電話機能のないiPod touchは事実上フェードアウトすることになるのか、それとも新しいひとひねりがあるのか(ならば今回発表されて良かったはずだが)という点も注目されるところだ。


キーノートスピーチを行なうJobs氏

キーノートスピーチを行なうJobs氏
 次に3Gのサポートだが、iPhone 3Gでは850MHz/1900MHz/2100MHzという周波数帯をサポートする。日本では2100MHzが使われることになるだろう。従来のiPhoneに比べて利用する周波数帯が増え、アンテナを増やす必要があることも、本体背面を樹脂製にした理由だとしている。

 データ通信速度(HSDPA)の上限はClass6の3.6Mbpsまで。現時点でSoftbankのHSDPAサービスは3.6Mbpsまでなので、サービスと端末の整合性はとれている。米アップルCEOのJobs氏はキーノートスピーチで、従来のEDGEサービス(2.5G)を利用したiPhoneに対して、HSDPAサービス(3.5G)を利用したiPhone 3GのWebページ表示は2.8倍高速化されることを示した。また、同じHSDPAサービスをサポートした他社製のスマートフォンに対し、36%高速であるとのデモも行なっている。

 果たして、こうした結果にハードウェア(CPUやGPU)のパフォーマンス向上が含まれているのかどうか、気になるところだ。特に他社製スマートフォンとの比較は、ハードウェアの比較であると同時に、ソフトウェア(特にブラウザ)間の比較という要素が大きい。上述のBorchers氏による回答は、トータルで従来比2倍の性能向上を果たしているが、その詳細(何割が通信速度の向上によるもので、何割がハードウェアの性能向上によるものか)については現時点で公開していない、ということであった。


従来のEDGE方式を利用したiPhoneに対して2.8倍のスピードが得られるというiPhone 3G iPhone 3Gは他社製のスマートフォンに対しても36%高速だとするが、ソフトウェア(Safari)に依存する部分も大きいと思われる
従来のEDGE方式を利用したiPhoneに対して2.8倍のスピードが得られるというiPhone 3G iPhone 3Gは他社製のスマートフォンに対しても36%高速だとするが、ソフトウェア(Safari)に依存する部分も大きいと思われる

 公開されているバッテリー駆動時間などの情報を見る限りでは、チップセットの世代が更新され、バッテリー駆動時間は若干伸びたが、アプリケーションプロセッサの性能に大きな違いはない、という印象を受ける。Jobs氏のデモでは、従来よりも高速化した3G(HSDPA)サービスだが、iTunes Storeからの楽曲購入には利用することができず、通信経由での楽曲購入は、従来通りWi-Fiネットワークを利用する必要がある。


GPS機能を内蔵するiPhone 3G

GPS機能を内蔵するiPhone 3G
 従来のiPhoneについても位置情報を取得する機能はあったが、携帯電話基地局からの情報やWi-Fiホットスポットからの情報をもとにした「なんちゃってGPS」だった。GPS機能を内蔵するiPhone 3Gは、正確な位置情報を取得することが可能だ。

 注意が必要なのは、内蔵カメラで撮影した写真にデフォルトで位置情報(ジオタグ)が付与されること。そのままブログなどインターネット上に写真をアップロードすると、撮影場所の正確な地理情報まで公開されることになる。設定で写真への位置情報付与は無効にできるし、位置情報を付与する際に確認を求めるよう設定することもできる。うっかり自宅の住所を全世界に公開しないよう注意した方がよいだろう。

 iPhone 3Gが標準で搭載し、既存のiPhoneユーザーに無償提供されるソフトウェア「iPhone 2.0」だが、1つ残念な点がある。それは中国語入力のデモで披露された手書き入力機能が日本語モードでは利用できないことだ。日本語の入力は従来のQWERTYキーボードモードと、追加された10キーモードの2つということらしい。読みが分からない漢字、あるいは推測変換でなかなか出てこない漢字など、手書きがあると助かる部分もあるだけに、将来的なサポートを期待したいところだ。



URL
  製品情報
  http://www.apple.com/jp/iphone/

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(元麻布 春男)
2008/06/10 23:03


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