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中国の通信機器メーカー、Huaweiとは?

 中国のメーカー、Huawei Technologies(華為技術、ファーウェイ)が日本のメディアを対象にプレスツアーを10月16~18日にかけて開催した。

 Huaweiと言われても、日本では知らない人も多いだろう。本稿では、HuaweiのEastern Pacific Regional Division Marketing Dept. Marketing Communications ManagerのFiona Cheuk(卓 以荘)氏の説明やショウルームの見学取材を元に、Huaweiについて紹介する。


Huaweiの製品ポートレート。幅も広いが、それぞれの分野でそれなりのシェアを持つという
 Huaweiは中国の広東省深セン(シンセン)市に本拠地を置く、通信機器のハードウェアベンダーだ。中国の企業だが、国営企業ではなく民間企業である。扱う製品分野は広く、有線ネットワークから3GやGSMなど移動通信まで、さまざまな製品を開発し、世界中で販売している。主にネットワーク設備など事業者向け設備機器などで展開しているが、携帯電話の端末もキャリアに提供している。

 固定・移動の両方で展開し、ネットワーク設備から端末までを1社で開発する企業は、世界的に見ても珍しい。さらに子会社には、半導体設計を行なうHisilicon Semiconductor(シリコンデバイス)やアンテナ鉄塔を作るAgissonなどもあり、まさにエンドトゥーエンドな製品展開を行なっている。

 製品の多くは通信事業者向けの設備・機器となっている。要するに、19インチラックに入れるような通信事業者向けのルーターなどを作っているわけだ。たとえばIPコアルーター分野では世界第3位、DSLAMとMSANでは世界第1位のシェアを持っているという。光通信ネットワーク技術では、5,000kmを中継器なしでつなぐ技術を持ち、ロシアのTransTelecomに総延長25,000kmの光通信ネットワークを提供している。


Huawei本社にあるショールーム。Huaweiの主力商品であるネットワーク設備がなど展示されている(Huawei提供写真) 各分野での世界シェア。固定・移動通信の広い分野で高いシェアを確保している

 2006年の売り上げは110億ドルで、そのうち65%が海外との契約となっている。固定・移動通信で世界のトップ50に入る事業者のうち、31の事業者と契約を結んでいる。南アメリカや中東、アフリカ、アジア・パシフィック地域、CIS(旧ソ連諸国)などエマージング市場、いわゆる発展途上国でシェアを高めているが、その一方でボーダフォンのスペイン、イギリスのブリティッシュテレコム、Tモバイルのハンガリーなど、メジャーな事業者にも設備などを提供している。


発展途上国エリアでのシェア メジャーなキャリアとの契約。固定通信もあるが、移動通信関連が多い

 2006年の携帯電話事業者との契約では、売上額こそエリクソンに次ぐ2番目だが、獲得した契約数では1位だという。

 研究開発部門に力を入れているのも、Huaweiの特徴だ。全世界に6万2千人いる社員のうち、半分近い48%がR&D、つまり研究開発部門に所属している(2006年12月時点)。しかも会社規模は大きく成長中で、2006年は2万人を新規雇用したという。

 同時に知的財産、つまり特許の取得にも力を入れていて、2006年12月時点で2,742の特許を取得している。3GPP関連の特許としては、ノキアとエリクソンに次ぐ3番目の特許数を持つという。


社員の48%が研究開発部門に所属する 研究開発拠点はシンセン市の本部以外にも様々なところにある

標準化団体にも参加し、多数の特許を取得している さまざまな欧米企業と提携をしている。シーメンスやシマンテックとは合弁会社を作っている

設備から端末、サービスまでをエンドトゥーエンドで提供

 Huaweiは会社自体の歴史も浅く、携帯電話事業も後発のため、初期から携帯電話事業を展開している事業者にはあまり強くないが、これからネットワークを作ろうという後発の事業者には強いようだ。日本においても、イー・モバイルが札幌や仙台などのネットワークにHuaweiを採用したことはご存じの方も多いだろう。

 イー・モバイル同様に、Huaweiは香港のPCCW Mobileにもネットワーク設備などを提供している。


香港のショウルームにおけるPCCW MobileのHSDPAのデモ。実測値で3.36Mbpsのダウンロード速度がでていた
 PCCW MobileはPCCW(香港の固定通信でシェア1位の事業者)が、2006年に既存の携帯電話事業者SUNDAYを買収してできた事業者である。PCCW Mobile(SUNDAY)の携帯電話シェアは小さいが、2006年に開始された3Gサービスは、後発ながらHSDPAにも対応し、3Gではシェア2位になっているという。

 もっとも、香港ではまだ2Gが主流で、3Gはあまり普及していない。しかし逆に言うと、普及していない3Gで、後発ながらシェア2位を取れるだけ、消費者にとって魅力的な低廉な価格と高品質をPCCW Mobileは実現しているとも受け取れる。

 HuaweiがPCCW Mobileに対し、ネットワーク設備だけではなく、端末の提供も行なっている。Huawei製のエントリー向けケータイとUSB接続型のHSDPA端末が、PCCW Mobileブランドで販売されている。

 Huaweiの強みは、このようにネットワーク設備だけでなく端末も提供できることにある。通信事業者が3GネットワークやHSDPAネットワークを新規に構築したとき、それを利用できる端末も同時にHuaweiから調達できるというわけだ。とくにUSB接続型の端末は、HSDPAネットワークを活用できる製品なため、PCCW Mobileだけでなく、さまざまな事業者に採用されている。日本でもイー・アクセスがHuawei製のUSB端末を採用しているので、見たことがある人や持っている人も多いだろう。

 ちなみにイー・アクセス版のUSB端末「D01HW」は、1.7GHzの周波数帯に対応した日本独自仕様である。このように、キャリアのニーズに合わせた製品カスタマイズを素早く行なえることも、Huaweiの特徴というわけだ。

 このほかにもHuaweiはコンテンツやサービス、ソリューションなども開発し、事業者に提供している。PCCW Mobileに対しては、マルチキャスト技術による映像配信プラットフォームを提供しているという。変わったところでは、Ring Back Tone(RBT)と呼ばれる機能のカスタマイズサービスを中国の携帯電話事業者チャイナモバイル(中国移動)に提供している。


西洋とアジアの良いところ取り

Huaweiの「Core Value」
 Huaweiの真価は、「西洋のマネージメント慣習とアジア文化の知恵を組み合わせたところ」にあるという。前述の研究開発に力を入れ、独自の特許を多数取得している点も西洋的だが、ほかにも製品開発や人材、財務、品質などのマネージメントに欧米企業の技術を取り入れているという。

 また、2004年のスマトラ島沖地震や1998年の中国での洪水などでは多額の金銭と機材を寄付するなど、欧米の企業のように社会貢献にも力を入れている。

 欧米的な企業スタイルと中国人による高い生産性を両立させたのがHuaweiというわけだ。


マネージメントにはさまざまな欧米企業のコンサルタントを取り入れている Huaweiによる社会貢献


URL
  Huawei(英文)
  http://www.huawei.com/


(白根 雅彦)
2007/10/23 10:57

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