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イー・アクセス、3月にも「TD-SCDMA(MC)」方式の実証実験

イー・アクセス 代表取締役社長の千本 倖生氏
 イー・アクセスは5日、定額制で高速なモバイル通信サービスの提供を目指して同社が採用した新技術「TD-SCDMA(MC)」に関する報道関係者向け説明会を開催した。同社技術部長の諸橋 知雄氏のほか、新技術を開発した米Navini NetworksのCEOを努めるアラステア・ウェストガース氏、製品管理や戦略的マーケティングを担当するサイ・サブラマニアン氏から、「TD-SCDMA(MC)」の説明が行なわれた。

 「TD-SCDMA(MC)」とは、「Time Division Synchronous Code Division Multiple Access(Multi Career)」の略で、IMT-2000システムの無線方式の1つでもある「TD-CDMA」方式を改良したもの。イー・アクセスでは、12月に「TD-CDMA方式」による実験局免許を総務省に申請していたが、その後「携帯電話事業者や他社に勝つためには、3Gではなく、“3.5G”の技術を採用しなければならない」(諸橋氏)という判断によって新方式の採用に至ったという。

 「TD-SCDMA(MC)」方式は、W-CDMA方式やCDMA2000方式のように、いわゆる3Gとして標準化された技術ではない。ただし、Naviniによれば「米国内では標準化直前の段階にある」としている。特長としては、「スマートアンテナ」「マルチキャリア」「上り同期CDMA」と3点が挙げられている。

 従来の移動体通信用基地局では、アンテナから全方位に向けて電波が発信されているが、「スマートアンテナ」は端末の位置に向かって指向性を持たせて電波を発するため、消費電力を節約できるほか、電波がユーザーごとに別々の方向へ行くために干渉が抑えられるという。

 また「マルチキャリア」とは、周波数を分割して利用する技術でセル間の干渉や信号の強弱を抑え、品質維持に役立つ。また「上り同期CDMA」は、マルチキャリアによってチップと呼ばれる情報をサブキャリアに分割することで、チップ電送の時間間隔を広く取って同期を実現し、補正に必要な端末側の電力を節約できるという。


イー・アクセス 技術部長の諸橋 知雄氏 米Navini NetworksのCEOを努めるアラステア・ウェストガース氏

スマートアンテナは電波干渉を抑え、消費電力も節約できるという TD-CDMA方式やOFDM方式をあわせて、それぞれの弱点を補ったような特長を持つ

 イー・アクセスでは、3月にもTD-SCDMA(MC)方式による実証実験を開始したい考えで、現在実験局の免許を総務省に申請するための準備を整えているという。同方式は、米Verizonや韓国KT、hanaroといった移動体通信事業者が実験を終え、正式サービスの準備、あるいは検討を開始している。気になる通信速度は、Naviniのウェストガース氏によれば、韓国では端末側のスループットが1.8~2.2Mbpsという結果を残したとのこと。

 日本での実験が行なわれる場合、使用される周波数は2GHz帯のうち、2,010~2,025MHzになる見込み。この周波数帯が利用されるのは、単に2GHz帯で空いている部分であるから、という理由に基づいているが、Naviniによればその2GHz帯にこだわる必要はなく、別の周波数帯でも動作するという。


将来を見据え、「TD-CDMA」ではなく、「TD-SCDMA(MC)」を採用したという 韓国の実験では、2.5~3Mbpsというスループットを記録。日本では3月にも実験を開始したい考え

 会見途中から姿を見せたイー・アクセス 代表取締役社長の千本 倖生氏は、サービスの詳細は実験を行なわない限りわからないとした上で「いわゆる携帯電話のようなサービスは考えていない。ノートパソコンに端末を接続して、屋外でもブロードバンドを味わえるような内容にする。利用料はどうなるか不明だが、基本的に定額制で行くつもりであり、ユーザーに受け入れられる価格帯に設定する」と述べた。音声サービスに関しては、「VoIPでのサービス提供は技術的に問題はない。ニーズがあればやる」(諸橋氏)としており、それほど積極的ではない。

 有線でのブロードバンドサービスを提供している同社だが、今回無線サービスへ参入する理由として千本氏は、「一昔前、会社では通信速度が早いのに、自宅にはISDNしかないという状況だったが、そこにADSLのようなサービスを求めるマーケットが存在した。自宅では数Mbpsという速度で楽しめるのに、今の日本では外出すると32kbpsというように低速環境しかない。(屋外でも高速環境を味わえる)公衆無線LANスポットはアンテナのある場所に行かねばならない。屋外でもブロードバンド環境を求めるニーズはある」と語り、潜在的なマーケットが存在するという見解を示した。

 正式サービスの開始時期は未定だが、千本氏は「携帯電話やPHSがスタートとした時と同じようなスケジュールになるのではないか。その際は東京や大阪といった大都市圏に限られるかもしれないが、今春スタートして、1年実験し、さらに1年後には提供したい」と述べ、2006年春頃を目処にしていきたい考えであることを明らかにした。



URL
  イー・アクセス
  http://www.eaccess.net/

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(関口 聖)
2004/02/05 17:21

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