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【ドコモ定例記者会見】今年度末のFOMAの目標は146万

 NTTドコモの立川敬二社長は、2003年3月期連結決算発表を含む定例会見を行ない、2003年度末におけるFOMAの累計加入目標数を146万とすることなどを明らかにした。


FOMA、今年度末は146万が目標

立川敬二社長

立川敬二社長
 立川社長は、「FOMAは大変ご心配をかけたが、2003年3月末で目標の32万をクリアした。今年はFOMAを重点的にやっていきたい」と語った。立川社長によると、「個人と企業の比率は7対3。予想以上に個人利用が多かった」として、FOMAの加入者数の増加の背景には、「問題としていた端末機に魅力的なものが出始めたこと、ネットワークエリアの整備の問題も解決しつつあることで、利用者にはだいたい満足していただけるようになった。今後は、ビル内や地下街にもエリアを広げ、どこでも使えるFOMAを目指す」とした。年度末にパケット通信に関する利用料金の優位性を訴えはじめたことも増加につながったといえる。

 「特に2003年度は法人向けのシステム販売が花を開くだろう。高速、広帯域のサービスは、ビジネスで利用するのが有効である。企業向けにはシステムを個別に提案していく必要があるが、焦らずにじっくりと取り組んでいきたい」とした。

 また、「FOMA端末は、いよいよ量産効果が発揮できるところまできた。メーカーへの開発投資も行なってきたが、端末価格の引き下げに一番効果があるのが量産効果だ。今年度はさらに1台あたりの製造単価が下がる可能性もあり、メーカーから当社への卸値も下げてほしい」として、端末機の価格低減効果を期待した。

 だが、前年度末の累計出荷の33万台から逆算すると、今年度のFOMAの純増数は113万台となり、月平均10万台の純増ペース。3月の純増数の13万8,000加入よりも少ない数値となっている。

 これについて、立川社長は、「確かに計画は強気な数字ではない。堅実な予測を立て、これを達成したい」とコメントした。

 新たな市場創出を期待するものの、その一方で、昨年度の大幅な下方修正という事態に見舞われたFOMA事業に関しては、目標数値でもわかるように、かなり慎重な姿勢で取り組んでいくことを示す格好になったといえよう。


税引前利益で初めて1兆円を突破

平田正之常務取締役

平田正之常務取締役
 なお、2003年3月期の連結決算は、営業収益(売上高)が前年比3.2%増の4兆8,091億円、営業利益は前年比5.6%減の1兆567億円、税引前利益は前年比9.1%増の1兆430億円、当期純利益は2,125億円となった。

 iモードによるデータ通信収入が増大したことで業績を押し上げ、税引前利益で初めて1兆円を突破。営業利益、税引前利益で過去最高を記録するなど、増収増益の結果となった。

 「中間期の修正値を上回る実績となった。予想に反して、移動体通信のマーケットが好調に推移。とくに、年度後半で大きく成長した。iモードが増収増益の大きな要因」と話した。

 営業収益の内訳を見ると、PDCによる携帯電話および自動車電話サービスの音声通話による「携帯自動車電話収入」が3兆2,864億円と前年比0.8%増の微増となったものの、FOMA収入が前年比657%増となる136億円、iモードによるパケット通信収入が前年比23.8%増となる8,863億円と増収増益の牽引役を果たしたのが目立つ。だが、PHS収入に関しては、前年比10.8%減の793億円、クイックキャスト収入は前年比22.8%減の77億円といずれも縮小した。

 また、端末機器販売に関しては、米国会計基準を導入したことで、機種の取り替えにかかるる代理店手数料を差し引いたため、前年に比べて減少傾向にあり、前年比9.4%減の4,582億円となった。しかし、「実際の機器販売額については、前年とそれほど変わらない」(NTTドコモ・平田正之常務取締役)としている。

 営業利益で見ると、携帯電話事業では、1兆872億円を計上したものの、PHS事業は契約数が前年に比べて12.2%減の168万契約と減少、マイナス283億円の赤字となった。だが、ネットワーク設備の効率化などに前年の587億円の赤字からは半減している。

 順調な業績を反映して、「利益を利用者に還元する」(立川社長)という意味から、固定発携帯着料金の価格を引き下げるとともに、身体障害者の敷居値を下げるために基本料金の割引サービスを開始する」ことも明らかにした。


海外投資戦略には課題

 だが、海外投資先に対する減損が大きく響いているのは、引き続き課題となった。持分法投資損失として、3,242億円を計上したが、このうち3,195億円が海外投資先に対する減損処理分。中間期にAT&Tワイヤレス、ハチソン3G UK、KPNモバイルの3社の投資損失を計上したのに加え、下期には、KGテレコム、ドコモAOLの投資損失を計上した。

 立川社長は、「株価の低迷は、ドコモの投資先だけが影響を受けているのではない。そのため、海外向けの戦略も変えるつもりはない。欧州では、現在40万人がiモードを利用しているが、端末の種類が少ないこと、欧州の利用者に適したコンテンツがないことが課題。だが、日本以外のメーカーも欧州市場向けに端末を投入したり、ドコモも現地に会社を作って支援している。引き続きiモード事業を広げたい」と、iモードによる国際戦略を推進する姿勢を崩さなかった。

 なお、2003年度は、営業収益が前年比1.9%増の4兆8,990億円、営業利益が3.1%増の1兆900億円、税引前利益は前年比2.9%増の1兆730億円、当期純利益は190.8%増の6,180億円とした。減損分を見込んでいないことが、当期純利益の大幅な増加につながっている。

 「マルチメディア化、ユビキタス化、グローバル化の3つの成長戦略を軸に事業を拡大するとともに、コスト削減を徹底し、経営体質の強化を図る」と立川社長は語った。


総合ARPUは減少分は純増数で補う

 同社が掲げた2003年度の契約目標数は次の通り(カッコ内は2002年度実績)。

携帯自動車電話サービス 4,430万 (4,351万1,000)
FOMAサービス 146万 (33万)
iモードサービス 4,000万 (3,775万8,000)
PHSサービス 178万 (168万8000)
クイックキャストサービス 44万 (60万4,000)


 また、総合ARPU(1加入者あたりの月間平均収入)は、2002年度の8,120円から2003年度は7,810円に下がると見込んでおり、音声ARPUの6,370円から5,980円への減少を、iモードARPUの1,750円から1,830円への上昇で穴埋めできないという計算になる。この差を純増数で補うという形だ。

 一方、次世代の高速パケット通信技術「High Speed Downlink Packet Access(HSDPA)」に関しては、「広帯域通信、高速通信を移動体で実現するために、第3世代のアップバージョンとして取り組んでいく。昨年末に標準化が決まった段階であり、現実のものになるには一定の時間がかかるだろう。ドコモが世界で一番早くこれに取り組んでおり、実現のためにメーカーにもがんばっていただきたい。2004年度内にモノができあげるということになるだろう」として、来年度以降のサービスになることを示した。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  投資家情報ページ
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/top_j.html


(大河原克行)
2003/05/08 20:10

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