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音楽再生にも対応したメガピクセル&コンパクト端末「premini-II」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


premini-II

 NTTドコモ/ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ『premini-II』(SO506i)、サイズ:46×105×19.4mm、97g。Brown(写真)、Silver、Blackをラインアップ
 昨年、コンパクトなボディデザイン話題になったNTTドコモのpremini。そのバリエーションモデルとして登場した「premini-II」は、ボディサイズをわずかに大きくしながら、メガピクセルカメラや音楽プレーヤーの機能を搭載した魅力的な端末だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。

【この端末のチェックポイント】

  1. 高機能を凝縮したコンパクト端末
  2. 音楽プレーヤー
  3. 基本機能
  4. こんなユーザーにおすすめ


高機能を凝縮したコンパクト端末

 ケータイの高機能化が進む一方、端末のボディサイズは大きくなり、スペック的にもデザイン的にも似通った端末が増えている。そんな中、NTTドコモは昨年、ソニー・エリクソン製の小型端末「premini」を発売し、注目を集めた。敢えて、カメラを搭載せず、シンプルなiモード端末として開発されたpreminiは、カメラレスやコンパクトな端末を求めていたユーザーに受け入れられた。年末には曲線デザインを活かしたカジュアルデザインの「premini-S」というバリエーションモデルも登場させている。


背面

 背面からの姿は、一見、デジタルカメラのよう。バッテリーパックのフタがかなり空けにくいものもあるようだ
 今回紹介する「premini-II」は、preminiのバリエーションモデルだが、従来のpreminiがコンパクト&シンプルをテーマとしていたのに対し、premini-IIは「パフォーマンスを凝縮せよ」というキャッチコピーからもわかるように、コンパクトなボディながら、メガピクセルカメラや音楽プレーヤー機能を搭載し、iアプリにも対応した高機能端末として仕上げられている。正式な型番も「SO506i」となっており、基本的には506iシリーズと同等の機能を搭載している。

 従来のpreminiと比べた場合、ボディサイズでは高さで約15mm、幅で約6mmほど大きくなっているが、「ひと回り大きい」というほどの差ではなく、「ちょっと背が高くなったかな」という程度の印象だ。重量は約28gの差があるが、premini-IIは100gを切っており、最近の折りたたみデザインの端末と同等か、それよりもわずかに軽いという印象だ。実際に手に持った感覚としては、従来のpreminiが小さな塊のような印象だったのに対し、premini-IIは小さい板状のモノというイメージだ。ノーマルなサイズの板ガム2箱分程度といった感じだろうか。


スレンダーキー

 細長い棒状のキーを組み合わせた「スレンダーキー」を採用。方向キー周りの配列はpreminiよりもなじみやすいが、操作にはちょっと慣れが必要
 従来のpreminiはコンパクトさを追求した半面、実際の利用ではいくつか制約される面もあった。たとえば、バッテリー駆動時間の短さや液晶ディスプレイのサイズなどだ。しかし、今回のpremini-IIは他のムーバ端末同様、約460時間の連続待受を実現し、1.9インチのQVGAサイズのTFTカラー液晶ディスプレイを搭載するなど、コンパクトであるがゆえの制約は非常に少ない。

 また、preminiでは「スロープキー」と呼ばれる階段状のボタン配列を採用することで、コンパクトなボディながらボタン操作のしやすさを確保しようとしていたが、premini-IIでは「スレンダーキー」と呼ばれる細長い形状にしている。ユーザーの指の太さや大きさによっても印象はかなり違うだろうが、比較的、手の大きい筆者が試した範囲では、従来のpreminiよりも今回のpremini-IIの方が操作しやすいという印象だ。ただ、それでも通常のボタンデザインの端末に比べると、明らかに慣れを必要とする感は否めない。このあたりは自分で実機で文字入力をして、確かめた方がいいだろう。


音楽プレーヤー

カードスロット

 本体左側面に装備されたメモリースティック Duoスロット
 premini-IIでもうひとつ注目すべき点は、やはり、音楽プレーヤーだろう。ここに来て、急速にケータイの音楽再生機能が注目を集めているが、ソニー・エリクソンとしては昨年発売したSO506iCやau向けのW31Sでもサポートしており、同じ機能をpremini-IIに継承した形だ。

 対応する音楽再生のフォーマットはATRAC3形式で、マジックゲート対応メモリースティック Duoに保存した音楽データを再生することができる。音楽データはWindows上で動作する「SonicStage」で音楽CDから取り込んだもの、Moraなどの音楽配信サイトからパソコンにダウンロードしたもの、コンビニエンスストアなどで設置されているマルチメディア端末で購入したもの、エニーミュージックで対応機器にダウンロードしたものを再生することができる。これらのうち、おそらく最も身近なのは、SonicStageで音楽CDからパソコンに取り込んだ音楽データを再生する方法だろう。

 SonicStageはVAIOなどにプリインストールされているアプリケーションだが、後述するメモリカードリーダーにバンドルされていたり、音楽配信サイトからもダウンロードすることが可能だ。SonicStageで音楽CDをパソコンに取り込んだ場合、音楽データはATRAC3plusで保存されるが(デフォルト設定)、メモリカードリーダーで書き込む際、premini-IIで再生可能なATRAC3に変換しながら書き込むことができる。最新版のSonicStage Ver.3.1はすでにユーザーが他のソフトなどで取り込んだMP3形式の音楽データも扱えるため、同様にATRAC3形式に変換しながら、メモリースティック Duoに保存することが可能だ。


Musicパネル AVボタン
 音楽プレーヤーの「Musicパネル」を起動して、メモリースティック Duoに保存された音楽データを再生する  設定すれば、本体右側面に備えられたAVボタンを押すだけで、Musicパネルを起動することが可能

 ただ、これらの方法で入手、生成した音楽データをSonicStageでメモリースティック Duoで書き込む際、マジックゲートに対応したメモリースティック用カードリーダーが必要になる。デジタルカメラのメモリカードを利用するために販売されている一般的なメモリカードリーダーは、マジックゲート機能、つまり、著作権保護機能に対応していないため、音楽データの書き込みはできない。マジックゲート機能に対応したメモリカードリーダーとしては、USBポートに接続する「MSAC-US30」(ソニー)があり、3,000~4,000円程度で購入することができる。


機能メニュー

 機能メニュー内ではRepeat設定、AVLS設定、BASS設定などが変更できる
 メモリースティック Duoに保存した音楽データは、「Musicパネル」を起動して再生することができる。Musicパネルはメニュー画面から起動できるほか、AVボタン設定を有効にすれば、待受画面で右側面のAVボタンを押すだけで、起動することもできる。

 音楽の再生機能としては、早送り/巻き戻し、前後の曲へのスキップ、1曲及び全曲のリピート、再生時の音量の上げ過ぎを制限する「AVLS設定」、低音を強調する「BASS設定」が用意されており、画面上には曲名やアルバムタイトルも表示される。再生中に通話やメール着信、アラームなどが起動したときは、再生が中断されるが、動作後に再生ボタン(決定ボタン)を押せば、続きから再生することが可能だ。

 また、Musicパネルで音楽を再生中、[CLR]ボタンを数回押すと、音楽をバックグラウンドで再生することも可能で、音楽を再生した状態でiモードコンテンツを閲覧したり、iモードメールの送受信も可能だ。ただし、電話の発着信や伝言メモの再生、カメラやiアプリの起動などを行なうと、バックグラウンド再生は停止するので、注意が必要だ。ちなみに、音楽の連続再生時間はイヤホンを接続して聞いた場合、最大5時間となっている。


SonicStage

 SonicStageの最新版のVer.3.1の画面。音楽CDから取り込んだ音楽データを選んで転送可能。右上にメモリカードの空き容量も表示される
 premini-IIの音楽再生機能はSO506iCなどから継承されたものだが、現時点で提供されている音楽再生機能としてはバックグラウンド再生もできるなど、基本的なニーズは満たしている。再生機能で足りないとすれば、シャッフル再生くらいだろう。扱える音楽データがATRAC3形式であることに不満を覚えるユーザーがいるかもしれないが、最新版のSonicStageはMP3形式からの変換に対応しており、メモリカードリーダーがUSB2.0で接続されていれば、それほど書き込みも遅くなく、あまり不満を感じない。ATRAC3が不満なのであれば、他の音楽ソフトを使い、音楽CDからMP3形式で取り込み、必要な曲だけをSonicStageでATRAC3形式に変換して書き込めば、済むことだ。

 むしろ、premini-IIの音楽再生機能で不満なのは、対応するメモリースティック Duoが「メモリースティック Duo(マジックゲート/高速データ転送対応)」に限られている点だろう。現在、メモリースティックDuoにはいくつかの種類があり、それぞれに販売されているメモリースティック Duoの最大容量が異なる。premini-IIで利用できるメモリースティック Duoについて、表にまとめてみた。

premini-IIで使えるメモリースティックDuo
種類 対応最大容量 カメラ画像、メールなど 音楽データ
メモリースティック Duo(MG対応) ~128MB
メモリースティック Duo ~32MB ×
メモリースティック PRO Duo ~512MB ×


 この表を見てもわかるように、音楽データを保存できるメモリースティック Duoは最大128MBまでとなっており、大容量のメモリースティック PRO Duoはマジックゲート機能をサポートしているにも関わらず、音楽データを保存することができない。アルバムにもよるだろうが、128MBではせいぜい3枚程度の音楽CDのデータしか保存できないわけだ。コンパクトなボディにまとめられたムーバ端末であるという制約を考えれば、しかたがないのかもしれないが、できれば、512MBのメディアが数多く流通し始めているメモリースティック PRO Duoでも音楽データを扱えるようにして欲しかったところだ。


基本機能

メニュー

 メニュー画面はソニー・エリクソン製端末でおなじみのグループ分けによる階層表示を採用
 ソニー・エリクソン製端末のメニュー画面、従来から項目を階層別に分けた独特のユーザーインターフェイスを採用しているが、premini-IIもそれを継承している。中央の決定ボタンを押すと、エンターテインメント、iモード、電話、ツール、設定の5つのグループが表示され、右方向か蹴ってボタンを押すと、次の階層が表示されるしくみだ。

 メールはフォルダによる管理、メールアドレスや題名、グループ、指定なしを条件とした自動振り分けにも対応する。ちなみに、振り分けは送受信メールともに設定でき、それぞれ最大30件まで条件を登録することが可能だ。他機種にはあまりない機能としては、メール機能内で送受信ランキング、フォルダ内でのメールのソートなどが挙げられる。日本語入力はソニー・エリクソン製端末でおなじみのPOBoxが搭載されており、同社のホームページで公開されている「辞書クリエイター」を利用すれば、オリジナルの予測変換辞書を作成することも可能だ。


ロックスイッチ 自動ボタンロック
 左側面に装備されたスライド式のロックスイッチ。スライドさせることで、ロックと解除を切り替えられる  セキュリティ設定の「自動ボタンロック」をONに設定すれば、待受画面で一定時間、操作がないときに、自動的にロックが掛かる。ただし、移行するのは待受画面のみで、メール画面などからは移行しない

カメラ

 カメラは130万画素CCDカメラを採用。オートフォーカスには対応しない。左下の部分にあるのは赤外線通信ポート
 また、premini-IIはストレート端末ということもあり、本体左側面にスライド式のロックスイッチを備える。ロック状態にしておけば、ポケットなどに端末を入れておいても誤操作を防止できる。一定時間、操作をしないと、自動的にロック状態になる「自動ボタンロック」という機能も搭載されている。ボタンロックが掛かるまでの時間は1~30分の範囲で設定が可能だ。

 カメラは背面に130万画素CCDカメラを内蔵しており、最大1280×960ドットでの撮影ができる。撮影時の機能としては、夜景の撮影に便利な「夜景モード」、中央部分を重点的に測光する「スポット測光」、撮影時にセルフモードに切り替える「カメラセルフモード」などが用意されており、テンキーを利用したショートカットキーも設定されている。撮影した画像はマイピクチャを選ぶことで、4画面表示及び12画面表示のサムネイル表示、日付表示の一覧形式で確認することができる。マイピクチャ内で表示されている画像は、最大サイズで撮影した画像も機能メニューから「iショット送信」を選ぶだけで、すぐにサイズを変換して、メールを送信することが可能だ。このとき、変換される画像サイズはiショット(L)とiショット(S)のいずれかを「iショット送信設定」であらかじめ設定しておく仕様となっている。


カメラ設定 iショット
 カメラの機能設定はCyberShotなどでおなじみの横一覧形式を採用。カメラセルフモードはカメラ起動時に着信などをできないようにする  iショット設定でサイズを設定しておけば、カメラ画像フォルダ内から、サイズして、すぐにメール送信画面に移行できる

サムネイル サンプル
 撮影した画像はサムネイル形式で閲覧できる。画面は4分割だが、12分割での表示も可能  SXGAサイズ(1280×960ドット)で撮影したサンプル画像。JPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆきスーパーウイング所属)

 スケジュール機能は1カ月、1週間、1カ月+リストの3種類の表示が可能で、祝日の表示やユーザー自身による休日設定も可能だ。待受画面にカレンダーを表示させておき、[CLR]ボタンを押すだけで、スケジュールを呼び出すようにも設定できる。

 その他には、preminiやpremini-Sで搭載されなかった赤外線通信ポートが搭載されており、他のiモード端末などとデータのやり取りをできるようにしている。FOMAのデュアルネットワーク用端末として利用するときにもデータのやり取りができるので、やはり、便利だ。


こんなユーザーにおすすめ

 最後に、premini-IIの「買い」について考えてみよう。昨年、コンパクトなボディで注目を集めたpremini。その後を受け継ぐような形で登場したpremini-IIは、50Xiシリーズの仕様に基づいて開発されているため、preminiのような物足りなさを感じさせない端末として仕上げられている。QVGA表示が可能なディスプレイ、メガピクセルカメラなど、今どきの端末に必要とされる条件は、ひと通り揃っており、機能的にもバランス良くまとまっている印象だ。なかでも音楽プレーヤー機能は、FOMA端末が中途半端なサポートをしているのに対し、きちんと筋を通した形で実現されており、安心して使うことができる。メモリカードの対応に不満は残るが、バックグラウンド再生を実現するなど、実用性は十分に確保している。

 これらのことを総合すると、premini-IIを買いと言えるのは、きちんと使えるコンパクトな端末が欲しいユーザー、音楽プレーヤー機能が欲しいユーザー向けということになる。FOMAのデュアルネットワーク用端末として購入し、普段は音楽プレーヤーとして利用するのも悪くないだろう。ネットワークウォークマンやiPodなどの本格的な音楽プレーヤーにはかなわないが、ケータイで一時的に利用する音楽プレーヤーとしては十分なレベルだ。もう少し音楽の連続再生時間が長く、大容量のメモリカードが利用できれば、もっと実用的な端末として評価できるのだが……。メールやiモードコンテンツ閲覧時の操作性については、ユーザー自身の体格(というより、指の太さ)によって違ってくるため、購入時には一度、実機を触ってみることをおすすめしたい。



URL
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/05/whatnew0203b.html
  ニュースリリース(ソニー・エリクソン)
  http://www.sonyericsson.co.jp/company/press/20050203_premini2.html
  製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/mova/premini2/
  製品情報(ソニー・エリクソン)
  http://www.sonyericsson.co.jp/product/docomo/premini2/

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(法林岳之)
2005/05/12 12:48

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