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2メガピクセルカメラで撮って遊べる「P506iC」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


P506iC

 NTTドコモ/パナソニック モバイルコミュニケーションズ『P506iC』。サイズ:50×111×26mm(折りたたみ時)、128g。ブルーマルガリータ(写真)、シルバーマティーニ、ブラックトルネードをラインアップ
 昨年、NTTドコモがサービスを開始したiモード FeliCa。その対応端末第1弾として登場したのが「P506iC」だ。P505iSに続き、再び2軸回転式のFlexスタイルを採用し、本格的なストロボを搭載するなど、このスタイルの完成形を目指した端末だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。

【この端末のチェックポイント】

  1. 2メガピクセルカメラ&ストロボ搭載
  2. フォトカクテル♪
  3. 使いかたナビ
  4. 基本機能もチェック
  5. こんなユーザーにおすすめ


撮って遊べるカメラ機能

背面

 背面に195万画素カメラを装備。レンズ部左にあるのがストロボ。レンズ部の上には接写レバーが装備される
 P506iCはiモード FeliCa対応端末第1弾として登場したため、その部分ばかりがクローズアップされているが、NTTドコモの端末としては初めて本格的なストロボを内蔵するなど、カメラ機能も充実した端末だ。まずはカメラ機能とフォトカクテル♪を中心にチェックしてみよう。

●3段階で調整できるストロボ発光

 11万画素からスタートしたカメラ付きケータイも画素数は320万画素まで向上し、オートフォーカス機能を搭載した端末も増えている。デジタルカメラの普及モデルもスペックが向上しているため、「追いついた」とまではいかないものの、「デジタルカメラに迫る」レベルに達しているのは確かだ。

 ただ、実際に撮影をしてみると、カメラ付きケータイではなかなか上手に撮れないことが多い。その代表格が暗いところでの撮影だ。カメラ付きケータイはCCDやCMOSイメージセンサーの感度を高めたり、モバイルライトを搭載するなどの工夫をしているが、やはり、真っ暗な屋外では十分な光量を確保できないため、どうしてもデジタルカメラのような写真を撮ることはできない。その理由のひとつとして挙げられるのがデジタルカメラに必ず搭載されているストロボだ。


セルフショット サンプル
 ディスプレイを背面側に向ければ、自分撮り(セルフショット)も簡単にできる。2軸回転式には便利な機能のひとつだ  夜間にストロボを利用し、UXGAサイズで撮影したサンプル画像。JPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆきスーパーウイング所属)

 P506iCはNTTドコモのカメラ付きケータイとしては初めてストロボを搭載している。周囲の明るさに応じて自動的に光る「オート発光」、強制的にストロボを光らせる「強制発光」、少し弱めに強制発光させる「強制発光(弱)」の三段階の設定を用意しており、端末を開いた状態では[5]キーを押すことで切り替えることができる。液晶ディスプレイを反転したデジカメスタイルでは、側面に装備されたスライド式の[ズーム/選択]ボタンでサブメニューを呼び出して切り替える。カメラを重視し、Flexスタイルを採用したことを考えれば、デジカメスタイルでの切り替えももう少し配慮して欲しかったところだ。

 実際のストロボ撮影では、デジタルカメラほどではないものの、室内などの少し暗いところでも明るい写真を撮ることができた。ただ、屋外の真っ暗な状況ではサンプル画像を見てもわかるように、必ずしもストロボ付きのデジタルカメラと同レベルの撮影ができるわけではない。ただ、周囲の明るさ、被写体との距離によっても変わってくるので、複数枚を撮影するのが得策と言えそうだ。ちなみに、ストロボの光が届く範囲の目安は、通常発光で約60cm~約1m、強制発光(弱)では約50cmとなっており、撮影前に被写体との距離を確認することがストロボ撮影のポイントになりそうだ。

 また、端末を通話スタイルでの撮影では、ストロボに指が被ってしまうことがあるので、注意が必要だ。レンズ部への指の被りはファインダーに表示されるため、気づきやすいが、ストロボ部分は気づかないことが多いので、盛り上がっているカメラ部に指が触れるくらいの位置で撮影するといいだろう。


ファインダー ワンタッチヘルプ
 カメラのファインダー画面。ストロボなどの設定がアイコンで表示される。サイドキーのガイドもあり、わかりやすいが、何故か接写のアイコンは表示されない  通話スタイルでカメラを起動したとき、[0]を押すと、ワンタッチヘルプが表示される。そこで操作できるショートカットがわかる

 P506iCのカメラがP505iSのカメラと異なるのは、オートフォーカスに対応していない点だ。スペック的には残念なことだが、195万画素カメラにより、最大1,200×1,600ドットで撮影できるため、2L判の出力も可能な画質を確保している。カメラ部横には接写と標準を切り替える接写レバーが装備され、約10cmの接写を可能にしているが、ファインダー内にガイドが表示されないので、撮影前によく確認する必要がある。

 P505iSなどから継承されているのは、夜景の撮影に適した「ナイトショットモード」、ワンタッチで撮影サイズやホワイトバランス、輪郭補正などを切り替えられるショートカットキーなどだ。ショートカットキーについては、[0]を押すと各キーの機能が表示されるワンタッチヘルプで確認することもできる。


●撮影した静止画を楽しく演出できる「フォトカクテル♪」

 ところで、カメラ付きケータイを持つ読者のみなさんは、撮影した画像をどのように活用しているだろうか。おそらく、待受画面や電話帳への設定、メールへの添付、プリンターやDPEサービスでの出力などがもっとも多い活用例だろう。元々、ケータイにおけるカメラは、こうした用途のために搭載されたものだが、せっかく日常的に撮影できるカメラ付きケータイだからこそ、もっと楽しい使い道が欲しいところだ。


フォトカクテル♪ おまかせ
 撮影した画像を使い、見栄えのするクリップを作成できる「フォトカクテル♪」  画像やBGM、エフェクトを選べるが、「おまかせ」で作成することも可能だ

フォトカクテル♪ビューアー

 フォトカクテル♪のサンプル(49KB)。画像を2枚だけ選び、あとは「おまかせ」で作成した。再生には「フォトカクテル♪ビューアー」が必要
 P506iCではそのひとつの解として、「フォトカクテル♪」という機能を搭載している。フォトカクテル♪はP506iCで撮影した静止画を最大10枚まで選び、あらかじめ用意されたエフェクトで加工し、BGMを加えることにより、ちょっとしたビジュアルなクリップを作る機能だ。作成したデータは端末上で楽しむ他、発着信画面に割り当てたり、同じP506iCのユーザーにminiSDカード経由で渡す、パソコンで再生するなどの楽しみを用意している。パソコンでの再生は専用の「フォトカクテル♪ビューア」(Windows XP/2000 Professional/Me対応)を利用し、パナソニックのサイトからダウンロードすることができる。エフェクトやBGMは出荷時にもインストールされているが、パナソニックの公式サイト「P-SQUARE」から追加データをダウンロードすることもできる。

 こうした撮影画像を活かした機能は、一部の他機種にも搭載されているが、フォトカクテル♪はエフェクトやBGMを「おまかせ」で作成できるなど、初心者にも扱いやすくなっているのが特長だ。仕上りもなかなか見栄えのするもので、ダウンロードしたデータを追加すると、ひとつの静止画でいろいろなビジュアルクリップを作成でき、非常に楽しい。ただ、残念なのはP506iCがPDC方式のiモード端末であるため、作成したデータをメールに添付して、友だちに送るといった使い方ができない。撮影画像をよりビジュアルに活かすためにも今後、FOMA端末への展開も期待したいところだ。


初心者にもやさしい「使いかたナビ」

使いかたナビ

 「使いかたナビ」の起動画面。3つのパターンで機能を探すことができる
 ここ数年、カメラをはじめ、携帯電話の高機能化が進んできたが、その一方で使い方がわからないという指摘も増えている。実際、筆者や編集スタッフもわからないことがあり、マニュアルで調べたり、事業者やメーカーに問い合わせるといったケースも少なくない。

 P506iCではそんな状況に対するひとつの回答として、「使いかたナビ」という機能を搭載している。使いかたナビはWindowsなどのオンラインヘルプに相当する機能で、知りたいことを16文字以内のキーワードで検索したり、機能一覧から探すことができる。使いかたナビはソフトウェア開発やeラーニングなどを手掛けるカナックというメーカーが開発し、P506iCの他にもN506iやprosolidなどに搭載されている。


検索画面 検索結果
 自分の知りたい機能を語句で入力し、検索する  検索結果が表示されるので、知りたい項目を選ぶ

内容表示 手順表示
 操作方法や機能の内容だけでなく、その機能に関連する情報も表示される  設定する機能であれば、操作する手順が表示される

 こうしたオンラインヘルプは、カメラなどの特定機能について搭載されることがあったが、端末に搭載されている機能全体を検索するようなものはあまり例がない。D506iのように、さまざまな画面で特定のキーを押すことで、そこで操作できるキーを表わすのも手だが、使いかたナビのような方法論も高機能化が進んだ端末には、初心者ならずとも便利な機能と言えそうだ。欲を言えば、使いかたナビそのものを呼び出しやすくして欲しいところだ。


基本機能もチェック

メニュー

 通常のメニュー画面。アイコンはカスタマイズが可能だ
 NTTドコモの50Xiシリーズでは、Nシリーズと並んで、常に高い支持を得てきたPシリーズ。FOMAではNECとの協業となったため、ユーザーインターフェイスが変更されているが、P506iCはPDC端末におけるPシリーズの完成形のようなユーザーインターフェイスに仕上げられている。

 メニュー画面は9分割のアイコン式を採用し、アイコンのデザインはカスタマイズが可能だ。メニュー画面から呼び出せる[プライベートメニュー]、[iアプリ]キーを押して表示される「ショートカット」には、それぞれユーザーがよく利用する機能やiアプリ、URLなどを登録しておくことができる。この2つのカスタマイズ可能なメニューを上手に使うことがPシリーズを使いこなすポイントになる。P505iSでは液晶ディスプレイを反転したデジカメスタイルで利用できる機能が制限されていたが、P506iCでは着信に応答したり、メールやiモード、電話帳の閲覧、カメラの起動などをできるようにしている。ただ、操作は側面に装備されたサイドキーに頼らざるを得ないため、端末を開いた通話スタイルのときのように操作するのは少々、慣れを必要とする。


プライベートメニュー ショートカットメニュー
 よく利用する機能を登録しておくことができる「プライベートメニュー」  iアプリなどを割り当てておくことができる「ショートカットメニュー」。画面は5カ所のみだが、9カ所まで登録可能

 メニュー画面は9分割のアイコン式を採用し、アイコンのデザインはカスタマイズが可能だ。メニュー画面から呼び出せる[プライベートメニュー]、[iアプリ]キーを押して表示される「ショートカット」には、それぞれユーザーがよく利用する機能やiアプリ、URLなどを登録しておくことができる。この2つのカスタマイズ可能なメニューを上手に使うことがPシリーズを使いこなすポイントになる。P505iSでは液晶ディスプレイを反転したデジカメスタイルで利用できる機能が制限されていたが、P506iCでは着信に応答したり、メールやiモード、電話帳の閲覧、カメラの起動などをできるようにしている。ただ、操作は側面に装備されたサイドキーに頼らざるを得ないため、端末を開いた通話スタイルのときのように操作するのは少々、慣れを必要とする。


デジカメスタイル デジカメスタイルでのメニュー
 デジカメスタイルでの待受画面。各キーのガイドが表示されているので、わかりやすい  デジカメスタイルでのメニュー画面。操作には慣れが必要だが、iモードやメールも利用できるのは便利だ

 メールはフォルダによる管理に対応し、Pシリーズではおなじみのシークレット機能も利用することが可能だ。ただ、電話帳データとの連動が今ひとつで、電話帳データとメール機能の両方でシークレットの設定をしなければならない。また、P506iCではP252iSでも採用された「キラリメール」が搭載されている。キラリメールはメールに使われている絵文字に合わせ、着信ランプの光り方を変更できる機能だが、当然のことながら、絵文字を利用しているため、他事業者の端末とのメールのやり取りには効果がない(一部、iモードの絵文字を送信できる他事業者のメールもあるが……)。また、着信ランプで気になるのは、不在着信やメール着信時に着信ランプが30秒おきに点滅し、30分で終了してしまうという仕様だ。省電力という意味合いもあるのだろうが、点滅の間隔が長いうえ、30分で終了してしまうため、結果的に見逃してしまうケースが多い。他の端末から乗り換えるユーザーは少し注意が必要だろう。

 その他の機能としては、miniSDカードに録音可能な「ボイスレコーダー」、SD-Videoに対応した「ビデオ再生」、印刷した英数字を読み取る「テキストリーダー」などが目新しいところだろう。ボイスレコーダーで録音したデータは同社が販売する「Voice Studio」をインストールしたパソコンで編集、再生ができ、SD-Videoについても同社が販売する「SD-Movie Stage」や「MediaStage」でデータをデータを作成することができる。iモード FeliCaについては「今そこにある『おサイフケータイ』」でも触れた通り、ICカードロック機能がないため、利用には十分、気をつける必要があるだろう。もちろん、必要なければ、敢えてiモード FeliCa機能を使わないという選択肢もある。


フォルダ サブディスプレイなし
 メールはフォルダによる管理に対応。シークレット設定も継承されているが、シークレット設定にした相手からのメールを非表示にするには、電話帳とメール設定の両方で設定をしなければならない  P505iSと違い、背面にはサブディスプレイがない。見た目はすっきりしたが、折りたたんだ状態で時計や端末の状態が確認できないのは残念だ

ストロボ機能に価値が見い出せれば「買い」

 さて、最後にP506iCの「買い」について考えてみよう。P506iCはiモード FeliCa対応端末第1弾として登場したため、iモード FeliCaの部分ばかりがクローズアップされているが、2メガピクセルカメラにストロボ機能を搭載し、撮影した画像を楽しむための編集機能や「フォトカクテル」など、カメラ付きケータイとしての機能もかなり充実している。フォトカクテルは応用範囲が狭いのが残念だが、手軽に見栄えのするオリジナルコンテンツが作成できるのは新しい楽しみのひとつだろう。FOMAではNECとの協業でユーザーインターフェイスが変更されたため、PシリーズならではのユーザーインターフェイスもP506iCが現時点での最終形となっており、Pシリーズに慣れ親しんできたユーザーには安心して選べる最後(?)の一台と言えるかもしれない。

 これらのことを総合すると、P506iCを「買い」と言えるのは、ストロボによるカメラ機能に価値を見いだせるユーザー、Pシリーズの完成形(現時点での)が欲しいユーザーということになる。特に、ストロボ機能は他のiモード端末に搭載されていないため、夜間や室内を含む暗い場所での撮影が多いユーザーには大きなアドバンテージになるはずだ。

 もちろん、iモード FeliCaもP506iCの魅力のひとつだが、やはり、ICカードロック機能がないこと、利用できるシチュエーションがまだ限られていることを考慮すると、積極的に選ぶ要素には挙げにくいというのが正直な感想だ。裏を返せば、ICカードロック機能がないiモード FeliCa端末(506iCシリーズ、Fシリーズを除くFeliCa搭載FOMA)の範囲であれば、iモード FeliCaの機能に差はないので、それ以外の部分の好みで判断するというのも手だろう。



URL
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/04/whatnew0707.html
  製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/service/felica/f/p506ic.html
  ニュースリリース(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040707-2/jn040707-2.html
  製品情報(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)
  http://panasonic.jp/mobile/p506ic/
  「フォトカクテル♪ビューア」
  http://panasonic.jp/mobile/p506ic/photococktail/

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(法林岳之)
2005/01/18 13:16

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