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iショット端末「N504iS」は「カメラ付きのN」の本命か?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


品薄が続く504iSシリーズ第2弾

 昨年秋、NTTドコモは主力モデルの50Xiシリーズをiショットサービスに対応させ、504i世代のセカンドモデル「504iSシリーズ」の販売を開始している。その第2弾となる「N504iS」は、昨年末に販売が開始され、品薄が続くほどの人気ぶりだ。筆者も実機を機種変更で購入したので、レポートをお送りしよう。


Nシリーズの本命iショット端末

N504iS

 NTTドコモ/NEC『N504iS』。サイズ:48×95×19.8mm、105g。プラネットブルー(写真)、ブライトシルバー、フローズンピンクをラインアップ
 iモード端末のラインアップで、常に高い人気を得ているNEC製の「Nシリーズ」。昨年は薄型ボディを実現した松下通信工業製の「Pシリーズ」、カメラ付きケータイの先駆者「SHシリーズ」に猛追されたとは言え、相変わらず高いブランド力を持つ。

 ただ、昨年最大のトレンドである「カメラ付きケータイ」の市場については、Nシリーズは明らかに遅れを取った印象だ。国内で販売されているNEC製端末の内、カメラ機能を搭載したものはNTTドコモ向けの「N251i」、J-フォン向けの「J-N05」などしかなく、FOMAも昨年末に開発中の「N2051」が公開されたに過ぎない。当初のカメラ付きケータイの主戦場だったJ-フォン向け端末も他社に先行されている。ここ数年、国内の携帯電話市場をリードしてきたNECらしからぬ動きとも言えるだろう。

 今回発売されたNTTドコモのNEC製端末「N504iS」は、Nシリーズファン待望の50Xiシリーズのカメラ付きモデルだ。今さら説明するまでもないが、NTTドコモの端末ラインアップは普及モデルの2XXiシリーズ、主力モデルの50Xiシリーズで構成されており、昨年登場した251iシリーズは2XXiシリーズの派生モデルに位置付けられている。つまり、先日発売された「N251i」はNシリーズのカメラ付きケータイの普及モデルであり、今回発売されたN504iSこそが本命ということになる。

 また、N504iSは単純にカメラを搭載するだけでなく、今までのケータイにはない新しい機能を取り込むことで、他製品をリードしようとしている。その1つが文字を内蔵カメラで読み込む「アクセスリーダー」、もう1つがテレビやカラオケの操作ができる「リモコン」機能だ。もちろん、従来のNシリーズで好評を得てきた折りたたみデザインや各機能の使い勝手などはそのまま継承されている。新機能の使い勝手なども含め、この冬、最も注目度の高い端末のひとつと言われるN504iSの出来をチェックしてみよう。


高精細かつ大画面のTFTカラー液晶を採用

N504iとの比較

 従来のN504i(右)に比べると薄くなったが、アンテナが背面にあるため、全体的な印象からは薄さが伝わりにくいデザインだ

背面

 背面にはカメラ、液晶ディスプレイを装備。iモードのロゴは着信時などに光る
 製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモやNECの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディは折りたたみデザインを採用しているが、N504iに比べ、グッと薄型化されているのが特長だ。P504iSほどではないものの、19.8mmという薄さはなかなかのものだろう。ただ、その薄さを今ひとつアピールできていないのがボディデザインだ。最近の端末はカメラ付きが主流になったこともあり、背面にディスプレイを装備するため、アンテナをヒンジ側にレイアウトするモデルが増えている。しかし、この年末年始に登場した端末の内、背面側にアンテナを装備しているのはN504iSくらいしかなく、P504iS、F504iS、SH251iS、SO212i、A5301T、A5302CA、A3015SA、J-T08、J-SA05など、ほとんどの機種がヒンジ側にアンテナを装備している。N504iSは頑なにNシリーズの伝統を継承したが、背面側のデザイン処理を見ると、そろそろこのデザインも限界に来ているかもしれない。アンテナの位置はともかく、背面のデザイン処理は好き嫌いの分かれるところだろう。

 カメラは背面のトップ側にレイアウトされ、先端側には赤外線通信ポートが内蔵される。その他のデザインはN504iSを踏襲しているが、左側面に備えられたイヤホンマイク端子は、FOMA P2101VやP504i、P504iSなどに採用された薄型コネクタが採用されている。Pシリーズに続き、Nシリーズにも採用されたことで、今後はこの薄型コネクタが主流になるのかもしれない。

 液晶ディスプレイは160×216ドット/65,536色表示が可能な2.2インチのTFTカラー液晶パネルを採用する。N504iでは同一スペックのTFDカラー液晶パネルだったが、今回はTFTカラー液晶パネルに変更されたわけだ。「イメージウィンドウ」と呼ばれる背面ディスプレイは、80×108ドット/4,096色表示が可能な1インチのSTNカラー液晶を採用する。サイズ的には先週紹介したSH251iSの1.2インチよりも小さいが、解像度(表示ドット数)としてはN504iSの方が上であり、カメラ付きのiモード端末のサブディスプレイとしても最も高い解像度ということになる。


メイン液晶 サブ液晶
 液晶ディスプレイはN504iと同サイズながら、TFT液晶パネルに変更。画面のように、カメラをデスクトップにアイコンで貼り付けておくと、起動しやすい  背面のカラー液晶はファインダーとして利用できる。STNということもあり、色味は全体的に薄め

 N504iSで大きくイメージが変わったのは、ボタン周りだ。Nシリーズでは従来から方向ボタンと決定ボタンを別の場所に配した独自のレイアウトを採用してきたが、N504iSではレイアウトこそ変更しなかったものの、ボタン形状を大きく変えている。ボディの薄型化を実現するための工夫と見られるが、実際の操作感はやや慣れが必要な印象だ。突起部分が薄くなった半面、方向キーはストロークが確保されているため、一応のクリック感がある。ただ、従来のものと微妙に感覚が違う上、押す方向がずれることも多いため、Nシリーズのユーザーでも少し慣れが必要だろう。テンキーやサイドキーのレイアウトは基本的にN504iを継承しているが、N504iSではサイドキーも透明化され、それぞれのボディカラーに応じて、テンキー部分の色やフォントが変更されている。


キーレイアウト サイドキー
 中央の方向キーをはじめ、全体的なデザインを変更。突起が少なくなったため、操作には少し慣れが必要  サイドキーも透明化。イヤホンマイク端子はP504iSなどで採用されている薄型コネクタに変更された

OCR機能を実現した31万画素カメラを搭載

カメラ

 約31万画素のCMOSイメージセンサによるカメラを内蔵。カメラ部の周囲はムーバ用レンズを装着するため、金属パーツを採用

iショット(L)のサンプル

 iショット(L)のサンプル画像。SH251iSのときと同じ友人の愛車を撮影
 さて、最も注目されるカメラについてだが、N504iSでは約31万画素のCMOSイメージセンサによるカメラを搭載している。先に発売されたN251iは約11万画素だったが、Nシリーズのカメラ付きの本命ということもあり、現時点では最高スペックのカメラを搭載してきたわけだ。

 現在、カメラ付きケータイを実現するデバイスはCMOSイメージセンサとCCDがあるが、NECでは追従性や表現力など、総合的に判断して、CMOSイメージセンサを採用したという。一般的な解釈としては、「CCDよりも低消費電力だが、追従性に劣るCMOSイメージセンサ」と言われているが、実際には各デバイスメーカーが開発する製品ごとに特長があり、一概にこの解釈だけでは語れない部分がある。CMOSイメージセンサであれ、CCDあれ、デバイスによってはカメラ付きケータイに適さないものもあるし、周辺回路によって画質も異なる。まったくの余談だが、国内で最高スペックと言われるデジタルカメラ「キヤノン EOS-1 Ds」は、有効画素数1110万のCMOSイメージセンサを採用している。筆者はカメラの専門家ではないので、これ以上の解説はしないが、デバイスの名称や数値だけで判断するのは、早計であることを覚えておきたい。

 話が脱線したので、元に戻そう。N504iSの内蔵カメラは約31万画素ということもあり、背面ディスプレイサイズから640×480ドットのVGAまで、6種類のサイズで撮影することが可能だ。画質については、ノーマルと高画質を切り替えることができ、待受サイズよりも小さなサイズを選択したときは、最大3倍のデジタルズームも利用可能だ。ズームは画像処理ではなく、最大解像度の画像の一部を切り抜いたものが利用される。撮影時の明るさについては、5段階での調節が可能で、特に暗いところで撮影するための「暗闇撮影モード」も用意されている。暗闇撮影モードはロウソク程度の明るさと言われる5ルクスでの撮影も可能だという。撮影可能サイズと最大登録件数は、以下の通りとなっている。

撮影モード サイズ ズーム 最大登録枚数
VGA 480×640ドット × 35件
iショット(L) 288×352ドット × 117件
待受 160×198ドット 351件
iショット(S) 144×144ドット 500件
電話帳 160×80ドット 500件
背面 80×108ドット 500件


 また、一般的な1枚ずつの撮影に加え、最大20枚の連続撮影にも対応する。20枚の中からベストショットを探したり、連続再生したデータを待受アニメーションとして設定することも可能だ。時刻表や地図など、ちょっとしたビジュアルメモとして使いたいときに便利なのが「ピクチャメモ」だ。撮影した画像はデスクトップにアイコンとして貼り付けられるため、いつでも決定ボタンひとつで呼び出すことができる。

 通常のモードで撮影した画像は端末内の「アルバム」に保存され、サムネイルとファイル名一覧の両方の形式で表示することが可能だ。サムネイル表示は各画像にバルーンでファイル名が表示されるが、表示速度はあまり早くない。効果については「シャープ」「ソフト」「パステル」「きらきら」などの画像効果、フレームやスタンプなどが用意されているが、いずれもサイズが限定されている。また、撮影した画像は基本的にサイズを変更できないため、あらかじめ用途を考えて撮影する必要がある。撮影した画像の一部を切り出し、電話帳などに貼り付けることもできるが、パソコンで言うところの「クリップボードを使ったコピー&ペースト」に近い感覚のものなので、今ひとつわかりにくい。

 撮影画像で最も悩むのがVGAで撮影した画像だ。NECによれば、「赤外線通信でパソコンに送れば見られる」とのことだが、現在、国内で販売されているパソコンの最新モデルにはほとんど赤外線通信ポートが備えられておらず、USBポートなどに接続する赤外線通信アダプタを利用するしかない。データリンクソフトについては「データリンクソフト for NTT DoCoMo N009」が販売されているが、カメラ画像の読み出しに対応しているかどうかが明らかにされていない。こうなると、頼りになるのは市販のメモリダイヤル編集ソフトしかないわけだが、今のところ、N504iSのカメラ画像の読み出しは「ケータイリンクV」(ビレッジセンター)と「携帯万能9」(SSIトリスター)が対応している。せっかくVGAで撮影できるのだから、先週紹介したSH251iSのようにデータリンクソフトを公開するか、せめてカメラ画像だけでも読み出すツールを提供しても良かったのではないだろうか。


サムネイル VGAサイズのサンプル
 撮影した画像はサムネイル表示が可能。画像サイズにもよるが、表示速度はあまり早くない  VGAサイズのサンプル画像。市販のメモリダイヤル編集ソフトで読み出し、画像編集ソフトで回転のみさせている

アクセスリーダー

 アクセスリーダーは印刷物の英数字の読み取りが可能だが、手で入力した方が早いこともありそうだ
 さて、N504iSのカメラ機能で、もう1つのセールスポイントである「アクセスリーダー」だが、簡単に言ってしまえば、パソコンのイメージスキャナなどで利用されている「OCR(Optical Character Reader)」機能だ。カメラを起動し、名刺や雑誌などに印刷された英数字をテキストデータとして読み込むことができるわけだ。URLやメールアドレスなどを読み込むには便利そうな機能だが、アクセスリーダーを利用するには標準で付属している「ムーバ用レンズ」をカメラ部に装着しなければならない。ムーバ用レンズには磁石が付けられており、アクセスリーダー利用時のみ、N504iSのカメラ部に貼り付けるように装着するわけだ。

 ただ、個人的にはアクセスリーダーに今ひとつ魅力を感じない。まず、第一に操作が非常に煩雑であるという点だ。ムーバ用レンズは磁石で貼り付くが、通常はストラップにフックで取り付けているため、取り込み時にストラップを引っ張ってしまい、「ポロッ」とカメラ部から落ちてしまうことが多い。読み取り時も端末で手元が暗くなるため、認識できないことがある。しかも認識率がそれほど高くないため、認識モードを切り替えたり、何度も認識し直す羽目になる。これだけの手順を踏むのであれば、テンキーからマルチタップ式で文字を入力した方が早いのではないだろうか。

 また、アクセスリーダーを実現するカメラ機能として、至近距離に焦点を合わせる「マクロ撮影対応」が必須なのであれば、SH251iSやA5302CA、J-SH52などの切替スイッチの方がはるかにスマートだ。さらに、N504iSは画面が縦長であるにもかかわらず、アクセスリーダーは通常と同じ向き(縦長画面)でしか利用できないため、せっかくの216ドットという縦方向の解像度を活かすことができない。

 さらに、ムーバ用レンズの磁石については、他の磁気カードなどへの影響が気になるところだが、NECでは電車の切符などで検証したとのことだ。筆者が試したところ、ムーバレンズを当ててもフロッピーディスクの内容が消えることはなかった(磁気カード類はさすがに怖いので試していない)。ただ、心理的にあまり気持ちのいいものではないので、N504iSでムーバ用レンズを利用するユーザーは「磁石が入っている」ということは念頭に置いておきたい。


付属のマクロレンズ 装着
 ムーバ用レンズとそれを取り付けるための長いストラップが付属  ムーバ用レンズをカメラ部に装着。弱い磁石で固定されているので、意外に取れやすい

アイコンメニュー

 Nシリーズではおなじみのアイコンメニュー画面。高精細化されても基本的なデザインは変わらない
 カメラ以外の注目機能としては、リモコン機能が挙げられる。504iシリーズから標準装備となった赤外線通信ポートを利用し、テレビやビデオ、カラオケのリモコンとして利用できる機能だ。標準では松下電器製とシャープ製テレビのリモコンデータが内蔵されており、その他のメーカーについては公式サイトの「みんなNらんど」からダウンロードし、追加することができる。過去に、PDAなどで赤外線リモコン機能を実現したアプリケーションはあったが、純粋な携帯電話で実現したのはおそらくN504iSがはじめてだろう。今どきの「何でもケータイ」的な若い人たちには便利な機能だ。ちなみに、到達距離は約3mとされているが、実際には4mくらいでも届く。ただ、本物のリモコンに比べ、やや指向性が強いので、しっかりと目的の機器に向ける必要がある。余計なお世話だが、くれぐれも他人の迷惑になるようなシチュエーションでリモコンを使わないようにしたい(笑)。

 この他にも、N251iから搭載されたメールの「ゴミ箱」、自動振り分け、セキュリティ設定などの機能も継承されている。ただ、N251iで指摘した問題点もそのまま受け継がれている。たとえば、MENU画面の[ユーザデータ]内の[アルバム]からはiショットメールを作成したり、画像を赤外線ポートから送信できるが、[マルチメディア]内の[マイピクチャ]の[アルバム]ではこれらの機能が利用できない。つまり、同じ機能名でありながら、動作が異なるわけだ。同様に、iショット送信時の一時的な発信者番号通知の有効化についてもサポートされていない。この機能がはじめて搭載されたF251iの登場から、すでに半年が経過しており、後発の他の端末も取り入れていることを考えると、N504iSでも取り入れるべきだったのではないだろうか。


フォルダ管理 発信者番号通知
 メール画面はフォルダ管理が可能で、「ゴミ箱」も装備された  iショット送信時に一時的に発信者番号通知を有効にする機能は装備されていない

このままでは「カメラ付きのNの本命」と呼べない

 最後に、N504iSの「買い」について診断してみよう。折りたたみのNとして、iモード端末のみならず、国内のケータイ市場をリードしてきたNTTドコモのN50Xiシリーズ。昨年最大のトレンドであるカメラが搭載され、「カメラ付きのNの本命」と見る向きも多い。機能的にも約31万画素のCMOSイメージセンサによるカメラ、最大20枚の連続撮影、英数字を読み込めるアクセスリーダー、赤外線通信ポートを利用したリモコンなど、他社製品にはない機能を搭載し、アドバンテージを狙った格好だ。

 しかし、正直に言ってしまうと、全体的にやや不満の残る出来映えだったと言わざるを得ない。約31万画素を最も活かすVGA画像は基本的に赤外線通信ポートでしか転送できず、iショットの使い勝手もN251i同様、他のiショット端末に譲る面が見られる。撮影画像のリサイズができないことをはじめ、今ひとつ取り扱いに詰めの甘さが感じられる。機能的なアドバンテージがあるとすれば、最大20枚の連続撮影機能くらいだろう。

 セールスポイントの1つであるアクセスリーダーは外付けのムーバ用レンズで実現しているが、昨年登場したカメラ付きケータイでマクロ撮影に対応している機種はほとんどがスイッチでの切替式を採用しており、はるかにスマートにまとめられている。NECとしてはムーバ用レンズを付属の長いストラップに取り付けることを想定しているようだが、どれだけ使うかがわからないムーバ用レンズのために、ユーザーがお気に入りのストラップを外し、わざわざ長い地味なストラップを付けるだろうか。ムーバ用レンズは他のストラップにも付けることもできるが、ケータイのストラップは折りたたみデザイン全盛を反映し、全体的に短くなる傾向にあり、その手のストラップにムーバ用レンズを付けてもカメラ部に届かない。さらに、磁石による接続はトラブルの報告こそないものの、これだけ身の回りに磁気を利用したカード類や製品が存在することを考えると、あまり気持ちのいい手段とは言えない。仮に、外付けにするにしてもねじ込み式など、もっと安全かつ確実な手段があったはずだ。

 これらのことを総合すると、N504iSを買いと言えるのは、「どうしてもN50Xiシリーズのカメラ付きが欲しい」と言い切れる人たちだ。NECとしては、アクセスリーダーなどでN504iSに付加価値を持たせようとしたが、それらはやや空振りの印象が強く、単純に「Nシリーズにカメラが付きました」というレベルの仕上りでしかない。また、使い勝手など、実用的な機能面でも他のカメラ付きケータイに負けている印象も否めない。厳しいようだが、今回のN504iSはユーザーの利用シーンやニーズを十分に理解しているとは言い難く、筆者は素直に「買い」と言う勇気はない。アクセスリーダーのような派手な機能も面白いが、カメラ付きケータイ、iショットならではの基本的な機能が磨き込まれていなければ、派手な機能も映えない。とても「本命」と呼べないというのが筆者の偽らざる感想だ。

 ライバルのPシリーズは一昨年までにシェアを落としながら、昨年、薄型ボディやツインカメラで巻き返したが、Nシリーズも今一度、原点に立ち戻り、ぜひ次期モデルでユーザーを唸らせる出来の端末を開発して欲しい。


・ ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/02/whatnew1120.html
・ 製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/f/n504is.html
・ ニュースリリース(NEC)
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0211/2001.html
・ 製品情報(NEC)
  http://www.n-keitai.com/lineup/n504is/flash.html

N504iS(ブライトシルバー)
ドコモ、OCRとリモコン機能を搭載したカメラ付き端末「N504iS」
『折りたたみのN』初のiショット端末「N251i」


(法林岳之)
2003/01/15 12:46

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