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プチフラッシュを搭載したカメラ付き端末「A3015SA」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


カメラを楽しむためのCDMA2000 1x端末

 今年9月に発表したカメラ付きケータイ4機種に加え、11月にムービーメール対応の2機種も発表したau。すでに販売されている先行4機種のうち、カメラを楽しむ機能が充実しているのが三洋電機製端末「A3015SA」だ。10月下旬に遅れて発売されたカラーのモデルを購入できたので、レポートをお送りしよう。


カメラ付きケータイを助ける「ライト」

A3015SA

 au/三洋電機『A3015SA』。サイズ:47×92×25mm、99g。ネーブルオレンジ(写真)、パールピンク、シルバーをラインアップ
 今年に入り、各社からカメラ付きケータイが相次いで登場し、この年末商戦はカメラ付きケータイが主役と言われている。カメラは元々、ひとつの趣味、もしくは仕事としても成立するものだが、多くの人はデジタルカメラや一般的なフィルムカメラ(銀塩カメラ)を旅行やイベントのときに使うことが多い。しかし、ケータイにカメラが搭載されたことにより、誰もが気軽に日常の写真を撮るようになり、「写真を撮る」という行為そのものが少しずつ身近になりつつあるようだ。もちろん、そこにはモラルやマナーといったものも必要なのだが、最近ではカメラ付きケータイで撮った写真で構成する日記をWebサイトで公開している人も見かけるほど、身近になっている。

 ただ、実際にカメラ付きケータイを使ってみると、なかなか思うような写真が撮れないこともある。特に、カメラ付きケータイが活躍するが多い室内では、光量が不足し、せっかく撮った写真が今ひとつくらいということも少なくない。そこで、各メーカーはCCDやCMOSイメージセンサーの感度を向上させたり、周辺回路を見直したり、明るいレンズを採用するなど、さまざまな工夫を凝らしている。はじめてカメラ付きケータイが登場したJ-SH04などの頃に比べれば、格段に向上しているのだが、それでも暗く感じることがある。この光量不足の解決策として、今年は対象物を照射する「ライト」を搭載するモデルが登場している。

 今回紹介する三洋電機製端末「A3015SA」は、「プチフラッシュ」と呼ばれるライトを装備している。他社のライトは「つけっぱなし」のライトだが、A3012SAのそれは一般的なカメラの「フラッシュ」のように、シャッターを押したときにピカッと光る仕組みだ。

 三洋電機はauやJ-フォン、ツーカー、DDIポケットに端末を供給しているが、世界的に見てもトップクラスのケータイメーカーのひとつだ。また、デジタルカメラという視点で三洋電機を捉えてみると、実は国内有数のデジタルカメラのメーカーでもある。このデジタルカメラのメーカーというのは、単純に自社製品を製造するだけでなく、他社にOEM供給するメーカーとしても確固たる地位を築いている。つまり、デジタルカメラの部分については、一日の長があるとも言えるわけだ。

 そんな背景を持つ三洋電機だが、cdmaOne端末ではDDI-セルラー/IDOの時代から常に先行して、新機能を搭載した端末を供給してきている。ただ、初期の日立製作所、着せかえケータイのソニー・エリクソン、MPEG4ムービーの東芝、カメラ機能のカシオのような際立った特色がなく、GLOBAL PASSPORTを供給する唯一のメーカーくらいの印象しかない。A3015SAを語る上で、言わば「隠れたお家芸」でもあるカメラ機能で、どれだけ三洋電機ならではの力を発揮できているのかも気になるところだ。実機を見ながら、A3015SAの実力を探ってみよう。


オート発光も可能なプチフラッシュを装備

背面

 アンテナをヒンジ側にレイアウトした折りたたみボディを採用
 製品のスペックや細かい仕様については、auや三洋テレコミュニケーションズの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 ボディはヒンジ側にアンテナを備えた折りたたみデザインを採用し、トップパネルの処理により、スリムな印象に仕上げている。アンテナ部分のトップは各色ともスケルトンになっており、内部のアンテナ部もボディと同系色を採用する。背面側にはサブディスプレイと内蔵カメラを備え、カメラ部の横にはA3015SAのセールスポイントのひとつであるプチフラッシュを装備している。

 メインの液晶ディスプレイは最大132×176ドット/26万色表示が可能な2.1インチTFTカラー液晶、「おしらせディスプレイ」と呼ばれるサブディスプレイは65,536色表示が可能なSTNカラー液晶を採用する。おしらせディスプレイはファインダーとして利用できるほか、着信時にアドレス帳に設定した写真を表示することが可能だ。メイン、サブともに、現在のカメラ付きケータイではトップクラスの液晶ディスプレイと言えるだろう。


メイン液晶 EZwebのトップメニュー
 液晶ディスプレイは132×176ドット表示が可能。フォントサイズは4段階に変更でき、細字と太字の選択も可能  EZwebのトップメニューを12ドットフォントで表示。これより一段小さい10ドットフォントも設定が可能

 ボタン類は中央に方向キーと決定ボタンを組み合わせたものを中央に配し、左右上に場面によって機能が変わる「フレキシブルキー」、左下に[クリア]キー、右下に[SUB]キー、その一段下には[メール]キーと[EZ]キーを組み合わせたキーが備えられる。待受画面時は中央ボタンで「メインメニュー」、左上のフレキシブルキーで「M機能」、右上のフレキシブルキーで「カメラ」を呼び出すことができる。ボタンレイアウトも操作性も最近の端末の中では、やや異質なレイアウトだ。また、本体左側面には[シャッター/メモ]キーを備えており、カメラ起動時にシャッター、待受時に伝言メモのON/OFF(長押し)などに利用することができる。


おしらせディスプレイ ボタン
 「おしらせディスプレイ」と呼ばれるサブディスプレイは65,536色表示が可能STNカラー液晶を採用  ボタン類は方向キーの真下にある棒状の横長キーが特長的。左がメール、右がEZメニューを呼び出す。機能のレイアウトもやや独特

11万画素のCCDカメラを内蔵

プチフラッシュ

 プチフラッシュの動作は「AUTO」「ON」「OFF」の3つから選択できる。できれば、ワンタッチ切り替えにして欲しかった
 次に、注目のカメラ機能について見てみよう。カメラ部は11万画素のCCDを採用し、前述の通り、高輝度LEDを利用したプチフラッシュを備えている。

 撮影サイズはメインディスプレイと同じサイズの132×176ドットのみとなっているが、撮影後に「Mサイズ(144×132ドット)」「Sサイズ(120×120ドット)」「SSサイズ(72×72ドット)」にトリミングしたり、10%ずつ拡大や縮小もできるようにしている。拡大・縮小は50~140%の範囲となっている。他事業者の端末へ送信することも考慮し、J-フォンユーザー向け(160×120ドット/4KB以下)、auの旧機種ユーザー向け(120×120ドット/12KB以下/PNG形式)の画像変換機能も備える。

 撮影モードは「標準」「1.5倍」「2倍」のデジタルズームが利用でき、セルフタイマーや日付スタンプ、GPS情報の付加、シャッター音選択などの機能も備える。撮影時の特殊効果は「セピア」「モノクロ」「ネガ」など5種類が用意されており、10種類のフレームを貼り付けた状態での撮影にも対応する。高輝度LEDを利用したプチフラッシュは、「AUTO」「ON」「OFF」の3つのポジションが用意されており、暗い場所での撮影に役立つ。一般のカメラやデジタルカメラほどの明るさはないが、至近距離の撮影などには十分効果を発揮する。


サンプル プチフラッシュ
 A3015SAで撮影した画像。サイズは小さいが、画質はなかなか良好。(モデル:篠崎ゆき  カメラ部の横には高輝度LEDによる「プチフラッシュ」を装備

 撮影時の機能切り替えは[SUB]キーから表示されるメニューで選択するが、テンキーで個々の機能メニューを呼び出すこともできるので、これを覚えておくと便利だ。たとえば、[1]がフレーム、[3]がセルフタイマー、[5]がフラッシュといった具合いだ。このあたりの使い勝手はなかなか便利だが、欲を言えば、[5]をくり返し押すことで、フラッシュ機能が「[AUTO]→[ON]→[OFF]」のように切り替えられると、さらに使いやすくなるだろう。

 撮影した画像はデータフォルダ内の「Myフォトフォルダ」に保存される。Myフォトフォルダはサムネイル表示が可能で、日付設定などにより、絞り込み表示もできる。画像は前述のサイズ変更に加え、画像の回転やフレームの追加、スタンプやテキストの追加、左右反転などの加工ができる。特殊効果も撮影時のものも含め、8種類が利用可能だ。ただ、サムネイル表示の状態から[SUB]キーで機能を呼び出せば、メールへの添付や特殊効果、タイトル編集などの機能が利用できるのだが、決定キーで拡大表示をしてしまうと、これらの機能を呼び出すことはできず、どの機能を利用しているときに表示するのかを設定する「画面設定」しか利用できなくなる。できれば、拡大表示をした状態でも編集機能などを呼び出せるようにして欲しいところだ。


フレーム M機能
 撮影時には「フレーム」や「特殊効果」を追加することが可能  待受画面で左上のフレキシブルキーを押すと、テキストベースの「M機能」画面

 カメラ以外の機能としては、「和英・英和辞書」や「マルチリンクスケジュール」などが便利だ。和英・英和辞書は単純に辞書として使えるだけでなく、英単語クイズも楽しめるので、向学心のある学生には有用だろう。マルチリンクスケジュールはスケジュールにデータフォルダ内の画像や音声、送受信メールなどをリンクできるようになっている。たとえば、友だちから食事のお誘いのメールが来たときは、そのメールにリンクさせてスケジュールを登録すれば、スケジュールの画面から瞬時にお誘いのメールを呼び出せることができる。


メニュー フォルダ管理
 待受画面で中央の決定ボタンを押すと、画像を利用したメニュー画面が表示されるが、ややわかりにくい  メールはフォルダ管理が可能。振り分けはメールアドレスで行ない、自動振り分けや再振り分けにも対応

11万画素でも豊富な編集機能は便利

 さて、最後にA3015SAの「買い」について考えてみよう。三洋電機と言えば、国内のデジタルカメラ市場の隠れた立役者として知られる。A3015SAのカメラ機能はそのノウハウを活かして開発されているようだ。カメラ部は11万画素のCCDを採用しているため、どちらかと言えば、普及モデルという位置付けになるが、画像編集などの機能については普及モデルのカメラ付きケータイの中でもかなり充実している部類に入る。使い勝手についてはいろいろと配慮や工夫がうかがえるが、今ひとつまとめ切れていない部分もあり、やや不満が残る。また、キーレイアウトや機能割り当てについては、最近の端末の中ではやや特殊な部類に入り、ややわかりにくいというのが素直な印象だ。特に、EZweb閲覧時やメール画面、カメラ画面などで、機能メニューを呼び出すときのボタンがカーソルキーの右下にある[SUB]キーを使うというインターフェイスは、慣れが必要だろう。

 これらの点を総合すると、A3015SAをおすすめできるのは、過去に三洋電機製端末を利用したことがあるユーザーであり、他メーカー製端末から乗り換えるユーザーは「違うケータイなんだ」ということを十分に理解してから選ぶ必要があるだろう。カメラについては「とりあえず撮ってみたい」「フレームなどでちょっと遊んでみたい」というライトなユーザー向けのものという印象だ。ただ、これだけ豊富な機能をライトなユーザーが十分に使えるかどうかは、やや疑問が残る。できれば、現在の機能を活かしながら、もう一歩、使い勝手に磨きを掛け、30万画素クラスのカメラ機能を搭載したモデルの登場を期待したい。


・ ニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2002/0826/
・ 製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/a3015/
・ 製品情報(三洋テレコミュニケーションズ)
  http://www.stel-web.com/line_up/a3015sa/

A3015SA(パールピンク)
au、動画メール対応機などカメラ搭載4機種を発表
au、1パケット0.1円になるオプションパックなどのサービスを追加


(法林岳之)
2002/12/10 11:46

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