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第68回:ハンドオーバーとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 携帯電話では、「ハンドオーバー」という動作がユーザーの意図しないところで行なわれています。このハンドオーバーは、先週取り上げた「セル」という概念と、密接に関連する動作です。ハンドオーバーは、英語では「hand over」。「渡す」「取り次ぐ」といった意味を持っています。

 携帯電話は電源が入ると、現在位置のセルの基地局と情報をやり取りし、携帯電話が今どのセルにいるのかということが、携帯電話の交換機がある「交換局」でわかるようにします。これは「位置登録」と呼ばれる動作ですが、この動作をすることで携帯電話に電話をかけた時に、交換局が携帯電話のいるセルの基地局から携帯電話を呼び出すことができるため、ユーザーは電話を受けて会話を始めることができるようになります。

 携帯電話がセル内で通話をしている場合は、これだけで何の問題もありません。しかし、移動しながら会話をしているとしたらどうでしょうか? ユーザーの移動の仕方によっては、セルの外側に出てしまうかもしれません。セルの外に出てしまうと、携帯電話から基地局への電波は弱くなり、しまいには届かなくなってしまいます。つまり、回線が切れて会話ができなくなるわけですが、やはり携帯電話は移動しながら使うことも実際にあるわけですから、それでは困ってしまいます。

 そこで、携帯電話ではハンドオーバーという動作が行なわれます。これによって、携帯電話では移動しながらでも途切れることなく会話が続行できるのです。


移動しながら使える仕組み「ハンドオーバー」

 携帯電話の「ハンドオーバー」とは、携帯電話やPHSでの通話中に、電波でデータのやりとりをする基地局を切り替える動作のことをいいます。デジタル携帯電話などでは、次のようにハンドオーバーを行なっています。

 携帯電話は、基本的には1つの基地局との間で電波を使ってデータのやり取りをしています。このやり取りでの電波の強度を見て、どの基地局とやり取りをするかを決めます。例えば、あるセルから移動した場合、基地局からの電波が弱くなりますので、ある程度弱くなったらもっと強い電波でやり取りできる基地局がないかを、端末が探します。近くにもっと強い電波でやり取りできる基地局があった場合、端末と交換機からのネットワークは通信をそちらに切り替えます(このとき、PDC方式の携帯電話やPHSでは、セル毎に違う周波数が使われているため、周波数も切り替えます)。

 これによって、端末が移動してセルの電波が届く範囲から外れてしまっても、会話を続行することができるわけです。


携帯電話は移動しながら使われることもある。その場合、端末とやり取りする基地局を切り替えなくてはならない。これを行なうのが携帯電話の「ハンドオーバー」動作だ

 このハンドオーバーは、接続する基地局や周波数を切り替えるという動作をするため、ユーザーもその動作が行なわれているのがわかることがあります。例えば、一瞬「プツ」と音の途切れが発生することがあるのがそれです。


ハンドオーバーにかかる時間を短くする工夫

 PHSでは基地局・端末とも、PDCデジタル携帯電話と比較すると出力する電波が小さいため、ハンドオーバーが頻繁に起こりやすくなっていますが、多くのキャリアで「高速ハンドオーバー」機能を端末と基地局に搭載するなど、ハンドオーバーにかかる時間を短くするための工夫をして、携帯電話並みの使い勝手を実現しています。例えば、アステルの「スーパースムーズ」方式では、通話中にも他に条件の良い基地局がないかどうかを常に先取りしてチェックしておくことで、いざハンドオーバーをするときには、切り替え時間が短くなるようにしています。

 また、FOMAやcdmaOneで採用されているCDMA方式では、このようなハンドオーバーが原因の音途切れというものは、その仕組み上起こりにくくなっています。これはCDMA方式のメリットのひとつといえるでしょう。CDMA方式では、そもそもが複数の電波を同時に利用しており、位相などがずれていてもそのずれを合わせてひとつの強い電波として使う「RAKE受信」を行なっているからです。

 このRAKE受信は、基地局から直接届く電波(直接波)と、障害物などで跳ね返って届く電波(反射波)を合成して利用する仕組みです。セル境界付近では、複数の基地局からの電波を同時に受信して利用するため、そのうちのいくつかの電波が途切れても、ユーザーにはその切り替えを感じさせることが少ないのです。

 端末の「複数の基地局と同時に交信できる」という機能を利用した、音途切れの少ないハンドオーバーは、「ソフトハンドオーバー」と呼ばれることもあります。



(大和 哲)
2001/11/13 13:45

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