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第64回:M-stageとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 PHSやFOMAは、従来のPDC方式のデジタル携帯電話に比べて高速にデータ通信が可能です。たとえば、PDC方式のiモード端末では、パケット通信の9600bpsというデータ伝送レートでデータをやり取りしています。PHSでは、P-in Comp@actなどのPIAFS 2.0対応機器の場合、回線交換方式で64kbps(1kbpsは1000bps)、FOMAでは回線交換方式で64kbps、パケット方式では実に最大384kbpsと、PDC方式と比較して実に400倍以上の速度でデータをやり取りできることになります。

 このように、大量にデータをやり取りできるのであれば、会話の音声だけを電波にのせるのでは使いきれません。そもそも、PDCよりもはるかに通話音質のよいFOMAでも、音声帯域は約11.2kbps程度しか使っていないのです。それでは、これだけのデータ伝送速度を何に使うか、と考えた時に真っ先に思い浮かぶのが、音楽や動画データなどのマルチメディア用途に使うことでしょう。

 NTTドコモでは、デジタル携帯電話では提供されていませんが、PHSでは提供されるマルチメディア配信サービスがいくつかあります。「M-stage」はそんなうちのひとつで、NTTドコモがPHS通信網を使って提供しているマルチメディア配信サービスです。このM-stageには、音楽配信と映像配信の2種類のサービスがあり、それぞれ「M-stage music」と「M-stage visual」と呼ばれています。

 また、2001年10月1日より本サービスが開始された「FOMA」でも、M-stage visualによるコンテンツ配信サービスが2002年春頃にスタートする予定となっています。


M-stage musicとは

 M-Stage Musicは、2001年1月から開始されたNTTドコモの音楽配信サービスです。このサービスには、「Picwalk P711m」あるいは「SH712m」というM-stage music対応のPHS端末が使われます。


P711m

SH712m


 これらの端末には、それぞれメモリカード(P711mの場合はSDメモリーカード、SH712mの場合はマジックゲート対応メモリースティック)が搭載されていて、PHS回線を使って音楽データをダウンロードしてメモリに保管でき、PHSとヘッドホンなどを接続してそのまま音楽を聞くこともできるようになっています。つまり、ソリッドオーディオプレーヤーに、この回線を使ってデータをダウンロードする機能とPHS機能がついたと思えばいいでしょう。

 この音楽データは、実際の楽曲を圧縮したデータを再生しています。携帯電話の音楽データなどで使われる電子的な楽譜データは、内蔵のシンセサイザーMIDIタイプの音楽データと違い、データ量が非常に大きくなってしまいますが、PHSでは携帯電話よりも高速な64kbpsのスピードでデータをダウンロードできるため、このようなタイプのデータも扱うことができるのです。ちなみに、P711m用のデータはAAC、SH712mはATRAC3という方式で圧縮されています。

 このM-stage musicでは、人気レーベルからエントリーされた多彩なジャンルの音楽が配信されていて、2001年10月現在、曲のラインナップは約1400曲となっています。


M-stage visualとは

eggy
 「M-stage」を名乗るもう一方のサービスは「M-stage visual」といって、こちらは映像を配信するサービスです。ビジュアル端末「eggy」をパルディオやドッチーモ、P-in Comp@ctなどのデータ通信が可能なPHSと組み合わせ、映像データをダウンロードして鑑賞できるサービスです。

 このM-stage visualでは、映画・テレビ・音楽などのエンターテインメント情報や、ニュース、スポーツなど、様々なジャンルのコンテンツが静止画や動画で配信されていて、オンデマンドで見たい情報をいつでも好きなときに見ることができます。

 チャンネル数は2001年10月現在で70チャンネルが用意されていて、中にはテレビなどではなかなか見られないマニアックなコンテンツも多くあるので、魅力的に感じている人も多いことでしょう。


M-stageには普通のテレビなどでは見られないコアなコンテンツも多くあり、マニア心をくすぐりそうだ。写真は歴代ウルトラマンの名場面を題材にしたアニメーションクイズなど、円谷プロダクションのコンテンツが見られる「円谷チャンネル」(チャンネル:780、配信:松下電器産業)

 このM-stage visualはMPEG-4という方式を利用しており、移動体通信への配信のようにデータ転送速度が遅く回線状況が変わりやすい環境でも、差しさわりなく映像を楽しむことができるようになっているものの、映像データを表示するには音に加えてなめらかに動く画像データも同時に利用しなければなりません。ですから、当然音楽データよりもさらに大きな容量のデータが必要になります。

 その意味では、PHSよりもさらに高速なFOMAは、このようなサービスを利用するにはうってつけの方式であるといえるでしょう。なお、2001年5月から行われていたFOMAの試験サービスではM-stage visualが利用できましたが、現在の本サービスでは提供が中断されており、2002年春から本格的に開始されることになっています。

 なお、余談ですがNTTドコモおよびマイクロソフトのWebサイトでは、M-stage visualで使われている動画ファイルを、パソコンなどを使用して作る方法も公開されています。もともとこのM-stage visualで使われているMPEG-4は、パソコンでの動画作成などでも使われる方法なので、データを作りやすいのです。NTTドコモでは、このようなM-stage データの配信ページを「Mページ」と呼んでいるようです。

 この情報を利用すれば、自分のWebサイトで自作のM-stage visual用映像データを配信することも可能になりますので、eggyを持っている方はチャレンジしてみてはいかがでしょう。


・ 「M-stage music」のサービス案内(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/m_c/mstage/music/
・ 「M-stage visual」のサービス案内(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/m_c/mstage/visual/home.html
・ 「作ろうMページ」(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/m_c/mstage/visual/mpage/index.html


(大和 哲)
2001/10/16 14:07

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