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第55回:ezplusとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


ezplusとは

 「ezplus」は7月4日からau(KDDI)が提供を開始した、携帯電話向けのJavaを使ったサービスです。現在、このezplusを利用した32コンテンツ・92アプリケーションが17社よりauの携帯電話向けに提供されています(なお、javaについてはこちらをご参照ください。)。

 今までのEZwebでは、携帯電話にダウンロードできるのは「データ」だけで、臨機応変にユーザーの反応に応える、というようなことはできなかったわけですが、ezplusではJavaが利用できるため、携帯電話がコンピュータとなって、ダウンロードしたアプリケーションを実行することができます。

 たとえば、シューティングゲームやアクションゲームを作ろうとした場合を考えてみてください。利用者が何かボタンを押すたびに通信をして画面の動きが止まってしまうようでは、ゲームとして成り立ちませんね。ですので、EZwebではこのようなコンテンツはできなかったわけですが、ezplusではそれが可能になり、実際に多くのリアルタイム対戦型ゲームが提供されています。また、双方向コミュニケーションソフト、動く壁紙、スムーズな位置情報検索なども同様にezplusの仕組みで実現できるようになり、サービスが提供されています。

 iモード携帯電話でも、それまでのデータをダウンロードして表示するだけのiモードに加えて、1月からJavaプログラムを実行できるiアプリが登場しましたが、EZwebとezplusの関係は、ちょうどこのiモードとiアプリの関係と同じであると言っていいでしょう。

 携帯電話(端末)としては、日立製作所製「C451H」、また8月に発売が予定されているカシオ計算機製「C452CA」がezplusに対応しています。型番がC450番台以後のcdmaOne端末であれば、Javaに対応していると考えてよいでしょう。


ezplusの優れている点

 ezplusの特徴としては、次のようなものが挙げられます。これらはそのままiアプリと比較して、違っている点、優れている点だと言ってもいいでしょう。

・プログラムサイズは50kバイトまで対応
・ezplus通信による端末間通信
・モバイルエージェント機能を搭載
・アドレス帳、位置情報などの個人情報をアプリケーションから利用可能

 プログラムのサイズの「50Kバイト」は現在のところ携帯電話のJavaとしては最大です。


店頭で配布されているezplusの小冊子(英語で)さりげなく「D社より5倍速い……」というようなことが書かれていたりもする
 ezplus通信とは、アプリケーション同士が高速にデータをやりとりすることができる機能です。仕組み的にはCメールと同様の仕組みを利用してezplusのプログラムが通信をしています。この機能は、今までの、たとえばiアプリでのデータダウンロードと違って、ほぼリアルタイムな通信ができます(ちなみに、店頭で配布されている小冊子には「注意:データのダウンロードは“D社”より5倍速いです。しかし、それが5倍面白いという保証ではありません」というような意味の英文がなにげなく書かれていたりします)。

 使い方としては、たとえば、タイムラグがほとんど発生しないチャット、などというものも可能になります。

 「モバイルエージェント機能」は、ezplus対応携帯電話を持っている同士であれば、相手の携帯電話に仮想キャラクター(エージェント)を派遣して、メッセージを表示させたり、プログラムを複製したりなどということができる機能です。

 ezplusコンテンツでは「スキスキペアキャラ!」などがこの機能を利用しています。今までのサービスとの違いは、サーバを介さずに端末間だけでゲームをプレイすることが可能な点です。難しい言い方をすると、携帯電話でピア・トゥー・ピア(P2P)を実現する機能だ、とも言えます。この機能にはオムロン、オムロンソフトウェア、ならびにバンダイネットワークスの3社が開発したソフトウエア「Jumon」がベースになっています。

 なお、ezplusアプリケーションに関しては、プログラムによって「レベルA対応アプリ」「レベルB対応アプリ」という、セキュリティの対応している度合いに応じた2つのレベル分けがされることになっています。レベルAのアプリケーションは、入念なKDDIによるチェックのあと、KDDI網内のサーバから配布されるもの、と定義されています。Cメール通信、個人情報の利用、端末情報の一部の利用は、レベルAのアプリケーションのみで利用できるようになります。

 ezplusでは、一般にアプリケーションの作り方が公開されていますので、誰でも自由にアプリケーションを作って配布できるようになるはずです。が、公開された情報で作ったアプリケーションはレベルAより劣るレベルBのアプリケーションしか作れません。


他のケータイJavaとの仕様の違い

 今までの説明でわかるかもしれませんが、ezplusはiアプリと同様にJavaを使ったサービスですが、iアプリとは仕組みが違うためにiアプリのプログラムをそのまま使うことはできません。

 ezplusはJava環境として「KVM(CLDC)」+「MIDP」プロファイル+「KDDIプロファイル」という仕組みを採用しています。KDDIプロファイルは着信LED明滅やバイブレータなどKDDIの携帯電話に独自の機能を制御するためのものです。

 他の携帯電話のJava環境ではiアプリは「CLDC(KVM)」+「Dojaプロファイル」、J-フォンのJavaは「KVM(CLDC)」+「MIDP」+「J-PHONE Specific Class Libraries(JSCL)」という構成になっていて、JSDLがJ-フォンの携帯電話の特徴的な機能である3Dポリゴン描画やスプライト機能、ハードウェアの制御などを受け持っています。

 そんなわけで、アプリケーションの互換性の関係としては以下のようになります。
・各機種専用のアプリケーションは各機種でしか実行できません。
(たとえば、ezplus専用のアプリケーションはezplusでのみ実行できるはずです)
・同様に、J-フォンのJavaでもJ-フォン独自機能である「2Dスプライト」「3Dポリゴン」などを使った専用アプリケーションは、J-フォンのJava対応端末でしか利用できません。
・iアプリもiアプリに対応したiモード携帯電話でしか利用できません。

 ezplusの機能の一部として、MIDPが持っている機能があります。このMIDP用のプログラムはJ-フォンの対応携帯電話でも利用できるようになるはずです(実際にはサービスが公開されていませんので、試すこともできないため、できるかどうかは今のところまだ確かめられてはいないのですが)。また、J-フォンの携帯電話に実行できるプログラムでMIDPの機能だけ使っているものはezplus対応機でも利用できるようになるはずです。


各Javaアプリの仕組み。iアプリのezplusのJavaは仕組みが違う部分が大きく共有できそうにないが、JフォンとはともにMIDPを利用しており、MIDPのみを利用したアプリでは共有することができそうだ

 なお、KVM+MIDPという仕様は世界標準とも言える仕様で、世界中のJava対応携帯電話はほぼこの仕様に準拠するようになるはずです。今のところJava対応携帯電話に関しては日本以外の国ではほとんど利用されていませんのでまだ試すことはできませんが、いずれは、他の国の携帯電話用のアプリでもこのezplus対応機で使えるものがでてくるはずです。

 なお、ezplus対応機は、Java仮想計算機にアプリックスのJBlendが、また、携帯電話の端末のチップも同じQualcomm社製のものが利用されることになります。ですので、ezplusに関しては、仕様に関しても速度に関してもどの電話でもほぼ全く同じという、非常に互換性の高いJava環境になると言われています。


au、ezplus向けに32コンテンツ・92アプリを発表


(大和 哲)
2001/08/07 00:00

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