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第394回:ユニバーサルデザイン とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「ユニバーサルデザイン」とは、米国人で工業デザイナーとして知られるロナルド・ローレンス・メイス(Ronald Lawrence Mace)氏が提唱した概念で、“普遍設計”を意味する英単語(Universal Design)からきていています。略称で「UD」と表記されることもあります。

 普遍とは、特殊の逆のこと、つまり「全てにあてはまること」を意味しており、ユニバーサルデザインとはその名の通り、全ての人に適用可能な設計のことを意味する用語です。

 このユニバーサルデザインの標準規格に関しては、ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization)でISO 13407で設計のプロセスが標準化されています。ISOでは「人間中心設計(Human-centred design)」と命名されています。


ユニバーサルデザインの7原則

 人には、年齢、性別、あるいは障害の有無などによって、さまざまなな能力の差が存在します。工業製品のデザインなどでは、ユーザーの能力に依存した設計をしてしまいがちですが、最初からできるだけ多くの人が利用できるように設計することをユニバーサルデザインと呼びます。

 ユニバーサルデザインについて、世間でよく誤解されているのは、「これはバリアフリーのことではないか」というものです。

 ユニバーサルデザインという概念は、バリアフリーのことも含みますが、全く同じではありません。最も大きな違いは、「ユニバーサルデザインは障害者やお年寄りのみといった特定の人々だけ志向しているのではない」ということです。

 基本的に、ユニバーサルデザインの発想には「障害者に限らず、健常者も含め、全ての人間はそれぞれ違った能力・特性を持っている」という考えがあります。その上で、全ての人にとって使える、ユニバーサルであることが良いという考え方を確立させたのです。


 メイス氏が生前にまとめた「ユニーバーサルデザインの7つの原則」によれば、ユニバーサルデザインを志向する設計は、以下の原則に基づいています。


  1. どんな人にも使えること

  2.  全てのユーザーに、同じ機能を提供できることを志向すべきです。どんな人も分離したり、烙印を押されたりする(たとえば「お年寄り用の機能はこちら」と誘導する)べきではありません。

  3. フレキシブルな、自由度の高いものを志向すること

  4.  使い方に選択の幅を持たせるべきです。たとえば、右利きの人だけが使えるように取っ手を作るのではなく、どちらの手で持っても使えるというように。

  5. シンプルで「見れば分かる」ような使い方にすること

  6.  不必要に複雑にすべきではありません。言語能力に左右されることなく分かるように。情報は重要な順に一貫しており、作業完了もわかりやすく表示したりフィードバックがされるようにすべきです。

  7. 必要な情報は理解できるようにすること

  8.  たとえば、モード切替などは、画像、音声、触覚を駆使して、必要な情報が最大限はっきり伝わるようにすべきです。

  9. うっかりの間違いを救うこと

  10.  操作を行った結果が、どんなミスでも「致命的」にならないようにすべきです。たとえば、アドレス帳からデータを削除したときにも、あとで取り返すことができる、というように。

  11. 体への負担が少ないこと

  12.  不自然な格好で操作させたり、妥当でないほど力をかけさせたりさせるべきでありません。また、ずっと止まった格好が必要だったり、むやみに反復させるのもよくないことです。

  13. 近づいて使うために十分な寸法・空間となっていること

  14.  接触しないと意味がないようなデザインのものの場合、立っている人、座っている人あるいは、車椅子の人など誰にでも役に立つ程度のスペースや寸法が必要です。


 このユニバーサルデザインの例としてよく知られているのは、たとえば、シャンプーとコンディショナーの容器の話です。

 以前、両者は同じ形、似たような色のデザインで作られていました。が、現在、日本国内では、シャンプーのほうには側面にはぎざぎざ状の触覚記号がつけられ、コンディショナーにはぎざぎざがない、という形状の差が広まりました。視力に障害のある人にとって、お風呂ではシャンプー、コンディショナーの区別がつきにくかったのですが、この工夫のおかげで頭につけたり手に出したりする前に区別できるようになり、より便利になりました。視覚障害者だけではなく、健常者にとっても、たとえば髪にお湯をかけたり、シャンプーで洗髪している最中であっても、どのボトルがシャンプーか、コンディショナーか間違えることがなくなりました。


携帯電話でもユニバーサルデザイン

N706ie

N706ie
 携帯電話に関しても、最近では、ユニバーサルデザインを謳う製品が各事業者から発売されています。

 たとえば、ドコモの携帯電話の中で、ユニバーサルデザイン対応として最も知られているのは「らくらくホンシリーズ」でしょう。大きな画面、大きめで読みやすい文字サイズ、理解しやすくシンプルな簡単メニュー、そしてメールの読み上げ、音声認識機能などが特徴です。

 また、夏モデルとして発売されたドコモの「706ie」シリーズもユニバーサルデザインを志向した機種と言えます。たとえば、この8月に発売されたNEC製の「N706ie」は、受信感度や電池残量などが表示されるピクトグラム部、画面中心に表示される機能メニュー、そしてソフトキーも含めて、画面中の上部から下部まで表示を拡大できる「全メニュー拡大もじ」機能が用意されています。

 KDDIのau携帯電話では、「簡単ケータイ」というネーミングで、ユニバーサルデザイン端末を発売しています。CDMA 1X WIN機種では「W62PT」、CDMA 1X機種では「A5528K」、「A1407PT」などがそのシリーズに含まれています。

 中でも「W62PT」は、画面上で大きく文字を表示し、キーもひとつひとつが大きくなっているなど操作しやすくなっているなどの特徴があります。


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(大和 哲)
2008/10/21 16:13

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