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第388回:ポケットU とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「ポケットU」は、家庭内のパソコンやハードディスクレコーダーに記録されている動画や音楽データ、画像などを携帯電話から閲覧できるサービスです。

 ドコモの902i以降と703i以降のFOMA端末、スマートフォンのF1100とHT1100、そして定額データ通信を利用するモバイルパソコン向けに提供されています。

 「ポケットU」は利用料として月額525円かかるほか、ドコモが発行するIDの取得、パケ・ホーダイなどパケット通信定額サービスの加入、自宅に専用ソフト(ポケットUソフト)をインストールしたパソコン、それに宅内のパソコンとドコモ網を繋ぐため、VPN(IPSec)接続対応のブロードバンド回線が必要になります。


携帯電話を利用したVPN応用サービス

 ポケットUの仕組みを見ると、自宅のパソコンをサーバーとして利用するVPN接続サービスと言えます。

 「VPN」(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)とは、インターネットを使った仮想的な専用線のことです。ポケットUの場合であれば、インターネット接続を使って自宅と携帯電話の間に、他のパソコンなどからは覗き見できない仮想専用回線を作って接続するというイメージです。

 仮想専用線を経由して、携帯電話やスマートフォン、モバイルパソコンなど外出先の機器から自宅内のパソコンにアクセスし、動画データや音楽データを再生するのが「ポケットU」の原理、ということになります。

 携帯電話の場合はiモード公式メニュー(iメニュー)から専用サイトを経由して、アクセスします。スマートフォンの場合は専用サイトへアクセスし、接続先選択から自宅のパソコンを選ぶとVPNで接続されます。ちなみに、VPNのタイプとしては、Windows XP SP2で標準になったL2TP/IPsecが利用されています。

 自宅のパソコンに接続できる端末には限りがあります。たとえば携帯電話の場合は、パソコン1台に対しては最大5台まで登録が可能です。しかし、スマートフォンやパソコンからアクセスする場合は、ドコモIDを使ってログインするため、台数の制約はありません。VPNとアクセス認証によって、ポケットUは正規ユーザー以外に動画、音楽、画像などのデータが流出することを防いでいるのです。


ポケットUは、VPNを利用して外部から宅内のパソコンにアクセスできるようにしている
ポケットUは、VPNを利用して外部から宅内のパソコンにアクセスできるようにしている

携帯から宅内PCのコンテンツを楽しめる(写真は2008年5月の新機種発表会のもの)

携帯から宅内PCのコンテンツを楽しめる(写真は2008年5月の新機種発表会のもの)
 接続先となる自宅のパソコンは、携帯電話のためのサーバーの役割を果たし、動画などのコンテンツを保存すると同時に、携帯電話からリクエストがあったときにコンテンツを送信する役割を果たします。またFOMA端末に動画コンテンツを送信する場合、専用ソフトがパソコン内の動画ファイルをiモーション形式に変換します。

 専用ソフトがコンテンツを変換してくれるので、パソコン内のコンテンツは事前にiモーションへ変換していなくても大丈夫です。たとえば動画ファイルの場合、AVI形式やMPEG-1/MPEG-2形式、音楽ファイルの場合はAAC形式やWAV形式などであれば携帯電話向けファイル形式に変換して、視聴できるようになっています。テレビ番組を録画したものや、CDから取り込んだ音楽データなどをパソコン上に蓄えておけば携帯電話から日本全国どこからでも(パソコンやスマートフォンなどは海外からでも)それらのコンテンツが楽しめるというわけです。

 ちなみにポケットUでは、動画や音楽だけでなく、たとえばWordなどのオフィス文書の閲覧もできます。携帯電話から接続する場合、それらの文書はPDF形式に変換されます。

 いったん変換したデータはパソコン内に保存されるので、再度リクエストした場合はそのまま利用できますし、自宅に戻ったときパソコンからメモリカードに転送し、携帯電話に入れて持ち運ぶことも可能です。

 なお、この変換機能は、著作権管理技術で保護されたデータは変換できません。これはWindows搭載のパソコンをサーバーとして使う場合には共通のことでポケットUに限った話ではありません。


 またパソコンでは、Windowsのファイアウォール機能など、パーソナルファイアウォールが用意されている場合、携帯電話など外部からのリクエストをパソコンが受け付けられるよう設定しておく必要があります。ファイアウォールは、外部からの不審なリクエストをセキュリティのため、受け付けないようにしています。そこで、ファイアウォールに、「ポケットU関連のパケットは安全」と教えておかなければいけないのです。

 専用ソフトでは、データ変換機能のほかに、アップルの楽曲管理ソフト「iTunes」のプレイリストに登録されている音楽ファイルを携帯電話で再生できるようにする機能(プレイリストプラグイン)や、家庭内LANに接続されたハードディスクレコーダーといったネット家電のコンテンツを取得する機能(ネット家電プラグイン)なども用意されています。

 KDDIも同種のサービスとして、外出先の携帯電話からDLNA対応機器と連携できる広域接続技術を2007年の展示会「Interop Tokyo 2007」で参考出品しており、今後のサービスが期待されています。



URL
  ポケットU サービス案内
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/music_movie/pocket_u/
  ポケットU 技術情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/music_movie/pocket_u/security/technology/

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(大和 哲)
2008/09/16 12:17

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