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第387回:EMA とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


モバイルコンテンツの健全化と、有害情報からの青少年保護を目指す

 「EMA」(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)とは、ケータイサイト・モバイルコンテンツを審査する民間団体の名称です。携帯電話向けコンテンツの健全化と、サイト上の有害情報から青少年を保護することを目指し、2008年4月に設立されました。

 具体的な活動内容としては、有害なサイトにアクセスできないようにするためのフィルタリング基準の意見書を作成したり、コミュニティサイトの運営体制をチェックする基準を策定したりするほか、基準に基づいたケータイサイトの認定と運用監視を行います。

 EMAが設立された背景としては、ケータイサイトやモバイルコンテンツが急速に普及し、青少年が有害サイトにアクセスして犯罪に巻き込まれるなどのケースが発生し、モバイルコンテンツ業界全体でのサイトへの取り組みが社会から求められるようになったことが挙げられます。

 これまでにもこの方面の対策としては、コンテンツ業界ではなく、携帯電話事業者によるフィルタリングサービスなどが提供されてきました。たとえば「コミュニティサイトは一律アクセス禁止」というように、カテゴリーごとに制限をかけて、アクセスできないようにしたり、「子供向けメニュー」のようにあらかじめ用意したリストのみアクセスできるようにするといった形となっていました。

 しかし、このような一律制限は行きすぎたものと指摘する声が挙がり、携帯コンテンツの発展を阻害してしまう可能性があるといった議論がなされました。そして、コンテンツの発展と同時に有害サイトから青少年を保護するため、コンテンツ業界団体のモバイル・コンテンツ・フォーラム(MFC)を中心として、2007年12月ごろから新団体の設立準備が進められ、ディー・エヌ・エー(DeNA)やドワンゴ、魔法のiらんどなどのコンテンツプロバイダ、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなどの携帯電話事業者、日本インターネットプロバイダー協会、日本音楽著作権協会などの団体、有識者などが設立発起人となって、EMAが設立されました。

 4月の設立から現在まで、フィルタリングのブラックリスト改善案に対する意見募集、認定コミュニティサイトの発表、フィルタリングのカテゴリに関する意見書発表といった、いくつかの成果を出しています。


EMAの組織体制

 EMAは、理事会、基準選定委員会、審査・運用監視委員会、それに理事会、基準選定委員会の下部組織となる作業部会(ワーキンググループ、WG)、審査・運用監視委員会の下部組織となる審査機関、運用監視機関から成っています。

 WGでは、有害なサイトを制限するためのカテゴリー基準の策定、健全な管理体制であるかどうかなど、基準策定を行うカテゴリー基準検討WG、表現系コンテンツ検討WG、企業情報サイト検討WG、健全コミュニティ検討WGというようにジャンルを分けてグループを作り、実際の活動を行っています。

 たとえば、カテゴリー基準については9月5日に意見書が発表されており、

  • 画像・表現・描写などにより著しく性欲を刺激するもの
  • 暴力的又は陰惨な画像・表現・描写などにより興味本位に暴力行為又は残虐性を喚起・助長するもの
  • 自殺を誘発・助長・ほう助するもの
  • 犯罪行為及び刑罰法令に抵触する行為又は誘引・助長・ほう助するもの
  • その他、青少年の健全な育成を著しく阻害するおそれがあるもの


という5つの要件に当てはまるものを「アクセス制限すべきカテゴリー」にすべきと提案しています。

 ちなみに、それぞれのWGには各分野を専門とする個人/団体が活動しています。当初発表された案では、企業情報サイト検討WGや健全コミュニティWGなどはMFCが参加し、啓発・教育プログラム検討WGでは教育関連団体が、違法コンテンツ対策WGではJASRACや日本レコード協会が中心となり検討を行うなどとしています。

 そして基準に基づいたケータイサイトの認定と運用監視を行うのが、審査・運用監視委員会の下部組織である審査機関、運用監視機関です。

 審査・監視に関しては、サイトが審査料を支払い、EMAの審査を受けて認可された場合も定期的に審査・運用監視が行われます。この作業フローに「ユーザーからのクレーム」があった場合、委員会がクレーム内容を判断し、改善の指示や認定の取り消しをサイトに対して行えたり、基準策定委員会に新たな基準策定を要求したりできますが、そういった方策が明記されていることは、EMAの特色といえるでしょう。

 EMAは、基準に適合したサイトには、近い将来、携帯電話事業者やフィルタリング技術を提供する企業などと協力して、青少年でも利用できる環境を提供することをめざして活動を行っています。



URL
  EMA
  http://www.ema.or.jp/

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(大和 哲)
2008/09/11 11:16

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