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第348回:電波利用料 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 電波利用料は、電波を使用するために必要な料金で、省庁などの行政機関が無線免許を持ったユーザーから徴収します。世界の多くの国で電波利用料と同等の制度が導入されており、日本では1993年4月から導入されています。

 日本の場合、電波利用料は、放送局や携帯電話(基地局含む)、個人ユーザーが利用するアマチュア無線局やパーソナル無線、業務で利用される船舶・航空無線、タクシーなどが使うMCA無線機など、原則として全ての無線局が支払いを義務付けられています。

 電波利用料は、用途によって値段が異なっています。その料金表は、6GHz帯以下で需要が多い逼迫帯域、特に余裕がない3GHz帯以下の帯域、人工衛星などでしか使われておらず余裕のある6GHz帯以上の帯域に分け、無線装置が使う電波の帯域幅を踏まえて、1台(1送信機)あたりの額が決められます。そのほか、地域特性や出力なども考慮して、割増の利用額が決められています。

 ただし、国や独立行政法人が開設する無線局については電波利用料の対象外です。自治体などの消防無線や、水防・防災向けの無線局については電波利用料が減免されますし、ラジオ局のように、電波を使って公共的な利便性を提供するようなサービス、事業は減免されていることもあります。


電波利用料の8割は携帯電話関係から

2007年度の電波利用料歳入内訳。緑部分は携帯電話関連、赤部分は放送事業者関連

2007年度の電波利用料歳入内訳。緑部分は携帯電話関連、赤部分は放送事業者関連

こちらは歳出分の内訳

こちらは歳出分の内訳
 国内の携帯電話の電波利用料は、携帯電話事業者がまとめて納めています。その額は1台につき年額420円です。

 携帯電話の契約数は、約9,966万回線(2007年10月末)あり、2007年度分の電波利用料として納める額は400億円を超えます。これは全電波利用料の約6割になる額です。さらに携帯電話基地局も電波利用料が課せられており、総務省の資料によれば、基地局分の額は約150億円、全体の23.9%を占める額を納めています。つまり、端末分を合わせると電波利用料の8割以上は、携帯電話関係から納められたものとなっています。

 2007年度の電波利用料は、歳入が653億2,000万円となっていますが、アマチュア無線局は約0.3%、テレビ・ラジオなどの放送事業者割増分を含めて全体の5.8%(年額で約37億円)を納めています。

 テレビ局は、周波数帯域でいうと携帯電話の約1.4倍も利用するという大きな帯域を使っています。総務省が行なった意見募集、研究会では、放送波が非効率な使われ方をしているにもかかわらず、携帯電話の方が圧倒的に多額の利用料を支払っている状況が指摘されました。

 これに関しては、携帯電話事業者などから「不公平な負担だ」とする不満もあり、テレビ局側に応分の負担を求めた結果、今後電波法改正などに合わせてテレビ局などの負担をこれまで増やす方向となりましたが、それでもその負担の違いは歴然としています。

 徴収された電波利用料の利用用途ですが、2007年度の予算を見てみましょう。歳出額は653億2,000万円です。たとえば、電波監視事業は約76億円(11.6%)、周波数資源の拡大研究開発は約106億円(16.3%)という予算になっています。携帯電話関連では、エリア整備の支援事業に約30億円(5.2%)が計上されています。歳出のうち、最も多いのは全体の30.9%(約202億円)を占める特定周波数変更対策業務です。

 特定周波数変更対策業務とは、帯域を有効に活用するために、テレビ放送などで使われているチャンネルなどを変更するための作業などに使われています。たとえば2011年に地上アナログ放送が終了し、デジタルテレビ放送へ完全移行するとされていますが、デジタル放送開始によって、アナログテレビ放送が使っていた周波数帯を携帯電話など、別の用途で使うための下準備として、アナログテレビ放送のチャンネルを別のチャンネルなどを変更してきました。このアナログ周波数変更によって、テレビ受信ができなくなったエリアに向けて、ブースター整備などに費用がかかっているわけです。

 また携帯電話のエリア整備関連予算では、電波が届いてない地域に基地局を新設する場合が想定されています。携帯電話の交換局から新設基地局までの伝送路(光ファイバーなどの通信回線)を整備することになりますので、この伝送路費用10年分が補助されます。ただし基地局そのものに関しての補助はありません。



URL
  総務省 電波利用料制度 案内
  http://www.tele.soumu.go.jp/j/fees/
  総務省 報道資料(2007年7月発表 「電波利用料制度に関する研究会」報告書)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070726_6.html

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(大和 哲)
2007/11/20 12:37

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