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第41回:MIDP(Mobile Information Device Profile)とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


MIDPはJavaの「プロファイル」のひとつ

 MIDP(Mobile Information Device Profile)とは、携帯電話や携帯機器用に作られたJava2 MicroEditonのプロファイルのひとつです。

 プロファイルとは、正確には「(Javaでは)特定のカテゴリのデバイスに必要な一連の Java API の指定とJava2ME 構成の指定」ということにですが、簡単に言うと、「J2MEのそれぞれのカテゴリの機器用に作られた仕組みと制限」というような意味です。つまり、このMIDPは、Javaの中の仕組みと、どのようにすればその機能を使えるかについての決めごとの、携帯電話やPDA用のもの、ということになります。

 なぜ、このプロファイルのような複雑な仕組みが使われているかというと、それはやはりJava2 MEで使われる機械はそれぞれついている部品や機能が大きく違う、ということが大きな理由の1つでしょう。

 たとえば、携帯電話には数字ボタンと画面、それに着信音を鳴らすための音源がついていますが、PDAではボタンではなくスタイラスペンを画面にタップするようになっていたり、あるいは家電製品だと、いずれはJavaが搭載されるかもしれないテレビのリモコンなどでは音はならないかもしれません。冷蔵庫やコーヒーメーカーにはどんな機能が付くのか想像するのも難しいですね。

 そのため、(携帯電話などにも使われている)一番小さなJava環境である「Java 2 Micro Edition(J2ME)」では、J2MEには最低限の機能だけが決めて、各カテゴリの機械は、それぞれのカテゴリのJ2MEの機能にプラスして、プロファイルで決められた機能を使うことで、それぞれの機械の特性にあったプログラムを作れるようになっているのです。少ないメモリで多くの機種に対応するための工夫である、と言ってもいいでしょう。

 なお、携帯電話のJavaではMIDP、CLDC、KVMと言った用語がでてきますが、これらはそれぞれこのような関係になっています。

 携帯機器用Javaの最も基本的な機能(API)は「CLDC(Connected, Limited Device Configuration )」という仕様で決められています。「CLDC」という基本機能を決めたルールがあって、それを実際に実現しているのが、仮想計算機である「KVM」です。そして、MIDPはそれぞれのカテゴリの機器用に作られた仕組みと制限です。MIDPは「KVM以上の機能を持っている環境で使うことができる」ことになっていますので、KVMを使用していない、たとえばPCで使われているJ2SEなどでも、MIDP準拠のライブラリさえあれば、使うことが可能です。

 Javaの多くのプロファイルは、Sun Community Process というワーキンググループでその内容が策定されていて、「MIDP」もそうしてできたプロファイルのひとつです。


MIDPを使うメリット

 Webブラウザで使えるjavaのプログラムを「アプレット(Applet)」と呼ぶのと同様に、MIDPに対応した、ひとつひとつのJavaプログラムは「MIDlet」と呼ばれます。

 携帯電話、携帯機器用にはMIDPというプロファイルをが決められているわけですが、逆に言うと、携帯電話・携帯機器では多くの機械がこのMIDPに準拠することになるので、多くの機械で同じMIDletが使える、ということになるわけです。

 また、MIDPでカバーされているカテゴリは携帯電話以外にもPDAのPalmにはMIDPに準拠したJava2ME環境が提供されていますので、この、MIDletを作れば、携帯電話だけでなく、これらのPDAやPC上でも全く同じようにプログラムを動かすことができますし、また、あるいは、パソコンやSolarisが動くUNIXワークステーション用にも、このMIDPに対応したプログラムを動かすことができるエミュレーターが存在していますので、これらの上で動かすこともできます。

 MIDPの仕様自体は、下記サイトで登録さえすれば、誰でも資料を手に入れることができますし、同時にプログラムを作るためのツール類も手に入れることができます。



   Java2 Micro Edition CLDC MIDP 1.0
   http://java.sun.com/products/midp/



 ですから、MIDlet自体はJavaプログラムの作り方さえ知っている人ならば誰にでも作ることができる、ということになります。

 なお、同様にJavaが使える環境にはNTTドコモの503iシリーズがありますが、こちらはMIDP準拠ではなく、使われているライブラリは503i独自のものになっているので、MIDletは残念ながら使えません。


MIDP対応の機器たち

 MIDPは既にPDAのPalmなどいくつかの携帯機器などにも用意されていて、またこれから発売されるいくつかの携帯電話のサービスでも利用される予定です。

 6月に発売される予定のJ-フォンのJava端末はこのCLDC、MIDPがベースの仕様になっていて、これにJ-フォン独自の拡張機能「J-PHONE Specific Class Libraries(JSCL)」が追加されたものになっています。つまり、MIDletそのものにプラスして、J-フォン携帯電話独自の機能を使っているMIDletも使うことができるわけです。

 なお、J-フォンのJava端末は6月のサービス開始時では、J-フォンのオフィシャルコンテンツからのみダウンロードが可能で、一般のユーザーからの提供は2001年内に可能になる予定です。

 ちなみに、JSCLにはMIDPだけではできない和音メロディの再生機能や、端末情報の取得・制御機能、電話やメールの着信通知機能、3Dポリゴン処理機能や、2Dスプライト処理機能などが含まれています。これらは主に、携帯電話の持っている機能を十分に生かすための機能ですから、MIDPだけではできない、プログラミング(例えば、ゲームで画像の動きや効果音をよりスムーズで迫力あるものにする)が可能になるでしょう。

 ただし、JSCLの機能は標準であるMIDPにはない機能ですから、逆に、これらの機能を使ったMIDletは、他の携帯機器、たとえばauの携帯電話やPalmなどでは、使えなくなってしまいます。

 ちなみに、J-フォンのJava端末では全ての機種でJavaVMにアプリックス製のJBlendが利用される予定です。

また、この夏に導入が予定されているKDDIの携帯電話のJava仕様「KDDI Java」も、このMIDP」をベースに、カラオケコンテンツなどで利用されている「CMX(Compact Media Extension)」等のKDDI独自の拡張機能をサポートしたものとなる予定となっています。



(大和 哲)
2001/04/24 00:00

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