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第337回:MVNE とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「MVNE」は、Mobile Virtual Network Enablerの略で、MVNOに対する支援サービスを提供する会社・団体などを指す用語です。仮想移動体サービス提供者などとも呼ばれます。

 MVNEがサービスを提供する先である「MVNO」とは、自分自身ではネットワークインフラを持っていない通信事業者です。物理的な回線を持っている事業者(MNO)から、回線を使う権利を購入することで、通信事業を行ないます。


MVNEはMVNOを支援する

 MVNOや、MVNEがどのような事業を行なうのか、その内容は総務省が発行した「MVNOに係る電気通信事業法および電波法の適用関係に関するガイドライン」で定義されています。

 このガイドラインは、電波資源が独占的に利用されるのではなく、より多くの事業者が参入することで安価かつ多様なサービスの実現を目的として書かれています。つまり、今後の携帯電話業界の活性化には、MVNOとMVNEによる携帯電話事業への参入を促すことが不可欠と考えられているわけです。

 最新版である2007年2月改定のガイドラインによれば、MVNEは次のような業務を行なう業者とされています。

・MVNOの代理人として行なうMNOとの交渉や端末調達
 MVNOはMNOに対して、どのように回線接続するかなど折衝を行なう必要があります。また、日本の場合には携帯電話そのものがMNOから発売されていますから、これを調達したい場合なども折衝が必要になります。このような交渉をMVNOに代わって行なう業務が考えられています。

・MVNOの課金システムの構築・運用
 MNOからは、MVNOに対して「通話明細情報」などの情報が提供されますので、これを管理し、顧客に課金するといった業務が必要になります。これをMVNOに代わって行ないます。

・アプリケーションプラットフォーム提供
 現在の携帯電話は、通話だけでなく、たとえばメール機能やWeb閲覧機能も利用できます。このため、たとえばメールサーバーやWebシステム構築などの業務を行なうMVNEも必要になってくるでしょう。

・MNNOの顧客に対しての、ユーザーサポート業務の提供
 MNOとの折衝の業務にもからみますが、障害情報など利用者へのサポートを行なうために必要な基地局やネットワーク等の障害情報や通信サービスに関する、その他の障害情報をMNOから受け、エンドユーザーに対応することもMVNEの業務に含まれます。

・MVNOに対するコンサルティング業務
 MVNOの事業展開にとって何が必要なのかなどの診断、アドバイスをして、必要なシステムなどを導入します。

・MVNOに代わって、MNOと接続して、MVNOに卸電気通信役務を提供する
 自前の通信設備を利用し、MVNOとMNOの間にたって、MNOからMVNOへの回線卸業務を行なう事業者もMVNEの業務としてガイドラインでは想定されています。


 このような業務を一社、あるいは複数の企業がMVNOに対して提供するわけです。つまり、MVNEの業務内容は、課金システムなどのMNVOに対して自分が持っているノウハウをMNVOに対して提供し、またMNOとの間に立ってさまざまな通信関連の業務を行なう企業だと考えればいいでしょう。

 ただし、現在のガイドラインでは、MVNEはMVNOにとって重要ではあるものの、具体的な事業内容は、その支援先であるMVNOのビジネスモデルが確定していないため「当面のもの」とされており、今後の改定によって変更の可能性があることも示唆しています。


MNO、MVNO、MVNEの役割を示した図(総務省報道資料より引用)
MNO、MVNO、MVNEの役割を示した図(総務省報道資料より引用)

MVNOの参入により、業界活性化を促す

 上に挙げたように、「MVNOを助ける事業」としてMVNEがさまざまな事業を行なうことが考えられる理由としては、自前の回線が必要ないとはいえ、現在、MVNOとしての事業参入には障壁が非常に多く、参入が難しいと考えられていることが挙げられます。

 現在、携帯電話事業の中心となっているMNO、つまりNTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどはいずれも巨大企業で、携帯電話サービスを顧客に提供するために必要な機能をほぼ全て自前でまかなっています。しかし、これから携帯電話事業に参入しようとするMVNOにはこれらのノウハウはなく、また全てのノウハウを自前で用意しようとすると非常に大きな負担となってしまいます。これが参入の障害となっている面もあるのです。

 MVNEは、MNOとMVNOの間に立ち、課金制御、ユーザーサポート、アプリケーションプラットフォームやコンテンツの提供、システム運用管理、カスタマケアから移動体通信事業者との交渉までさまざまな役務の提供を行ないますが、このようなノウハウは、携帯電話以外の業界でも行なわれているような事業であるため、「それらの企業がサービス提供を行なえば、MVNO参画を考える企業も多くなるだろう」という考えのもとにこのような事業提供が認められたわけです。

 MVNOは、一企業、あるいは複数のMVNEのサポートを受けることで負担を少なくできます。また、顧客の獲得やブランディングなど特定の分野にリソースを集中して、携帯電話事業を進めることができるため、寡占状態となっているMNOに対抗できるようなMVNOが育っていくことで業界を活性化しようと考えられているわけです。



URL
  MVNOガイドラインの報道資料
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070213_1.html

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(大和 哲)
2007/09/04 12:12

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