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P904iは、320万画素のνMaicoviconカメラを搭載する
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「νMaicovicon(ニューマイコビコン)」は、松下電器産業の登録商標で、同社の開発した撮像素子(イメージセンサー)です。
NTTドコモのFOMA P904i、FOMA P903iX HIGH-SPEEDなどパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の携帯電話や、FOMA N702iDなど一部のNEC製携帯電話端末に採用されています。
特徴としては、CMOSイメージセンサーと同様に、低電圧かつ低消費電力であることが挙げられます。これは、携帯電話に搭載するカメラユニットとして、非常に大事な特性であると言えます。また、CMOSイメージセンサーよりも高感度、低ノイズであることが挙げられます。
「νMaicovicon」という名前は、量子力学で光の振動数を意味する「ν(ニュー)」と、「Matsushita Advanced Image COnverter for VIsion CONstruction」の略から来ていますが、京都で開発されたことから「舞妓」などにもかけたネーミングである、とされています。
■ 開口部の広い構造で感度がよく、反面、同時性は劣る
携帯電話内蔵のものも含めて、デジタルカメラのイメージセンサーユニットには、多く「CMOSセンサー」か「CCDセンサー」が組み込まれています。どちらも半導体で作られた撮像素子です。ちなみに、CMOSセンサーの「CMOS」とは「相補性金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductorの略)」のことです。
νMaicoviconは、MOS技術を使って作られる撮像素子半導体です。CMOSイメージセンサーなどと同様に、光を受けることで電力を通すか通さないかという性質が変わる「フォトダイオード」をLSI上に大量に配置し、その情報を、駆動回路を使って読み出す作りになっています。
νMaicoviconは、このフォトダイオードの配置と、駆動回路の改良によってその特徴を作り出しています。
νMaicoviconでは、画素内の信号読み出し回路の駆動方式の改良によって、CMOSイメージセンサーでは3本以上必要であった制御用の配線本数を2本に削減しています。これによってCCD並みの受光部面積率を確保し、高感度を実現しています。
また、開発元の松下電器産業では、ビデオカメラなどに使われるCCDイメージセンサーを長年開発製造していますが、ここで利用されている技術を利用して、埋め込みフォトダイオードを低電圧でも動作する専用プロセスを開発し、受光部奥に格納することで、低ノイズ化に成功、薄明かりの中でも鮮明な撮影を可能にしました。
携帯電話の場合、内蔵するイメージセンサーは非常に小さくなってしまいます。その分、光に対する感度はにぶくなりがちですが、「CMOSよりも高感度・低ノイズ」という点、CMOSと比較してνMaicoviconのほうが有利だと言えるでしょう。
一方、その駆動方式からνMaicoviconは、画面内の同時性、つまり動画撮影などに関してはCCDに劣るとされています。
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(大和 哲)
2007/07/04 12:06
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