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第26回:メモリースティックとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


メモリースティックとは

NTTドコモ SO502iWM(ソニー製)。ATRAC3形式の音楽をMGメモリースティックに記録/再生可能。オーディオプレーヤー/エンコーダー機能を備えたハイブリッド携帯電話だ。64MBのMGメモリースティックが付属する
 最新の携帯電話やPHS端末で、メモリカードを搭載し、そこに音楽データを保存しておいて、電話機から音楽を聴くことのできる製品がいくつか販売されています。NTTドコモのSO502iWMもそのひとつですが、この機種では音楽データを入れるメモリカードに「MGメモリースティック」を利用しています。このMGメモリースティックは「メモリースティック」というメモリカードの1バリエーションです。

 このメモリースティックは、1997年にソニーによって開発された、フラッシュメモリを使った小型のメモリカードです。ソニーから発売されている多くのデジタル家電製品、たとえばビデオカメラのハンディカムや、デジタル音楽プレーヤーのメモリースティックウォークマン、パソコンではVAIOシリーズなどに、このメモリースティックを挿入するためのスロットが搭載されています。

 また、他社製品としては、シャープのポータブルメモリープレーヤー「イーミューゼ」などもMGメモリースティックを使用します。

 これらの機器では、たとえば、ハンディカム・PC110では撮影した動画をMPEG1ファイルとしてメモリースティックを使ってPCへデータを運んだり、逆に「入学式」「えんそく」などのメモリースティックに記録しておいたタイトルをビデオカメラのメモリーミックス機能使ってビデオにオーバーラップさせたり、とデータを運用することができます。

 家電関連の商品であることもあって、このメモリースティックは、多くの電気店で販売しており、入手しやすいメモリカードのひとつでもあります。

 メモリースティックの形状は21.5×50×2.8mm(縦×横×厚)の薄い長方形で、大きさや形は縦長のチューインガムに近い感じです。また、裏面に10ピンの端子と誤消去防止用のスイッチがあり、不用意にデータを消してしまわないような工夫がされています。

 また、このメモリースティックのバリエーションとして、2001年に、メモリースティックと同等の機能を持っていて、小型のメディア部と、カートリッジ部に分割できる「メモリースティックDuo」が発売されることになっています。これは、メモリースティックを、着脱可能な小型のメディア部(20×31×1.6mm)とカートリッジ部に分けたもので、とても小さなサイズのメモリカードです。携帯電話、PDAなどの小型端末向けでの利用が計画されています。


メモリースティックの特徴

 メモリースティックは、縦に長いカードで、コネクタ部分も小さく端子の数も少ないメディアです。

 このメモリースティックもカードの中にフラッシュメモリ、コントローラなどを組みこんだメモリカードなのですが、CFカードなどと違って、メモリースティックを使う機器とスティック本体との間はシリアルインターフェイスが使われています。シリアルインターフェイスでは、データを並列に同時にではなく、順番に並べて1つづつ転送していくので、端子の数が少なくて済むのです。

 シリアルインターフェイスでは一度に複数データを送ることができないので、スピードが遅いと思われがちですが、メモリースティックの転送速度は20Mbpsを確保しており、実際にメモリ書き込み/読み込みには最大値で1.5MB/秒、読み出し2.45MB/秒までのスピードが可能であるとされています。フラッシュメモリの書きこみなどには十分なスピードを持っている、といっていいでしょう。

 また、メモリースティックで使われているシリアルデータ転送方式では、一度、データをデータを整列して送ることになるので、送り方さえ決めておけばいろいろな機器をつなぐ外部インターフェイスにするのも容易です。

 実際に、メモリースティックでは、メモリカード以外の用途にも使えるように、インターフェイスの拡張フォーマットが策定されています。実際に、メモリースティックスロット用のLANインターフェイスやモデム、CCDカメラやGPSユニットなどが、展示会で既に参考出品されていたりもします。いずれはこれらの製品も世に出ることになるでしょう。


メモリースティックでは、シリアルインターフェイスでデータをやりとりしている。端子の数が10ピンと少ない分、故障しにくく、小さいメモリカードが作れる。また、スティック内部にコントローラをもっているので、将来、大容量のメモリースティックが出たり、周辺機器が登場しても柔軟に対応できるだろう

■ データの格納方法も決められている、メモリースティック

MS拡張モジュール
ソニーがCOMDEX/Fall 2000に出展した、メモリースティック拡張モジュール。左からGPS・カメラ・指紋照合モジュール。指紋照合モジュールはわずか4グラムの軽さ
MS Duoデジカメ
またソニーは、小型の「メモリースティックDuo」を使ったデジカメを開発したと7月に発表。33万画素のCMOSを内蔵。VGAサイズの画像が撮影可能で、重量はわずか26グラム。製品化は未定

 メモリースティックでは、物理的や電気的な仕様が決められているだけではなく、アプリケーションデータ、つまり、静止画や音、電話帳などのデータをどのようなフォーマットでどのように配置するのかも決められています。これは、メモリースティック対応製品がソニー以外からあまり発売されていない現在ではあまりメリットはありませんが、将来メモリースティックスロットを装備したデジタルカメラなどがいろいろな会社から発売されたとしても、同じメモリースティックを使いまわしすることが可能となることを意味しています。

 メモリースティックで、ファイルを格納するための仕組みであるこのファイルシステム自体は、Windowsなどで使用しているFAT(File Allocation Table)方式を利用しています。

 たとえば、デジタルカメラのデータであれば、ディスクの先頭に「MEMSTIC.ind」という情報ファイル、その下には(デジタルカメラの標準規格である)DCFに準拠したデータの並びで、順番にDSC000001.jpg、DSC00002.jpg……という名前でJPEGファイルが作られます。

 あるいはメモリースティックウォークマンで使われるような音楽データの場合、メモリースティックのHifiという名前のディレクトリに、再生管理ファイルと、ATRAC3で圧縮され、MagicGateで保護されたデータが記録されます。

 ちなみに、このATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding 3)という方式は、MD用の音楽データの圧縮技術を発展させたもので、44.1kHzでサンプリングされたデータを圧縮して、64MBのメモリースティックで1時間以上の高品質録音をすることが可能です。

 これから先、このメモリースティック用のフォーマットとしては、カーナビゲーションや携帯電話の位置情報に対応した位置情報フォーマット、携帯電話の着メロに使われるCompactMIDI・MIDIフォーマットなどが策定される予定になっています。


MGメモリースティックとは

MGメモリースティック。ソニーの著作権保護技術MagicGateに対応する
 現在、販売されているメモリースティックは、容量4/8/16/32/64MBの青色の汎用メモリースティックのほか、白い32MB/64MBの「MGメモリースティック」があります。最初に触れた、So502iWMで音楽データを収録するために使われているのがこのMGメモリースティック」です。

 このMGメモリースティックは、「MagicGate」という仕組みによって著作権保護された音楽データの記録が可能になっています。つまり、デジタル携帯プレーヤー機能を使うための仕組みを備えたメモリースティックというわけです。

 「MagicGate」は1999年にソニーによって開発・提案された、SDMI(Secure Digital Music Initiative)の規格に準拠した著作権保護機能です。

 この保護機能のついたメモリースティック、それにMGメモリースティックに対応した機器には、著作権保護対応であることの認証と暗号化を行なうための専用チップを組み込まれ、それぞれが個別の「キー」を持っています。そして、データをメモリースティックから機械がデータを入れたり出したりする際に、機器とメモリースティックがお互いに違法な機器でないことを認証し合います。つまり、ここでキーを持っていないMagicGate機能のないメモリースティックではデータの出し入れができませんし、また万一できても、データにかけられた、キーを元にした暗号を解くことができないのです。さらに、出し入れする音楽データと同時に再生回数、再生できる期限、コピーできる回数の制限などのセキュア情報も送ることで、音楽データが不正に使われないような仕組みを作っています。

 ちなみに、PC用でMGメモリースティックを利用するための仕組みとして、このMG対応機能を行なうためのモジュールとソフトウエアを使った「OpenMG」もあります。これを利用すれば、PCからMGメモリースティックにセキュリティ情報の付いた音楽データを記録することができるわけです。

 メモリースティックウォークマンなどでは、PCからMP3データを送ってウォークマンで再生させることはできませんが、このOpenMG対応の機器でMagicGate機能を使ったATRAC3データにして転送し、再生させることはできるようになっています。




URL
  メモリースティック開発者のためのホームページ
  http://www.memorystick.org/j-index.html
  メモリースティックとは
  http://www.memorystick.org/msinfo/jp/ms/ms.html


(大和 哲)
2000/12/26 00:00

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