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第19回:液晶ディスプレイとは(前編)
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


液晶ディスプレイとは

 マイクロコンピュータが入っていて、画像のデジタルデータを表示する機械は世の中には多くあります。たとえば、パソコンやワープロ、携帯電話もそのひとつですし、電子レンジの表示部分や、最近はカーオーディオでも綺麗な画像が表示されますね。このようなデジタル画像を表示するにはマイクロコンピュータやデジタルデータを保管するメモリのほかに「表示するための装置」、つまりディスプレイが必要になります。

 このディスプレイにはCRT(陰極線管・ブラウン管)やプラズマディスプレイ、EL(エレクトロルミナセンス)パネルなどいろいろな種類の装置があるのですが、その中でも携帯電話やPDAなどの情報機器に非常に多く使われているのが「液晶」を利用したディスプレイです。

 この液晶ディスプレイはたとえば、表現できる色によって「白黒液晶」、「カラー液晶」、また内部がどのような構造になっているのかによって「STN液晶」「DSTN液晶」「TFT液晶」また、どこからの光を利用するのかによって「透過型液晶」「反射型液晶」「半透過・半反射型液晶」などと区別することができます。機器のカタログにはこれらをまとめて、たとえば表示装置は「半透過型STNカラー液晶」であるとか、あるいは「透過型TFTカラー液晶」である、などいう具合に掲載されていることが多いようです(携帯電話の場合は単に「カラー液晶」としか表示されていないことも多いのですが)。


そもそも液晶ってなに?

 液晶ディスプレイとはその名の通り、「液晶」の光に対する性質を使った画像出力装置です。

 液晶とは、物質が液体と固体の中間の状態にあることを言います。小学校の理科で習ったことがあるかもしれませんが、ものの状態は固体、液体、気体とあります。液体は「水などのように、体積は変わらないが定まった形のないもの」、固体は「定まった形と体積を持っていて変化しないもの」ですね。液晶とは、物質が液体と固体の中間にある状態にあることを言って、世の中には常温でそのような状態になる物質がいくつか存在します(たとえば、イカ墨などがそうです)。

 この液晶ディスプレイに使われる液晶分子には不思議な性質があります。まず、ひとつは「電圧をかけると液晶は電極と電極の間に沿って並ぶ」ということ。もうひとつは、「光は液晶の向きに沿って進む」ということです。


普段は光をねじって通す偏光板の間の液晶に、電流を流してねじれなくする。すると通る光もねじれなくなり、光が通らない=黒くなる
 ここで簡単に透過型液晶ディスプレイがどのように画面に白や黒や色を表示しているのか、その仕組みを説明しましょう。ここに「偏向フィルター」というものを2枚用意します。これは一定方向の光だけを通すフィルターです。一般に光はいろいろな方向の光が混じっていますので、たとえば電球の光などを当てるとそのうちのある方向の光だけが通り抜けます。この偏向フィルターを2枚、向きを変えて並べてしまうとそのままでは光は通ることはできません。

 そこで液晶ディスプレイではこの2枚の向きの違う偏光板の間にねじって光が通るように液晶を配置します。こうすると普段は光が通って見える、つまり、この板に白い光を通すと白く見えるわけです。

 この板に電気を流します。すると液晶は、電界に沿って並んでしまうので光はねじれることができなくなってしまうので偏光版の向こうに届くことが出来ません。つまり黒く見えるわけですね。

 このようにして、白く、あるいは黒くなる部分を細かくいくつも配置します。これが携帯電話をはじめとして様様な機器に使われている液晶ディスプレイになるわけです。

 なお、白などの色の代わりに各画素(色が変わるひとつひとつの部分)にカラーフィルターという一定の色しか出なくなるようなフィルターをつけるなどして光の3原色を出すようにしてカラー画像を出すことが出来るようにしたのがカラー液晶です。白黒液晶と比較して単純に考えて3倍の画素を作らなければなりませんので、その分作るのも難しく、価格も高くなるわけですね。


透過型液晶/反射型液晶

 さて、上で「光の通し方で画像の見え方が」と書いたように、液晶ディスプレイとは、それ自身で光るものではありません。そのために、画像を人に見せるにはどこかから光を取り入れなくてはなりません。

 透過型液晶ディスプレイでは、その光を人の見る側からみて逆側に光源を持っていて、ここから光を当てることで画像を見えるようにします。ちなみに、この光源は液晶の裏側にあることから「バックライト」と呼ばれることもあります。

 反射型液晶ディスプレイでは、光を人の見る側から取り入れます。そして、液晶の裏にはバックライトの代わりに光を跳ね返す「反射板」がありこの光で画像を人に見せているのです。

 透過型液晶ディスプレイでは、画像を見えるようにするにはバックライトを光らせないといけないのに対して、反射型液晶では光は外から取りこみますからバックライトと同様に横、前から光を当てる「サイドライト」や「フロントライト」を利用することもできますが、たとえば、日の光や家庭の照明などの光を利用することもできます。つまり、必ずしもディスプレイ自体に光源がついていなければならないわけではないので、これを削ってしまえば装置の重量を軽くできますし、また、バックライト用を使わなくて済む分電源も節約できます。つまり、携帯電話やモバイル機器のように重さや電池のもちが気になる装置にはとても有利な仕組みなのです。

 ただし、透過型液晶には、光が装置の前面から入って、反射されて、戻ってくる、というように光が通る部分が長くなりますので、光の量が不足したりして、透過型液晶と比較すると画像が見えにくくなることもある、という弱点もあります。


透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイの仕組み

 なお、液晶ディスプレイにはこれら透過型、反射型の他に「半透過・半反射型ディスプレイ」というものもあります。これは簡単にいうと反射型液晶の反射板をマジックミラーのように、背後からの光は通し、手前からの光は反射するようにしたものです。これですと、バックライト自体は必要になるものの、周りに光があるときにはその光を表示に使うことができますから、電池の節約したい場合には使うことできます。性質的にも性能的にも透過型と反射型の間にあるといっていいでしょう。やはり、この装置も携帯電話などによく使われています。




URL
  シャープの液晶ライブラリー
  http://www.sharp.co.jp/sc/excite/liquidcrystal/index.html


(大和 哲)
2000/11/07 00:00

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