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第18回:MP3とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


MP3データを使って音楽などが聞ける、MP3プレーヤー

MP3プレーヤーを内蔵した、三洋電機のfeel H"対応端末「leje(RZ-J91)」
 ケータイWatchでもときおり「MP3プレーヤー」のニュースなどが掲載されています。また、feel H"の三洋電機製端末は、MP3プレーヤーが内蔵のタイプとオプションのタイプが用意されるなど、PHSが音楽配信端末としても注目されています。

 MP3プレーヤーとは、簡単に言うと、「MP3形式」と呼ばれる音声(つまり音楽などの)データを再生する機械やソフトウェアのことです。携帯できて音楽を再生できる機器というと、たとえば、ウォークマンやディスクマンに代表される携帯型カセットテープレコーダー・コンパクトディスク(CD)プレーヤーがありますが、あの中に入っているカセットテープやCDを動かしたり、内容を読み出す機械の代わりに、MP3プレーヤーでは「MP3形式」というフォーマットのデータを格納するメモリ、それとマイクロコンピュータやDSPといったLSI(大規模集積回路)、そしてこれらで動くMP3データを音に変換するソフトウェアが入っています。このメモリに記録されたデータを、マイクロコンピュータがプログラムにしたがって順番に音を作り出していくとそれが音楽になる、というわけですね。

 MP3プレーヤーでは、CDなどと違って物理的に回転したり、ディスクのデータを見るピックアップ部分が動いたりというということがないので、基本的に振動による音飛びなどもありません。大きさ的にも、CDなどでは物理的にモーターの大きさやディスクの大きさ以下に小さくすることはできませんが、MP3プレーヤーではデータに形はありませんので、コンピュータの半導体さえ小さくできれば、いくらでも小さくすることができます。集積化すれば、将来的には指の上に乗る部品ひとつでプレーヤーの機能をすべて搭載した部品を作る、などということも不可能ではないでしょう。

 またMP3には「データを簡単に送ることができる」というメリットもあります。CDに記録されている音楽も実は、あの銀色のディスクの上に、0と1で表わされたデータが記録されています。その意味ではデジタルデータであるものの、基本的には音楽CDはデータだけを運搬することは考えられていませんので、CDに収録された音楽を聞くにはCDのディスク自体を聞きたい場所に運搬するしかありません。

 MP3データは、それをそのままPCなどでも「MP3形式ファイル」として扱うことが考慮されていて、簡単にインターネットなどで送ったり受けたりすることができます。これを「可搬性」といいますが、可搬性が高いのは、MP3データがCDなどの既存メディアに対して優れている点のひとつです。


MP3データはサイズが小さく、高音質

 MP3は正式には「MPEG-1/Audio Layer3(ISO/IEC標準1172-3)」という規格です。ISO(国際標準化機構)のワーキンググループであるMPEG(Motion Picture Experts Group・動画像の専門家団体)が制定した音声情報圧縮の国際的な規格で、全世界に通用する共通規格です。この方式を使って圧縮して作られたデジタル音声データがMP3フォーマットの音声データ、ということになります。

 この方式のメリットはなんといっても、デジタル化した音声が音楽として鑑賞に堪える程度のクオリティを保ちながら、データの大きさを非常に小さくできることでしょう。音をそのまま単純に「サンプリング」という方法を使ってデジタル化するのに比べて、データの量をおよそ1/10~1/12にまで小さくすることができます。つまりMP3なら、音楽データの10倍から12倍の長さの音楽を収録できるわけです。


 MP3をはじめとするMPEG-1オーディオではデータの大きさを小さくするために、データ圧縮にさまざまな工夫がなされています。中でも、データ圧縮のために使われている「心理聴覚分析」という仕組みは大きな効果を持っています。これは、人間の耳には同じように音量を出しても聞こえやすい音、聞こえにくい音が存在する、という特性があることに注目した音声情報の削減方法です。

 たとえば、人間の耳には同じ音量で音を出しても、低い音は聞こえにくく、3~4KHzくらいの高音になるとかなり敏感に聞こえる、という性質があります。たとえば、同じボリュームでも成人男性の声と子供の声では耳への響き方が全然違うような気がしますね。

 あるいは、「同時に音が聞こえると小さいほうがかき消されて聞こえなくなる(マスキング効果)」という性質もあります。たとえば、静かな部屋に1人でいると、時計の秒針の音がチッチッ、と聞こえてくることがあるでしょう。ところが、同じ時計を街中に持っていっても、その音は雑踏の中でかき消されて聞こえなくなってしまうはずです。

 MP3では、このように音声データが人間の耳には音がどのように聞こえるかを考慮して、人間が聞いて気になるような音はしっかり記録し、そうでないような音は少ないデータで似たような音が出るように記録したり、あるいはまず聞こえない、という場合はデータから省いてしまうことでデータを小さくしているのです。

 ですから、人間の耳にはCDオーディオに近いくらいの音質に聞こえるMP3ですが、単純にサンプリングした音データと完全に同じ音ではありません。画像フォーマットでも、JPEG形式などは完全な復元はできない「非可逆圧縮」でしたが、このMP3も「非可逆圧縮」のひとつというわけです。さきほどの雑踏の中の時計の音は、他のメディアでは他の音を消していけば時計の音だけを聞くことができるようになるかもしれませんが、MP3で圧縮したデータだとこの音がデータの中に存在しない、などということがあるわけですね。

 ちなみに、このMP3は「MPEG-1のオーディオデータ圧縮方法の3番目の方法」なのですが、MPEGの制定した動画や音声の情報圧縮規格にはMPEG-1の他にもMPEG-2、MPEG-4、MPEG-7があります。そのうち、MPEG-2にもAAC(Advanced Audio Coding)という、MP3と同じように音声圧縮方法としてポピュラーになりつつある規格があります。こちらは、同程度の音質であれば、MP3よりさらにデータを小さくすることも可能といいます(その分、エンコーディングやでコーディングにはMP3より複雑な計算が必要になるわけですが)。


好きな音楽のMP3データを手に入れるには

 好きな音楽のMP3データを手に入れるには、いろいろな方法があります。音楽データからMP3形式のデータを作る最も簡単な方法は、市販されている(あるいは配布されている)パソコン用のMP3エンコードソフトを手に入れて、パソコン上でMP3データを作る方法でしょう。

たとえば、有名なオンラインソフトのMP3エンコーダに「午後のこ~だ」がありますが、これはWAV形式のデータをMP3形式に変換するソフトウェアです。これを使って、自分で買ったCDに収録されている音楽を自分の携帯用MP3プレーヤーで聞くのであれば、まずCDからWAVファイルを作り出す、いわゆる「リッパー」というソフトでWAVファイルを作ります。それからこの「午後のこ~だ」でMP3形式ファイルを作って、MP3プレーヤーに転送することになります。

また、市販のソフトでは音楽CDからダイレクトにMP3を作ることができるものもあります。

ほかに、必ずしも聴きたい音楽データがあるとは限りませんが、MP3形式のデータを配信しているようなサイトから入手する方法もあります。たとえば、日本のアーティストの曲ですと、mp3.music.co.jpのように、有料でMP3データ形式の音楽配信サービスを行なっているサイトがあります。ただし、データで音楽を配信することが一般的でないためか、あるいはアーティストや版権を持っている会社が配信を許可しないためなのか、配信されている音楽はかなり少ないのが現状です。




(大和 哲)
2000/10/31 00:00

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