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第258回:デジタル手ぶれ補正 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


静止画・動画撮影で手ぶれ補正機能を備えた「N902i」
 「手ぶれ補正」は、最近のデジタルカメラで、急速に搭載されている機能です。そもそも、「手ぶれ」とは、写真を撮影する際に、カメラを持つ手が揺れるために撮影した画像がぶれてしまう現象のことです。

 撮影するためには、一定時間、イメージセンサーが光を感じとる必要があります。このため、夕方や夜間、室内など、光量の少ない状況・環境では、手ぶれが起こりやすくなります。手ぶれによる画像の乱れを防ぐ機能が「手ぶれ補正機能」というわけです。

 携帯電話でも、いくつかの機種が手振れ補正機能に対応しています。静止画撮影機能では、昨年発売された、NTTドコモのFOMA端末「N902i」が世界で初めてこの機能を搭載しました。動画撮影では、「SH901iS」などが手ぶれ補正機能を搭載しています。

 静止画撮影の場合、デジタルカメラならば三脚を使うことで手ぶれを防ぐことができます。しかし、携帯電話の場合、そのような撮影はできませんので、光量が少ない状況では手ぶれを避けることは難しい問題でした。

 しかし、「N902i」の手ぶれ補正機能を使って撮影すると、手で持ったまま、レストランなどの光量が限られた暗い場所でも、撮影画像がぶれることなく静止画を撮影することができ、思った通りの絵作りをすることができます。

 携帯電話のデジタルカメラ機能を使う人にとって、手ぶれ補正機能の搭載は、待ち望んでいた機能なのではないでしょうか。


光学手ぶれ補正とデジタル手ぶれ補正の違い

 デジタルカメラの手ぶれ補正の仕組みとしては、現在大きく分けて2つの方法が使われています。1つは、光学手ぶれ補正と呼ばれる仕組み、もう1つはデジタル手ぶれ補正と呼ばれる仕組みです。携帯電話の手振れ補正は、いずれもデジタル手ぶれ補正を採用しています。

 光学手ぶれ補正とは、レンズやイメージセンサー、シャッタースピードや、感度を調節することで画像のぶれを防ぎます。たとえば、デジタルカメラが手ぶれで揺れているときには、カメラにぶれによる加速度がかかります。この加速度を加速度センサー(ジャイロ)で感知し、ぶれを打ち消す程度にレンズやセンサーを動かすことで撮影時のずれを補正します。

 この仕組みでは、物理的な動きが発生しますので、デジタルカメラ搭載のものではかなり小型化されているとはいえ、ある程度筐体の大きさが必要になり、動かすためにモーターの電力なども必要となります。

 一方、デジタル手ぶれ補正とは、撮影した画像のデータを処理することによって、擬似的に手ぶれがなかった場合の画像を作り出す方法です。撮影できた画像のデータから、移動量や特徴を見つけ出し、本来写るはずだった画像を作り出します。

 手ぶれは、一般的に人間の手の揺れによって起こるので、「揺れの周波数が低い場合は、揺れが大きい」という特徴があります。そこで、揺れ周波数と振幅量の相関関数を作り出し、1枚の画像中の色や明度などから移動情報を算定することで、画像の修復を行なうというやり方があります。

 あるいは、1枚の画像撮影に、実際には複数枚の写真データを記録して合成することで、手ぶれ補正をする方法などもあります。

 N902iでは採用されているデジタル手ぶれ補正では、一度の撮影で4枚の写真を一定間隔で撮影し、1つ1つの画像から特徴的な点を見つけ出して、そこを基準に重ね合わせることで、ぶれずに撮影できた画像を作り出しています。

 この方法は、デジタルカメラや、デジタルビデオカメラなどでも使われている場合があります。


メーカーごとに、補正後写真の出来に差があることも

 デジタル補正の特徴の1つは、まず、特別なハードウェアが必要ないことです。全てデジタルカメラ機能で使われるメモリと画像処理プロセッサ(コンピュータ)の演算によって画像を作り出すので、理論上は追加のハードウェアは必要ありません。ただし、計算量が膨大になるので、従来の携帯電話に搭載されているマイクロコンピュータやDSP(デジタルシグナルプロセッサ)では処理に時間がかかってしまうこともあり、スムーズな撮影ができるようにするには演算プロセッサを追加搭載しなければならない場合もあるでしょう。

 また、もう1つの特徴として、手ぶれしていない画像も補整できる場合があるということです。画像のぶれとしては、手ぶれだけでなく、撮影対象が動いたために発生する「被写体ぶれ」と呼ばれる現象もあります。ぶれ補正のアルゴリズムによっては、被写体ぶれの対象から特徴的な部分を見つけ出して、ぶれを補正できる場合がある、というわけです。

 逆に、静止している画像からも特徴量を見つけ出して、1つ1つの物のエッジをはっきりさせる処理なので、輪郭抽出処理をフォトレタッチソフトで行なったような画像になる場合もあり得ます。

 同じ「補正機能」といっても、どのようなアルゴリズム、どのようなパラメータを採用するかによって画像の補整のされ方は変わってきます。特に静止画では、メーカーや製品によって補正後にどのような絵になるかの差が、人間の目にもわかりやすくなります。今後、携帯電話を買うとき、デジタル補正機能のついた機種で迷ったら、実際に撮影してみて、気に入る画像が撮影できた機種を選ぶと良いかもしれません。



URL
  N902i カメラ機能案内(NEC)
  http://www.n-keitai.com/n902i/cmr.html

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(大和 哲)
2006/01/17 12:09

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