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第221回:iBurst とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


24QAMで下り最大約1Mbpsのスループット

iBurstの基地局
 iBurstの特長は、データ通信にフォーカスした技術であること、高速なワイヤレスデータ通信が可能であること、効率よく電波を利用できることなどが挙げられます。

 通信方式としては、1チャンネルを時分割で8キャリアとして利用するTDMA/TDD方式となり、5MHzの周波数帯域で、通信速度は1基地局辺り24Mbpsのトータルスループット、1端末あたり下り最大約1Mbpsでの通信が可能です。

 「iBurst」の高速な通信に最も貢献しているのは、その変調方式です。変調とは、電波に情報を載せるための方法です。変調方式によって、電波に情報を一度に何ビットの情報を表現させることができるかが変わります。ただし、多くの情報を表現させればさせるほどノイズなどに弱くなってしまいます。

 iBurstでは「リンク・アダプテーション」と呼ばれる適応変調を利用しています。適応変調とは、複数の符号化変調方式を利用できるようにしておき、電波状況によって最適な方式を選択することです。

 電波の品質が良い時には、高速のデータレートを維持するため高速の変調方式を、電波の品質が悪い時には通信回線の切断を避けるために低速の変調方式を適用します。iBurstの場合、上り下りで別の方式の変調方式を利用でき、上りが8段階、下りが9段階で変更ができるようになっています。

 iBurstでは最も電波状況の良いときに、下りの通信で「24QAM」と呼ばれる1シンボルに4ビットの情報を載せられる方式を、上りの通信で「16QAM」と呼ばれる1シンボルに3.5ビットの情報を乗せられる方式を利用します。これで下り最大1,061kbps(約1Mbps)、上り最大346kbpsのスループットとなります。


アダプティブアレイアンテナ

 変調方式により通信速度を向上したiBurstでは、通信速度を落としてしまう要因を防ぐための工夫もしています。それに大きく貢献しているのが、iBurstの基地局で利用されているアダプティブアレイアンテナです。

 アダプティブアレイアンテナは、ある方向を指定して電波を送受信する、あるいはしないというような指向性パターンを操作できるアンテナで、PHSなどにも使われている技術です。

 「指向性」とは、電波や音がどの方向に向かって放射されるかということです。たとえば、指向性アンテナはある一定方向からだけ電波を受け、指向性マイクはある方向からだけ音を受けるといった機器です。指向性がないことを「無指向性」といいます。

 シンボルレートの高い、つまり一度に大量のデータを送ることができる変調方式を利用したときに問題になるのは、信号が弱かった場合に、エラーが発生しやすくなってしまうということです。

 iBurstでは、基地局にアダプティブアレイアンテナを使うことによって、端末がより大きな信号を受信できるように、端末に送る信号を集中させることができます。これによって、シンボルレートの高い変調方式でも、エラーの少ない通信を可能にします。

 また、iBurstでは、1基地局に端末が多く接続してしまうと通信速度は落ちてしまうという問題があります。これを解決するためにiBurstでは「SDMA」を採用しています。これにも、やはりアダプティブアレイアンテナが貢献しています。

 SDMA技術は、空間多重技術とも呼ばれ、周波数を同時に使用する技術です。iBurstでは同時に3つの端末が同じ周波数を使用できるのですが、基地局は、3つの端末との送受信を行なっている場合、それぞれが干渉するのを避けるために、各基地局アンテナと端末間で位相と振幅を調整します。端末Aに対しては、端末B・端末Cに対する信号出力が到達しないように位相と振幅を調整します。これにより、周波数の利用効率が高まり、1基地局あたりのキャパシティを増すことができるわけです。

 これらの工夫によって、iBurstは、モバイル環境でも、ブロードバンドといえるだけの速度のインターネット接続を可能にしているのです。



URL
  京セラ iBusrt案内ページ
  http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/office/iburst/

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(大和 哲)
2005/04/13 11:16

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