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第170回:ソフトウェア更新 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 ソフトウェア更新サービスは、携帯電話自身が通信して新しいソフトを読み込み、内蔵されているソフトウェアやファームウェアを書き換えるというサービスです。

 先日、F900iのファームウェアに不具合が明らかとなり、「携帯電話の電源を入れた後、待受画面が表示される前に携帯電話を折りたたんだ場合などに、メールの自動受信ができなくなること」が確認されました。

 現在、これに対応した新しいファームウェアが提供されており、ソフトウェア更新サービスをiモード携帯電話で実行することで、この不具合を解消できるようになっています。このサービスの利用に関しては、パケット通信料は請求されません。

 以前は、このような携帯電話の不具合があった場合、ショップに持ち込んで書き換えてもらう必要がありましたが、この方法を利用することで、わざわざショップまで出向かずに不具合を解消できるようになりました。なお、このサービスを利用したくない場合は、ドコモの故障取扱窓口に携帯電話を持ち込むことで更新することもできます。

 この機能は、米DoOnGo Technologies社のOTA(Over-The-Air)方式のソフト供給技術「DeltaRewrite」をベースにしており、FOMA 900iシリーズに搭載されているほか、PDC方式のN252i、SH252i、P505iSなどでも利用されています。世界的には、この携帯電話のソフトウェア更新技術はDoOnGoのほか、ノキアやモトローラが出資しているBitfoneのものが有名です。


ニーズと携帯の機能強化がもたらした新サービス

F900iで「ソフトウェア更新」を実行した際の画面

こちらは通話品質低下を防止するために、「ソフトウェア更新」を行なったP505iSの画面
 このソフトウェア更新サービスを利用するには、携帯電話の「ソフトウェア更新メニュー」を利用して通信を行ないます。

 携帯電話がサーバーのデータを確認して、ソフトウェアを更新する必要があるかどうかを確認します。更新が必要であった場合には、そのまま通信して新しいソフトウェアを受信します。

 もし、サーバーが混み合っていて通信にしにくい状況の場合は、当日の2時間後から10日目までの間で更新を「予約」することもできるようになっています。予約をしておくと、携帯電話がそのその時間が来ると、自動的にサーバーとの通信を行ない、ソフトウェアを更新することができます。

 このようなサービスが登場した理由として、1つには携帯電話に搭載されるソフトウェアがどんどん複雑化していること、もう1つには携帯電話の通信が高度化してこのような利用が可能になったことが挙げられるでしょう。

 ソフトウェアの不具合は、たとえば今回のF900iのように機能が使えなくなるものや、携帯電話のデータが読み書きできなかったり破損したりするもの、あるいはセキュリティホールといった形で表面化します。

 しかし、元々ソフトウェアは「バグのないソフトは存在しない」と言われるくらい、完全で穴のないものを作るのは難しいとされています。

 まして、現在の携帯電話は、限られた開発期間で、次々と新機能を追加していくため、搭載されるソフトウェアも非常に複雑なものとなり、それだけ不具合の原因となるバグを内在させてしまう可能性も大きくなっている、というのが現状です。

 だからといって、新しい機種ほどショップに行ってソフトウェアを書き換えてもらう回数が頻繁になる、というのは許されません。

 もちろん携帯電話のソフトウェアを、自動的に書き換えるという仕組みもそれはそれで問題を伴います。たとえばセキュリティの問題です。

 また、簡単に、新しいソフトウェアを携帯電話に送るサーバーに、他のサーバーが成りすますことができてしまうと、悪意の第三者に都合のよいファームウェアを携帯電話に入れられてしまうかもしれません。また、逆に事業者にしてみるとファームウェアを通信中に傍受されると、悪意の第三者にファームウェアの内容を覗かれてしまうという問題もあるでしょう。

 この900iのソフトウェア更新の場合は、これらのセキュリティ対策としてSSLを利用することで第三者の悪用を防いでいます。

 ソフトウェア、ハードウェアの性能向上もこのようなサービスの登場に寄与しているのは言うまでもありません。FOMAでは最大で384kbpsのデータ通信が可能になり、これまでのムーバ(PDC方式)の28.8kbpsから大きく進歩しています。パソコンのソフトウェア更新(たとえばWindows Update)のように書き換えるソフトウェアを丸々通信で送るのではなく、効率よく新しいソフトと古いソフトの差のデータだけ送って通信データを圧縮するなどの工夫がされています。

 このおかげで作業時間も短縮され、たとえば今回のFOMA F900iのソフトウェア更新の場合、8分ほどの作業時間でソフトウェアの書き換えが完了します。


 なお、ソフトウェア更新は、携帯電話をコントロールする重要な部分を書き換える作業です。途中で中断してしまった場合、電話機が動かなくなるなどのトラブルも予想されます。通信データはもし読み取りミスがあった場合、再度読み込みするような仕組みになっていますが、もし、携帯電話の電池が切れてしまうとその機能も働くことができません。携帯電話の電池はフルに充電してからこの作業を行なうようにしてください。



URL
  DoOnGo Technologies
  http://www.doongo.com/jp/

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(大和 哲)
2004/03/09 12:32

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