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【Interop Tokyo 2006】
KDDI、アイピーモバイル、イー・モバイルがFMCへの取組みを議論

 6月5日~9日にかけて、千葉県の幕張メッセではIT関連イベント「Interop Tokyo 2006」が開催されている。9日には「それぞれのFMC:携帯事業参入、MVNOへの可能性」と題したコンファレンスが開催され、アイピーモバイル 取締役の丸山 孝一氏、イー・モバイル 執行役員 兼 国際戦略室長の有田 重夫氏、KDDI 技術統轄本部 技術開発本部長の渡辺 文夫氏が出席して、それぞれが考えるFMCへの取り組みなどを議論した。


データ通信に特化するアイピーモバイル

アイピーモバイルの丸山氏
 前半は、大まかに各社の取り組みが紹介された。アイピーモバイルの丸山氏は携帯事業参入について、TD-CDMA方式の特徴や、その優位性を技術的な面から紹介。サービス面では「携帯事業者というより従来のISPに近いイメージ。カード型、組込型を中心に展開し、今のところ音声通話の携帯電話を提供する予定はない」と述べて、他の新規参入事業者と異なる戦略を示した。

 同氏は「カード型などの市場が伸びると見込んでの参入。ADSLの低速なサービスぐらいの通信速度は実現できるだろう」と述べると共に、同社が提案している、持ち運べるルーターとでも言うべき端末「モバイル・ブロードバンド・ゲートウェイ」を「今までにない新しい端末」と紹介した。

 MVNOへの展開については、アイピーモバイルが構築するTD-CDMA回線網を卸売りで提供予定であるとし、エンドユーザーに対してはMVNOの比率が高くなるとするイメージ図を示した。


データ通信に特化する戦略 MVNOへの展開も予定する

MVNOのポイントは差別化

イー・モバイルの有田氏
 イー・モバイルの有田氏は、MVNOへの展開について「モバイルをやると言った時からオープンにしてきた」と前向きな姿勢であることを述べた。ただ同氏は、MVNOが成功するかどうかには慎重な見方を示した。「海外では、ホールセール、プライスモデルでの過当な価格競争の結果、付加価値の提供や差別化をうまくできずに失敗している。サーフィンに特化したサービスやコンテンツを提供するブーストモバイルのように、あるセグメントに特化して成功している例もあり、そういう差別化をすればマスでなくてもビジネスができるだろう」と述べた有田氏だが、これまでにいくつかの企業とMVNOの話し合いをした感想として、「同床異夢の感がある」とする。

 「MVNOは投資が少なくて済む、というのは違う。帯域の確保にもギャランティーが必要だろう。つまりそれ相応の気構えが必要ということ」と述べ、リスクシェアの観点からも安易なMVNO事業の展開には慎重な姿勢を示した。

 MVNOが展開するサービスについては「いろいろな企業が展開できる可能性がある。それぞれの企業のコアビジネスを強化したり、顧客を囲い込むようなサービスであれば、十分に成功できる可能性があるのではないか」と述べると共に、「鍵になるのはオープン化。端末も重要になってくるだろう」として、MVNO側での端末開発もポイントになるとした。


FMCの議論にはユーザー視点が欠けている

KDDIの渡辺氏
 KDDIの渡辺氏はまず、「そもそもFMCというのは提供者論理の言葉。説明には使うが、あまり好きではない」と切り出し、「固定、移動という区別ができたのも違う仕組みで作ってしまった提供者の論理。ワンフォンがFMCとか言われるが、ユーザーからすればそもそもなぜ移動と固定が分かれているのか、といったそもそも論に行き着く」と述べて、「ユーザーがどういうサービスを受けたいのか、という話から始めるべき」と語った。

 渡辺氏はKDDIの事例としてLISMOを挙げ、パソコン、携帯電話の両方で同じコンテンツが利用できる点から「これもある意味FMC」としたほか、ワンセグについては「端末は非常に売れている。通信事業者と放送事業者では価値観の違いも大きく、苦労したが、異なる世界と協力できれば世界に広がりが出る」と述べて、より大きな市場を形成できるとの見方を示した。

 FMCで実現できるサービスの例として家電との連携を挙げた渡辺氏は、「このレベルでは、移動や固定、伝送路がどうとかいうのは意識させなくていいようにすべき」とし、「FMCはむしろ必然だ」と述べた。

 インフラ面での展開については、これまでも各所で語られてきたウルトラ3G構想を示し、「アクセスに非依存でネットワークを作ろうというもの。サービスはアクセスに依存すべきではない。有線、無線は関係のない世界を構築していく。他の事業者との接続があるので、タイミングをお互いで計りながら進めていく」とした。

 渡辺氏は「ケータイは個人のIDとなりつつあり、個人認証のデバイスとして適している」とFMCにおいても携帯電話が重要な役割を担うとしたほか、「次世代でもトラフィックコントロールはきっちり行なっていく。提供者論理で分かれた固定、移動はナチュラルにまとめていく」と同社の方針をまとめた。


ケータイは個人認証デバイスとしてFMCでも有効

KDDI渡辺氏が示したスライド。ケータイはIDとしてFMCにも有効とする

KDDIのウルトラ3G構想では、柔軟なサービス提供が可能
 コンファレンスの後半は、司会者からの質問に答える形で進められた。FMCへの取り組みについて聞かれたアイピーモバイルの丸山氏は、「電話は携帯電話でほとんど済む時代。しかし高速なブロードバンドは今のところ固定でしかできない。我々が提供するのは固定のようなブロードバンドにモビリティを追加するもので、それがユーザーにとってのFMCになる」とし、ブロードバンドを持ち歩くという、同社のエンドユーザー向けサービスを改めて紹介した。

 FMCとして家電との連携などを例に挙げたKDDIの渡辺氏には、司会者から「FMCで想定しているサービスを全部KDDIで取り組むのか?」との質問が投げかけられた。これに対し渡辺氏は「全部やろうとは思っていないし、できないだろう。ただ、携帯電話の認証などの機能は使えるということ」とした。

 また、「MVNO展開のメリットは少ないのか?」と問われた渡辺氏は、「可能なサービスは多岐にわたる。ココセコムやトヨタのカーナビはKDDIのネットワークを使ったMVNO」とKDDIのMVNO展開の事例を紹介し、「オールIPで構築された次世代のネットワークでは、それぞれのサービスでさまざまな企業と連携できる。Webで電話のサービスをしたいという企業がいれば、簡単にその仕組みだけ提供ができるような、技術的にはそういう方向で構築を進めている」と述べて、より柔軟なMVNO展開も可能なのが次世代のオールIPで構築されたネットワークであるとした。

 渡辺氏はまた、「なぜ、こうしっかりとしたネットワークを作るのか。それは不公平感が出ないようにするため。1割のユーザーがトラフィックの9割を使っているというのは許されないだろう」と述べ、増大するトラフィックの問題にも取り組んでいく姿勢を示した。


周波数割当てなどの行政について

 FMCとはやや論点がずれるものの、携帯電話事業に新規参入するイー・モバイル、アイピーモバイルの2社が出席していることから、周波数の問題についても触れられた。「新規参入企業には、行政のハードルは高かった?」と司会者から質問が出されると、アイピーモバイルの丸山氏は「3年かかったが、当初はほとんどの人から電波はとれないと言われた。3年で電波行政も変わったのではないか」と感想を述べ、またイー・モバイルの有田氏も同じ意見であるとした。渡辺氏は「電波は公共財なので十分な効率でないのも許されないだろう。定期的に見直すという方針も総務省から示されており、オークションなどではだめだろう、というのは我々と総務省との間でも意見が一致しているのではないか」と語った。



URL
  Interop Tokyo 2006
  http://www.interop.jp/

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(太田 亮三)
2006/06/09 15:59

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