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【WIRELESS JAPAN 2005】
KDDI小野寺氏、auの最新動向を紹介

 KDDI代表取締役社長 小野寺 正氏の講演では、時代の変化を捉えてKDDIが実施してきたインフラの進化や、サービスの展開状況が紹介された。しかしながら、発表されたばかりの「au ICカード」や、話題の新規参入、およびナンバーポータビリティについて触れられることはなかった。


スタイルの変化で重要なポイントとは

KDDI代表取締役社長 小野寺 正氏
 小野寺氏は、携帯電話の普及状況を示しながら、人々のライフスタイルに変化が表われていることを指摘し、「1X WINで定額制が登場したことで、世の中は大きく変わったのではないか。以前は、通信料が高そうなサービス・コンテンツが利用されるのは難しかったが、定額制なら気楽にダウンロードでき、ショッピングサイトを何回でも訪れることができる。もちろんネットワークが進化するだけでは駄目で、KDDIとしては、コンテンツプロバイダにもメリットがあるプラットフォームを提供する必要がある」と述べた。

 これらの代表例が、FMラジオやテレビなどの機能において着うたダウンロードなどに連携させている点とした同氏は、「ただラジオやテレビを搭載しただけではユーザーにとってもメリットはない。そこで新しいサービスを提供していくのが重要だ」と述べ、連携の重要性をアピールした。

 定額制を前提としたサービス、コンテンツにとっては、ユーザーが定額制をそもそも利用しなければメリットはない。この点について同氏は「当初導入したEZフラットはやはり敷居が高かった。その後導入したダブル定額、ダブル定額ライトでユーザーが定額制に入りやすいようにした」と述べ、実際に成果を挙げているとした。

 また同氏はビジネススタイルにも変化が訪れているとして、「商談中、何か対応したくても昔なら一度会社に戻って返事するという形だったが、今やテレビ会議すら可能になった。欲しい情報にアクセスするスタイル、そして情報の持ち方に変化が出てきている」と語り、それらの動向にあわせて提供している同社の法人向けサービスを紹介した。

 また同氏は「工場などではカメラ付き端末を持って入ることを禁止するケースもある。しかしその一方で、カメラが搭載されているからこそ、2次元コードを利用したビジネススタイルも展開できている。またGPS機能を持たせたことで、運行管理などで詳細な位置情報が得られるようになっており、位置情報の重要性が増している」とした。


定額制導入はユーザーの利用スタイルに大きな影響を与えている 利用を促進するため、ダブル定額、ダブル定額ライトが投入された

コンテンツプロバイダにもメリットがあるプラットフォーム作りが重要という ビジネススタイルにも変化が出てきている

他社との連携が重要

FMラジオやテレビなどは「ただ搭載しただけでは駄目」という
 GPSやカメラ、PCサイトビューアーなど、携帯電話に幅広い機能を持たせてきたauだが、小野寺氏は「最近になって“携帯電話だけで何でも”というわけにはいかないという流れになってきた。そこでパソコンとの連携を進めるため、第1弾としてPCサイトビューアーを取り入れた。もう1つは、DUOGATEのサービスだ。着うたを探すとき、検索はパソコンで行ない、コンテンツを携帯でダウンロードできる。ポータルとして、携帯電話にとって使いやすいものを提供したいという考えに基づいている」と述べた。

 パソコンとの親和性を強調する事例として、オンラインショッピングを紹介した同氏は、「フィッシング詐欺などもあり、パソコンでの決済に不安がある方もいるだろう。しかし携帯電話はキャリアがシステムを管理しており、安全性が高い。パソコンで商品を選び、携帯電話で決済するという形が増えてきている」と語った。

 同氏は、こういった連携の新たなスタイルが「EZ FeliCa」になるとして、「最初は交通機関などで利用されることになるだろうが、やがて電子チケットや電子マネー、クレジットカードなどさまざまな使われ方がされるだろう。これは情報社会のインフラになるということで、携帯と組み合わせることで、新しいサービスが生まれ、利便性が向上するのではないか」との見通しを示した。

 連携という観点から来年スタートする予定の携帯電話向け地上デジタル放送にも触れ、「1セグメント放送で、いかに我々とテレビ局の関係を“WIN×WIN”にしていくか。我々は非通信で、テレビ局は放送以外をいかに拡大させるかがポイント」とも述べた。


パソコンとの連携例として紹介されたDUOGATEのサービス 放送との連携も今後のポイント

JRとの考え方の違い

モバイルSuicaの開発にあたって、JR側からはKDDIの想定を超えた「厳しい規格が求められた」という
 「EZ FeliCa」に関連して、来年1月にスタートする予定の「モバイルSuica」に触れた小野寺氏は「やはり携帯電話事業者である当社とJRの違いを感じた。彼らはラッシュアワー時の人の流れを止めたくないという考えが強く、確実に通過できるという範囲をどこまで求めるか、真剣に検討されたようだ」と語った。

 その結果、KDDI側の想定を超えた「厳しい規格が求められた」(小野寺氏)という。この点については、端末メーカーとの協力によって問題はクリアされたとのことで、来年の正式サービスに向けて自信を示した。


ネットワークの進化について

ウルトラ3Gで固定と携帯の融合を目指す
 6月の定例記者会見にあわせて発表された、KDDIの次世代ネットワークは「ウルトラ3G」と呼ばれている。まず1xEV-DO Rev.Aを導入し、他の無線通信方式も活用しながら固定網と携帯網の融合を図る考えだ。

 小野寺氏は「無線LANやWiMAXなど次から次へと通信技術が出てくる。それぞれの特徴をいかに融合して、“どこでもいろんなサービスを利用できる”ようにするか。特定のアクセス方法に依存しないでシームレスなサービスを実現してきたい。バスの中では声が出せないから、映像を見ながらメールでやり取りし、バスを降りると音声通話、家に帰ると大画面でコミュニケーションという使い方を実現したい」と語り、次世代ネットワークの構築の意義を語った。

 アナログ方式からPDC方式へ、PDC方式からCDMA方式へと通信方式そのものを入れ換え、cdmaOneからCDMA 1X、CDMA 1X WINとステップアップしてきたKDDIだが、サービスエリアを確保することが最も重要という。同氏は、Rev.Aやウルトラ3Gを導入しても、音声通話向けのインフラとしてCDMA 1Xは最後まで生き残るという見解を示した。

 このほか小野寺氏は、セールスフォース・ドットコムのサービスを実現する際に、SOAPをサポートして、インターネットを活用したWebサービスのサーバーと携帯電話が、auのサーバーを介さずに直接やり取りできるようになったことや、新たなサービスが続々と日本で普及している要因が、キャリアによる全体の把握にあったことなどに触れていた。


CDMA網の進化図。1X網は今後も残っていくという セールスフォース・ドットコムのサービスを実現する際に、BREWでSOAP XMLがサポートされている


URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  WIRELESS JAPAN 2005
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2005/

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(関口 聖)
2005/07/13 19:52

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