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NHK放送技術研究所
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NHKは、5月27日~30日にかけて、NHK放送技術研究所で研究されている研究内容や成果を一般公開する「技研公開 2004」を開催している。公開は都内の同研究所内で行なわれ、入場は無料。本誌では、地上デジタル放送に対応した携帯機器の展示を中心にレポートする。
■ KDDIの地デジ携帯、三洋のポータブルテレビ型端末を展示
「携帯・移動体受信」と題された展示ブースの「携帯受信」コーナーでは、KDDI研究所、KDDIと協力して開発された携帯電話端末が展示されていた。5月にKDDI研究所が公開した端末と同等の端末で、アンテナ部の形状が変更されていた。三洋電機製の「ポータブルテレビ型端末」も展示され、こちらには同社とACCESSの共同開発によるブラウザが搭載されている。同コーナーでは災害情報番組の放送デモが行なわれており、災害情報を伝えるニュース番組を受信しながら、同一の画面内でインターネットにより位置情報や避難場所の情報を取得することが可能となっている。
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今回開発された地上デジタルを受信する携帯端末の概要
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携帯端末向けサービスの今後の予定
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W11Hをベースに開発された端末のアンテナ部
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受信中の画面
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三洋電機、ACCESSと共同開発のポータブルテレビ型端末
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■ ドコモのコンセプトモデルは字幕放送をデモ
「字幕サービス」のコーナーでは、NTTドコモの地上デジタル放送に対応したコンセプトモデルが展示されていた。5月の「ビジネシシヨウ TOKYO 2004」で公開された端末と同様だったが、新たに字幕放送のデモが行なわれていた。デモでは、テレビ放送のセリフやナレーションが字幕で表示され、それを任意にスクロールできる。そのまま映像を見ていればゆっくりと字幕が流れ、字幕を早送りすれば映像も連動して早送り(スキップ)される。聴覚障害者向け意外にも、電車の中など音が出せない場面での利用が想定されるという。展示されたコンセプトモデルでのデモは、メモリカードや端末内のメモリに字幕放送を保存して再生する事が前提とされているとのこと。
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字幕放送の概要
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地上デジタル放送に対応したNTTドコモのコンセプトモデル。画面左が字幕、右が映像
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■ 家庭と外出先、受信端末同士をネットワークで連携
「携帯受信と固定受信の連携」のコーナーでは、地上デジタル放送の携帯受信端末と、テレビなどの固定受信端末との連携に関する展示が行なわれていた。デモでは、携帯受信端末で視聴している時に、気に入った番組を録画装置がつながった自宅のテレビで録画するといったことができた。家と外出先の、それぞれ地上デジタル放送を受信可能な端末同氏をネットワークで接続することで、チャンネル同期や時間を少し遡って録画するといったことが可能になっているという。
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連携の概要
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PDAで録画などの指示をすると自宅の機器で録画が始まる
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■ 地上デジタルの携帯端末向けAVC/H.264フォーマットを比較展示
「AVC/H.264映像符号化方式」のブースでは、地上デジタル放送における携帯端末向けの映像フォーマット「AVC/H.264」の動画のデモが行なわれていた。富士通研究所との共同設営となる同コーナーでは2台のPDAが用意され、MPEG-4とAVC/H.264の動画デモが比較展示されていた。AVC/H.264はMPEG-4と比較して、主観的な画質を維持しながら約2倍の圧縮率を実現する。しかし、現段階では映像処理にMPEG-4の2倍の負担がかかるという。
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AVC/H.264フォーマットの特徴
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AVC/H.264とMPEG-4を比較展示。ビットレートは128kbps、無線LANで映像を受信していた
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■ URL
技研公開 案内ページ
http://www.nhk.or.jp/strl/open2004/
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(太田 亮三)
2004/05/27 17:54
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