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【Java Technology Conference 2004】
ドコモ夏野氏、新FOMAとFeliCaの展望を語る

NTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長の夏野 剛氏
 2月18日、19日の2日間、東京・ホテル ニューオータニでJavaの開発者向けイベント「Java Technology Conference 2004」が開催されている。最終日となる19日、NTTドコモのiモード事業本部 iモード企画部長の夏野 剛氏が「Javaが拓くi-mode Now & Future」と題したセッションを行なった。講演は、FOMA 900iシリーズで拡張した500KBiアプリを「現在」、そしてソニーの非接触ICカード「FeliCa」を搭載した携帯サービスを「未来」として、同社が今後注力するJavaを使ったサービスについて語るものとなった。


F900iは「FOMAシリーズで過去最高の出だし」

FOMA 900iの船出は好調
 夏野氏はまず、900iサービスについて言及し、現時点でF900iの1機種のみだが「FOMAシリーズでは過去最高の出だしとなった」と語り、ユーザーに新型FOMAが受け入れられたことをアピール。今後発売予定のN900iやP900iなど、同社で人気の高いメーカーの端末が投入されることで、さらに期待が持てるとした。

 同氏によれば、1999年のiモードサービス登場以前から、サン・マイクロシステムズと携帯電話上で動作するJavaベースのアプリケーションについて議論を重ねていたという。iモード以前からiアプリの構想があったことを明かした夏野氏は、「iモードとJavaは非常に密接な関係を持っている」と語った。

 iモードは、4,000万以上のユーザーを抱える大きな市場だ。このうち、Java(iアプリ)に対応した端末は、2,300万人が所持している。夏野氏は、「日本人の6人に1人がJava対応携帯電話を持っていることになる。日本はすさまじいIT先進国だ」と述べた上で、海外の厳しい現状を語った。

 「海外のJava対応端末は泣かず飛ばず。MIDPで標準化されているようだが、ビジネスモデルがあまりない現状だ。やはり、テクノロジーは使われるためにある」と語った夏野氏は、国内のJavaアプリの状況が好調であることを示唆した。

 ここで、話は同社が株を保有する米AT&T Wirelessの買収に飛んだ。ドコモがauに携帯電話の月次純増数で首位を奪われていることもあって、夏野氏の元には「まずいんじゃないですか、アメリカでも撤退だし……」という声が入ってくるという。しかし、「マスコミは大きく騒いだが、瞬間風速だけで判断してはならない」とし、不安要素を打ち払った同氏は、「それでも、妻の実家からは心配されている」と軽妙なトークで会場の笑いを誘った。


夏野氏「900iシリーズは500万台以上売れる」

N900iにプリセットされる人気のRPG
 ついで、同氏は900iシリーズの特徴を説明。「自慢できるケータイ」を目指した900iは、「合コンでえばれる。とにかく今度のFOMAは手にとって欲しい。某キャリアの格子柄の端末よりもしっかりと考えた端末」とのこと。また、FOMAサービス開始当初に不満の声が上がっていた待受時間の問題についても解消されているとした。

 900iシリーズは、ドコモのiモードチームが手がけた端末だ。当初は2003年11月を目途に発売される予定だったが、夏野氏によれば、「11月の時点では、505i相当のものしか提供できなかったが、時期をずらしたことで究極のiアプリができた」という。

 「究極のiアプリ」と語る500KBに拡張された900i向けiアプリだが、一方で同氏は、「テクノロジー的に何KBになったかは問題ではない」と述べ、ユーザーがそのアプリを使ってどうなのかが重要だとした。

 503iから始まったiアプリだが、今回の900i向けiアプリでは、「ゲームボーイアドバンスぐらいの性能のものを提供したい」と考えたとのこと。開発段階では、容量の問題よりも、アプリを実行する際のヒープの制限が問題になり、それをどう解決するかが課題となったという。具体的な目標としては、N900iにプリセットされる人気RPG「ドラゴンクエスト」の動作が目標だったとのこと。なお、夏野氏は現在N900iでドラクエをプレイしており、レベル20、ローラ姫を救出する辺りとしていた。

 セッションでは、多数の900i向けゲームコンテンツが紹介された。家庭用ゲーム機で人気のシリーズのiアプリ版を紹介しながら、夏野氏は「これまでのゲームのプログラムには独自OSなどが必要だった。900iのiアプリでJavaは本格的ゲームのプラットフォームになった」と語った。

 なお、夏野氏は900iシリーズの販売台数を500万台以上と予測した。


人気シミュレーションシリーズも900iシリーズに登場 ガンダムのアクションゲームも紹介した

夏野氏「iモードはITインフラ、FeliCaを生活インフラにする」

FeliCa搭載端末の概要

現状で最も普及している非接触IC規格を採用した
 続いて、携帯電話の将来像として、ソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」を搭載した携帯電話について言及した。

 ドコモとソニーは、FeliCaを使った携帯電話サービスで新会社「フェリカネットワークス」を設立。FeliCa搭載端末では、Javaアプリをダウンロードすることによって、携帯電話が電子マネーや会員カードなどの役目を果たす。現在、サービスを提供する各社へ試験端末が提供されている。セッションでは、JR東日本の非接触ICを使ったサービス「Suicaカード」の例を挙げながら、券売機で行なう料金チャージをiモードで行なうといった利用方法が示された。

 「携帯電話が財布代わりになる」と語った夏野氏は、このサービスで生活インフラを目指すという。iモードでネットワークインフラを提供している同社だが、iモードユーザー4,000万人のうち、有料コンテンツの利用者は52%程度、利用者は平均して2.5コンテンツを登録しているため、述べ人数で見れば100%以上が利用していることになる。しかし、夏野氏は「残りの半分ぐらいの人は携帯電話にお金を使っていない。もしかして、使いこなせていないのではないか」としており、新機能の追加やマルチメディア化について行けないユーザーが出ていることを説明した。

 また、このまま高機能化を目指すことは、対象マーケット自体が小さくなることを示しており、パソコン並みの機能が携帯電話に搭載されている今、これからは現実世界でiモードを利用するFeliCaのようなサービスが必要だとした。もっとも、「全ての人に必要な機能ではない」としながらも、地上デジタル放送の受信など、新機能も引き続き検討していくとしている。

 夏野氏は携帯電話5年周期説を唱え、音声携帯電話の端末が増えたのが1994年、それから5年後の1999年にiモードサービスが開始されとし、iモードから5年が経過した2004年に登場したFeliCa搭載端末のサービスで、今後5年間はリアルライフと連動したサービスが普及していくと語った。同社では5年後を目途に、全ての場所で携帯電話を財布代わりに利用できるようにしたい考えだ。


電子チケットなど、現実世界のサービスと連携する アプリを起動しなくても、かざすだけでデータの読み書きが行なえる

システムの概要 フェリカネットワークスでは、ライセンス販売などを行なう

 フェリカネットワークスでは、今回のシステムの管理を行なう。提供されるサーバーは、利用形態によってサービスレベルが選択できるとしており、FeliCa専用サーバーで高いセキュリティを確保する本格サービス型(共通領域)のものと、専用サーバーが不要で、パスワード認証によるIDを利用することで、低コストでサービスを利用できる簡易サービス型(フリー領域)が用意される。簡易サービス型は、クーポンなど本格的なセキュリティを必要としないちょっとしたサービスでの利用が見込めるという。

 このため、チップの初期出荷時には、本格サービス型の共通領域と、認証無しで利用できる簡易サービス型のフリー領域の2つが用意される。フリー領域を設けることで、「iモードやiアプリには、勝手サイトや勝手アプリが登場したが、これから5年は、勝手フェリカが出てくるかもしれない」とした。

 FeliCaサービスは、コンテンツプロバイダやサービスプロバイダをはじめ、他キャリアにも提供していくつもりだという。夏野氏は「各社共通で使えるようにすることで、5年後には携帯各社がFeliCaのようなサービスをやっているようになるだろう」と語り、セッションを締めくくった。


簡易サービスで手軽にFeliCaを利用できる チップにはフリー領域が設けられる

簡単な認証で利用できる簡易サービス FeliCa対応リーダーライター「パソリ」にも対応


URL
  Java Technology Conference 2004
  http://www.jtc2004.com/
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(津田 啓夢)
2004/02/19 15:30

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